インタビュー

「呼吸困難(息切れ・息苦しさ)」とはどのような状態? 呼吸が苦しくなった時、何科を受診すればよい?

「呼吸困難(息切れ・息苦しさ)」とはどのような状態? 呼吸が苦しくなった時、何科を受診すればよい?
片岡 仁美 先生

京都大学医学研究科 医学教育・国際化推進センター 教授

片岡 仁美 先生

この記事の最終更新は2015年07月02日です。

100メートルを全力疾走した直後には、誰でも呼吸の数が増えて、息が切れた状態になります。これは病気ではなく、健康な方でも、誰にでも起こる一般的な体の反応です。

一方で、病気の可能性のある呼吸困難(息切れ・息苦しさ)とはどのようなものなのでしょうか?病的な呼吸困難かもしれないかと思った場合は、何科を受診すればよいのでしょうか?総合診療医である片岡仁美先生に教えてもらいました。

私たちは日常生活において、特に意識することなく呼吸をしています。普段の生活をしていて、「今は息を吸っている」、「今は息を吐いている」ということを自覚しながら呼吸するということはなかなか無いのではないでしょうか。寝ているときだろうと、話しているときだろうと、無意識のうちに呼吸が出来ています。

「呼吸困難」もしくは「息苦しい」という状態は、無意識に出来ていた呼吸が出来なくなってしまい、呼吸をするときに不快な感覚を覚えることを言います。気管支・肺などの呼吸器や、心臓・血管などの循環器に原因がある場合が多いです。

呼吸困難でみられる典型的な自覚症状としては、

  • 空気が足りないと感じる
  • もっと息を吸わなければと感じる
  • 息を吐きだしたいのに、なかなか吐きだせない
  • すごく努力して、肩を上げ下げしなければ呼吸ができない

などが挙げられます。

「呼吸」は、老廃物である二酸化炭素を体の外に排出して、身体活動のために必要な酸素を体の中に取り入れることを目的にしています。

口や鼻から空気を肺に吸い込んで、肺で酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するというガス交換を行います。その後、ガス交換の完了した空気を口から鼻から吐きだし換気をします。この一連の換気とガス交換のことを指して、一般的には「呼吸」と呼んでいます。

もう少し詳しく説明すると、肺で取り込まれた酸素は、毛細血管をたどって、心臓を通じて全身に運ばれます。一方で、身体で不要になった二酸化炭素は、毛細血管を通じて肺に放出されます。また空気を吸い込んだり、吐きだしたりするためには、肺の周りの筋肉や骨を動かす必要があります。横隔膜、肋間筋(肋骨の間にある筋肉)、首や腹部の筋肉が重要な役割を果たしています。

酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するということは、人間が生きて活動を行うために必要なことなので、もし呼吸が完全に停止してしまうと、生命を維持することが出来なくなってしまいます。

別記事「『呼吸困難(息切れ・息苦しさ)』の原因は何か?」でも詳細に解説していますが、呼吸困難の原因の約8割は「呼吸器」もしくは「循環器」にあります。したがって、呼吸器内科もしくは循環器内科の先生に見てもらうのが良いと思います。

呼吸器内科、循環器内科のどちらを受診するべきなのかということについては、呼吸困難以外の症状を参考にすると良いと思います。

  • 「せき」、「たん」なども見られる → 「呼吸器内科」を受診
  • あおむけになったときに息苦しい、足のむくみがある、運動によって息苦しさが生じる、糖尿病高血圧などの基礎疾患をもっている → 「循環器内科」を受診

記事1:「呼吸困難(息切れ・息苦しさ)」とはどのような状態? 呼吸が苦しくなった時、何科を受診すればよい?
記事2:「呼吸困難(息切れ・息苦しさ)」の原因は何か?
記事3:すぐに病院に行かなければならない、緊急性の高い呼吸困難・息切れとはどのようなものか?
記事4:呼吸困難・息切れはどのように診断するのでしょうか?

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  • 京都大学医学研究科 医学教育・国際化推進センター 教授

    片岡 仁美 先生

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