【疾患啓発(スポンサード)】

クリップする
URLを入力して
記事をクリップしましょう
指定された URL のページが見つかりません
S664x430 b40b687d 0590 4751 9ee7 37faf4f33a22
甲状腺微小乳頭がんの治療-低リスクの微小乳頭がんには経過観察を推奨
皆さんは「がん」に対しどのようなイメージをお持ちでしょうか。おそらく多くの方が、すぐに治療を開始しなければ死に至ることも多い、非常に怖い疾患だと捉えていることでしょう。しかしながら、甲状腺にでき...
クリップに失敗しました
クリップ とは
記事にコメントをつけて保存することが出来ます。検索機能であとで検索しやすいキーワードをつけたり、読み返し用のメモを入れておくと便利です。
また、記事を読んで疑問に思ったこと、わからないことなどをコメントに書き、「医療チームのコメントを許可する」を選んで頂いた場合は、医師や看護師が解説をメールにてお送りする場合があります。
※ クリップ内容は外部に公開されません

甲状腺微小乳頭がんの治療-低リスクの微小乳頭がんには経過観察を推奨

公開日 2016 年 08 月 31 日 | 更新日 2018 年 07 月 06 日

甲状腺微小乳頭がんの治療-低リスクの微小乳頭がんには経過観察を推奨
宮内 昭 先生

医療法人神甲会 隈病院 院長

宮内 昭 先生

皆さんは「がん」に対しどのようなイメージをお持ちでしょうか。おそらく多くの方が、すぐに治療を開始しなければ死に至ることも多い、非常に怖い疾患だと捉えていることでしょう。しかしながら、甲状腺にできる非常に小さな乳頭がんの多くは、手術をするよりも経過観察を選んだほうが「賢い」場合もあると、隈病院院長の宮内昭先生はおっしゃいます。本記事では、低リスクの甲状腺微小乳頭がんの特徴と、非手術経過観察を選択した場合の安全性について、宮内先生にご解説いただきました。

甲状腺微小がんとは-腫瘍の大きさが1㎝以下の小さな甲状腺がん

最大径が1㎝以下の小さな甲状腺がんを甲状腺微小がんといいます。甲状腺がんには様々な種類がありますが、甲状腺微小がんとは、実際には微小な乳頭がんを指します。(本記事では「甲状腺微小がん」と記すものとします。)

甲状腺微小がんにはリスクの高いものも低いものも含まれます。

たとえば、リンパ節転移や肺・骨への遠隔転移、気管や反回神経など周囲の組織に浸潤している微小がんも稀にあり、これらは高リスクの微小がんといえます。反回神経とは声帯を動かす筋肉を司る神経であるため、がんがこの神経に浸潤すると声帯麻痺をきたし嗄声(かすれ声)などの症状を引き起こすこともあります。

このほか、細胞診で悪性度が高いとされるものや、経過中に腫瘍が増大するもの、腫瘍が反回神経の走行する経路に接しているもの、気管に付着しているものも高リスク群に含まれます。

上記の項目に一つも該当しないものを、低リスクの微小がんと呼びます。甲状腺微小がんの多くはほとんど進行しないことで知られており、進行したとしてもその速度は非常に遅いという特徴があります。隈病院における調査では、手術をせず10年以上経過をみても、約90%の症例は進行しませんでした。

検査の精度向上に伴い増える甲状腺微小がん-全てに治療を行うべきか?

