インタビュー

ビタミンDの検査-必要である場合と必要ではない場合

ビタミンDの検査-必要である場合と必要ではない場合
徳田 安春 先生

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任...

徳田 安春 先生

Choosing Wisely

この記事の最終更新は2016年06月01日です。

多くの人はビタミンDが不足しています。ビタミンDが不足すると、骨折のリスクが上昇し、その他の健康上の問題につながってしまうこともあります。医師が血液検査でビタミンDを測定するのは、こういった理由があるからです。

しかし多くの人にとって、この検査は必要ではありません。以下にその理由を示します。

多くの人はビタミンD値が低いものの、深刻なほど低い人はほとんどいません。大半の人は検査を必要とせず、十分なビタミンDを摂取できるよう、生活習慣などにちょっとした変化を加えるだけでよいのです。ほんの少し日光を浴びるなど後で述べるようなアドバイスを参考にしてください。

糖尿病心疾患といった他の病気のリスクがあっても、ビタミンD検査は通常必要ありません。検査結果によって、医師からの助言が変わることはほとんどないでしょう。まず生活習慣を変えることのほうが大切で、禁煙、健康体重の維持、定期的な運動などが効果的です。そして日光浴と食事からビタミンDを摂取するようにしましょう。かかりつけの病院の医師とサプリメントに関しての話もしてみましょう。

必要ない検査を受けることで、必要のない、場合によっては有害でさえある治療が行われることがよくあります。例えば、ビタミンDを摂取しすぎると腎障害や他の臓器障害を起こす可能性があります。

ビタミンDの血液検査を1回行うのにかかる費用は高くありません。しかし、2008年と比較して今では、この検査が6倍多く行われていて、2011年には高齢者に対するビタミンD検査のため、2.24億ドル(日本円で約270億円)がメディケア(高齢者や障害者向けに、アメリカで国が運営する医療保険制度)により支払われています。

自分が抱えるリスクについてかかりつけの病院の医師に相談してください。以下のような状況では、ビタミンD検査が必要となるかもしれません。

骨粗鬆症である。この病気は骨を弱くさせ、骨折しやすくなります。

・ビタミンDの代謝の際、障害となる病気に罹っている。ここで言う病気とは炎症性腸疾患(Chron病や潰瘍性大腸炎)、セリアック病、腎臓病、肝臓病膵炎などの重度で進行性の消化器系疾患です。

医師にビタミンD検査を受けるよう勧められたら、なぜ必要なのかを尋ねてみましょう。抱えているリスクが大きければ検査を受けるべきです。しかし、リスクが小さければ、検査を避けることができないかを尋ねてください。日光浴と食事、あるいはサプリメントで体内のビタミンDを増やせるかどうか聞いてみましょう。体内のビタミンD値を追跡する必要があると言われたら、毎回同じ検査が行われていることを確認し、いつ行った検査の値が最善であったか聞いてみましょう。

十分な量のビタミンDを摂取するにはどうすればよいか?

70歳以下の成人に望ましい1日摂取量は600国際単位(IU)です。70歳以上の方には、800IUが必要です。

●日光を浴びる

日光を浴びることで、紫外線が皮膚細胞の中でビタミンDを作り出します。多くの日光は必要としません。真昼の日光の下、10分間ほど歩けば1日で必要となるビタミンD量の15倍の量が生み出されます。暗くなる冬季期間でも、体は余ったビタミンDをいくらか蓄えることができます。

●ビタミンDを多く含む食材を食べる

・肉や脂ののった魚にはビタミンDが豊富に含まれています

・サーモン3オンス(85g)には530IU含まれます

・エビ、サバ、イワシやニシンもビタミンDが豊富です

・ビタミンDは豆腐やオレンジジュースといった日用食料品に添加されていることもあります。

●朝食を食べる

2個の卵、オレンジジュース1杯、ミルク入りのシリアル1杯で約300IUのビタミンDを摂取できます

●サプリメントについて医師に相談する

もし日光を十分に浴びることができず、食事でもビタミンDを摂れないようなら、サプリメントが有効かもしれません。2013年にConsumer Reports が32のビタミンDサプリを調査したところ、全ての製品が基本的な製造基準を満たしていました。

一日に4000IU以上のビタミンD摂取は医師の指示がない限りやめでください。過剰なビタミンDは中毒を引き起こし、腎臓に負担をかけます。

 

※本記事は、徳田安春先生ご監修のもと、米ABIMによる “Choosing Wisely” 記事を翻訳し、一部を日本の読者向けに改稿したものです。

翻訳:Choosing Wisely翻訳チーム 大阪大学医学部付属病院 佐竹祐人

監修:小林裕貴、徳田安春先生

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  • 群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of General and Family Medicine 編集長

    徳田 安春 先生

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