インタビュー

写真で見る水虫の症状

写真で見る水虫の症状
佐藤 友隆 先生

帝京大学ちば総合医療センター 皮膚科 教授、慶應義塾大学 非常勤講師

佐藤 友隆 先生

この記事の最終更新は2016年02月24日です。

水虫の症状には足の指の間がジュクジュクしてかゆいものもあれば、カサカサしてかゆみのないものまでさまざまなものがあります。また、最近では爪水虫と呼ばれる爪白癬も広く知られるようになっています。北里大学北里研究所病院皮膚科部長の佐藤友隆先生に症例写真を見せていただきながら、それぞれの症状を解説していただきました。

趾間(しかん)型1

趾間(しかん)型

趾間(しかん)型

指の股のところがジュクジュクしていると表現されるのが趾間型の特徴です。顕微鏡検査(鏡検)のために検体を採取する場合には、端の浮いているようなところに真菌がいるので、その部分から採取します。また、この写真の例では小指の爪をみると、爪白癬を合併していることがわかります。

小水疱型

小水疱型

赤いボツボツの部分が典型的な水疱です。しかし少し離れたところはガサガサしていて角質増殖型に似ています。このように明確に水疱だけのものというのは少なく、他の種類がオーバーラップしていることは珍しくありません。

小水疱型では、赤くなっている水疱のところに真菌を確実に見つけることができます。自分の免疫が発動して真菌を身体から追いだそうとする反応が水疱となってあらわれているからです。

角質増殖型

角質増殖型

角質増殖型では皮膚の表面がごわごわした感じになりますが、かゆみはほとんどありません。冬になるとかかとがガサガサになるというのも症状のひとつです。まれに角層の角化がひどくなると割れて痛いという方もいますが、白癬そのものが悪化しているというわけではありません。かゆみがないため気づかないない方も多く、爪白癬が気になって受診された方を調べてみると角質増殖型も合併しているという例は珍しくありません。

爪白癬にもいくつかの種類があり、臨床分類が分かれています。

爪白癬

爪白癬

爪白癬

爪白癬

爪にコロニー(菌の集落)のように色がついている部分があります。これは白癬でもっとも多くみられるトリコフィトン・ルブルムという種類の菌が原因です。高齢の方の場合、爪白癬を加齢による変化だと思って放置されている方が少なくありません。

体部白癬

体部白癬

白癬の特徴のひとつである環状紅斑(かんじょうこうはん)が見られます。このような激しい炎症は動物好性菌によって引き起こされるか、またはヒト好性菌の場合でも、自分から自分、つまりご本人がすでに爪白癬にかかっていて、それが別の部位に移ってきた場合に多くみられます。さらにステロイド外用剤などの外用によって修飾された異形白癬などでも環状紅斑が拡大します。爪では永らく寄生関係が成立していたものが、他の場所に移ってきたために激しい症状を引き起こしたと考えられますので、こういったケースでは必ず爪を確認する必要があります。

 

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白癬菌に感染していると、通常の状態でも皮膚につくことの多いコリネバクテリウムやブドウ球菌、緑菌などの細菌が二次的に感染することがあります。このとき、患者さんが糖尿病動脈硬化の素因を持っていると、これらの二次感染から壊疽(えそ)といって、炎症部分に血液が流れなくなり組織の一部が死んだ状態になることもありえます。当院にも現在、壊死性筋膜炎(えしせいきんまくえん)という重篤な感染症で入院している患者さんがいます。

高齢の方の場合、水虫程度であればいまさら治療しなくても、とおっしゃる方がいますが、どのような年齢の方であっても治療はすべきです。蜂窩織炎(ほうかしきえん)といって、皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけて細菌による化膿性の炎症を起こすこともありますし、皮膚血管炎のある方なども壊疽のリスクが高くなります。

糖尿病の患者さんに爪白癬があると壊疽のリスクが高くなるということは、言い換えれば糖尿病の方に爪白癬が見つかった場合、PAD(peripheral arterial disease:末梢動脈疾患)による末梢動脈の閉塞症状を見つけるサインであるともいえます。

介護老人保健施設などでは、さまざまな疾患を抱えた方に対してどの治療を優先するかという問題もありますが、爪白癬を放置して二次感染から蜂窩織炎を起こした方が当院に送られてくるということもあります。そういった事例が多い施設には、日常的な足のケアを行なってもらうよう依頼します。

水虫は感染症ですので、治療するならば早いうちに越したことはありません。また、高齢になるほど罹患率が高くなるということは、爪が伸びる速度が遅くなるため治りにくくなるということを意味しています。症状が軽くて済んでいるうちはよくても、自分の身体にさまざまな病気が起こったとき、いずれリスクとなることを意識しておくべきです。

 

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