アメリカで1973年から2002年の甲状腺がん罹患率の推移を調査した報告によると、甲状腺がんの頻度は約30年の間に2.4倍にも増えています。しかし、増えているのは乳頭がんのみです。さらに、1㎝以下もしくは2㎝以下といった小さながんは増えているものの、それ以上の大きながんは増加していません。また、甲状腺がん自体は増えているものの、甲状腺癌による死亡率には上昇がみられません。

このような背景を経て、世界中の専門家の間で「治療をしなくても健康に害を及ぼさない低リスクの微小がんの“オーバーダイアグノーシス(過剰診断)”、“オーバートリートメント(過剰な治療)”がなされているのではないか」といった議論がなされるようになりました。“過剰診断”とはがんでないものをがんと診断することではなく、診断・治療しなくても健康に害を及ぼさない病気を診断することをいいます。

たとえば、韓国における2011年の甲状腺がん罹患率は、1993年と比べ、約15倍にも増加しています。これは積極的に検診を行った結果でもありますが、甲状腺がんによる死亡率は変化せず、手術治療により合併症が増えてしまったと報告されています。

日本では甲状腺がんの診断において、上記の諸外国よりも早く超音波検査と細胞診を採用しており、20年以上前の1990年代に甲状腺がん患者数が増加し始めました。また、世界に先駆けて次のような知見を得ていました。

甲状腺微小がんについて、これまでにわかっていたこと

甲状腺疾患とは異なる病気で亡くなられた患者さんの甲状腺を調べた剖検では、非常に高頻度で小さい甲状腺がんが見つかることがかなり以前から知られていました。これを「甲状腺ラテント癌」といいます。 超音波検査で発見診断することが可能な3mm以上の甲状腺がんは3~5.2%もの方にみつかっています(Finland, Japan, Hawaii)。

※ラテント癌とは:生前には兆候がみられず、死後の剖検によりわかったがんのこと

また、乳がん検診時に超音波検査と細胞診による甲状腺がんの検診も行ったところ、成人女性の3.5%に小さな甲状腺がんがみつかったという報告もあります。(香川県癌検診センター武部晃司、1994年)

この3.5%という数値は、剖検による3mm以上の甲状腺ラテント癌の頻度3~5.2%とほぼ同等です。

当院でも時期を同じくして、エコーガイド下で小さな甲状腺がんが多数の方からみつかるようになりました。当初は私自身、精度の高い検査によりがんを早期に発見できるようになったことを誇らしいと思いました。しかしながら、すぐにこの思いは打ち消され、違和感を覚えるようになりました。

当時(1990年代前半)、臨床的な甲状腺がんの罹患率は、日本女性で10万人に3.1人(約0.003%)と報告されていたので、3.5%とはこの1000倍以上の数にあたります。このような状況から、「発見のしすぎなのではないか」「すべてに手術を行う必要があるのか」という疑問が芽生え始めたのです。

発見の機会が増え、甲状腺がんと診断される患者さんが増加しているのは世界的な現象です。では、この発見された甲状腺がんのうち低リスクの微小がんはどのように扱うのがよいのでしょうか。

発見した甲状腺微小がんは必ず手術すべきか?

ふつうであれば、「すべての甲状腺微小がんは進行がんの早期であり、放置していると死に至ってしまう」と考えます。しかしながら、前項で述べた剖検によるラテント癌発見の頻度や、乳頭がん検診における発見率などを考えると、「ほとんどの甲状腺微小がんは増大しない無害ながんである。(一部のみが増大する)」と仮説を立てることができます。私は、後者の説が正しいのではないかと考えました。しかし、どのような進行がんもはじめは小さながんであったはずであり、一部の甲状腺微小がんは増大することも真実でしょう。ですから、ここで問題とすべきは、どのようにして増大するがんを判別するかということです。

残念ながら、1993年当時も、2016年現在においても、発見時にこれを判別する術はなく、唯一の確実な方法は「ただちに手術をせず、経過観察すること」です。経過観察して、微小がんがほんの少し増大・進行したとしてもその時点で手術を行えば手遅れになることはないのではないか、全ての甲状腺微小がんに手術を行えば、手術合併症などのためかえってメリットよりもデメリットの方が大きいのではないかと考えました。

低リスクの甲状腺がんに対する経過観察と手術の指針

以下は、私が1993年に隈病院の医局会に提案した非手術経過観察の方針です。

  • エコーガイド下細胞診で診断をつける。→診断成績は98%と非常に高くなっています。
  • 高リスク微小がんに対しては、ただちに手術を勧める。
  • 低リスク微小がんに対しては、手術と経過観察2つの手段があることを提案し、患者さんご自身が選択する。
  • 経過観察を選んだ患者さんは、最初は6か月後、それ以降は1年ごとに超音波検査と甲状腺血液検査を行う。
  • 腫瘍の大きさが3mm以上に増大、またはリンパ節転移が出現したら手術を勧める。

なお、一般的に、甲状腺ホルモン剤を服用して血中のTSH濃度を軽度抑制状態にコントロールすると甲状腺乳頭がんの増大・進行する率が低下するとの報告もあるので、最近は、希望する患者さんには甲状腺ホルモンを服用してもらいながら、経過をみることも試みています。

【※低リスク甲状腺微小がんと高リスク甲状腺微小がん】

高リスク微小がんとは、 以下のいずれかを認めるものを指します

  • リンパ節転移、あるいは遠隔転移
  • 甲状腺被膜外進展
  • 細胞診で高悪性度
  • 今まで経過中に増大したもの
  • 反回神経の走行経路にある、または気管に付着している

※注)甲状腺微小がんであっても遠隔転移があった症例は、少数ですが学会報告や論文で報告されています。しかし、実際の臨床の場では、遠隔転移を伴った甲状腺微小がんはほとんどありません。また、細胞診で高悪性度の微小がんも当院では経験していません。

低リスク甲状腺微小がんとは、上記のいずれも認めないものを指します。

がんが増大してから手術をすることは本当に安全なの? メリットとリスク

隈病院と東京の癌研病院における研究の早期の結果では、経過観察中にがんが3mm以上に増大した例は全体の10%以下、経過観察中にリンパ節転移が出現したのは全体の約1%でした。こういった事態が出現した後に手術を行ったところ、その手術後に再発した例はありませんでした。

日本内分泌外科学会と日本甲状腺外科学会がまとめた『甲状腺腫瘍診療ガイドライン2010』では、「低リスクの甲状腺微小乳頭がんに対する非手術経過観察」を取り扱い方法の一つと承認しており、これがただちに手術をせず経過観察を行うことを認めた世界初のガイドラインとなりました。

低リスク微小甲状腺がんに対する非手術経過観察は中高年患者に適している

一般的な甲状腺乳頭がんでは、高齢者のほうが予後が悪くなる傾向があります。若年者の乳頭がんは、リンパ節転移を起こしやすいのですが、不思議なことに転移したとしても、若年患者の生命予後はよいのです。そのため、私は、非手術経過観察を始めた頃は、高齢者の低リスク甲状腺微小がんを非手術経過観察に含めることに若干の懸念をもっていました。ところが、実際の非手術経過観察の結果をまとめると、60歳以上の高齢者はがんが増大したりリンパ節転移が出現しにくく、「40歳以下であること」が腫瘍増大とリンパ節転移出現のリスク因子であることがわかりました。

(Ito Y, Miyauchi A, et al..: Patient age is significantly related to the progression of papillary microcarcinoma of the thyroid under observation.. Thyroid 24:27-34. 2014)

なお、多発性のがんや甲状腺がんの家族歴があることはリスク因子ではありませんでした。

上記の結果から、低リスク甲状腺微小がんの非手術経過観察は、若年者よりもむしろ中年・高齢の方に適しているといえます。

とはいえ、若年者も進行する率はやや高いものの、最終的な結果は良好であるため、経過観察の候補者としてよいと考えます。

経過観察中の不都合事象の出現率は?

低リスク微小乳がんの取り扱いと腫瘍学的結果

(画像提供:宮内昭先生)

続いて、今年2016年に発表された、当院における低リスクの甲状腺微小がん経過観察群と手術群における「不都合事象」の出現頻度をご紹介します。これは、2005年2月から2013年8月までの8年間のデータをまとめたものです。

(Oda H, Miyauchi A, et al.: Incidences of Unfavorable Events in the Management of Low-risk Papillary Microcarcinoma of the Thyroid by Active Surveillance vs. Immediate Surgery. Thyroid. 26:150-5, 2016)

上図の通り、私たちが手術をしないでよいと考えた低リスク甲状腺微小がん患者さんのうち、55%が経過観察を選び、45%がただちに手術をされることを選択されました。ただちに手術した群では、手術後に再発された方は5名いらっしゃいましたが、再手術をし、現在は再発なく元気な状態です。手術後に甲状腺がんとは無関係の他疾患により亡くなられた方は5名です。

一方、経過観察を選んだものの、しばらく経ってから手術を行った方は94名おり、うち1名は再発後の再手術でお元気になられました。手術に変更となった理由は、腫瘍増大のほか、患者さんの気持ちの変化、併存した良性腫瘍の増大、副甲状腺機能亢進症の出現など多岐にわたります。経過観察中に他の疾患で亡くなった方は3名です。残りの1,082人は腫瘍が増大・進行することなく経過観察を続けています。

つまり、非手術経過観察とただちに手術のどちらを選択しても、結果はほぼ変わらず極めて良好ということです。このデータのみをみると、どちらを選んでもよいと捉えられます。

では、経過観察群と手術群の不都合事象の頻度についてみてみましょう。

不都合事象の頻度

(画像提供:宮内昭先生)

一過性の声帯麻痺と一過性の副甲状腺機能低下症、永続性副甲状腺機能低下症、および甲状腺ホルモン(表ではLT4)服用中の患者は、経過観察群よりも手術群のほうが、統計学的な有意差をもって明らかに上回っています。手術群では、残念ながら、永続性の声帯麻痺をきたした方が2名おられます。一例は術中に誤って反回神経を切断したことが原因であり、ただちに切った神経の断端を吻合しました。もう一例は、反回神経を誤って血管と一緒に結紮してしまったことが原因です。結紮はただちに解除しました。これの2例では音声はほとんど回復したものの、残念ながら声帯の動きは回復していません。(反回神経再建術の詳細は「甲状腺がんの手術と反回神経再建」をご参照ください)。

この2例の術者はいずれも普段は丁寧な手術を行っている経験豊富な甲状腺外科医です。豊富な経験と高度な技術を有する術者が執刀したとしても、多数例の手術を行うと残念ながら少数ではあるものの、大変不都合な事象が生じてしまったということです。

甲状腺疾患を専門としない施設や、甲状腺がんの手術に不慣れな施設で同様の手術を行った場合、不都合事象が生じる頻度はもっと高まってしまうことが容易に想像されます。なお、表には記載していませんが、当然ながら手術例では入院が必要で、手術瘢痕が残り、その他色々な手術や麻酔に伴う不都合事象が発生します。一方、経過観察を続けている患者では甲状腺ホルモン服用以外には甲状腺がんによる不都合事象は発生していません。

以上のデータから、現在、隈病院では低リスクの甲状腺微小がんに対しては、経過観察が最もよい選択であると推奨しています。

2015年、アメリカで甲状腺微小がんの診療方針に大きな変化

アメリカ甲状腺学会の2015年版甲状腺腫瘍取扱いガイドライン(Haugen BR, et al.: 2015 American Thyroid Association Management Guidelines for Adult Patients with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer Thyroid. 26:1-133, 2016)では、当院と癌研病院の報告を受け、超音波検査で甲状腺微小がんが疑われる場合でも、リンパ節転移や甲状腺周囲の臓器に浸潤している所見がなければ、細胞診を行わない、すなわち「診断をしない」という方針を打ち出しました。アメリカは、診断をしないことで手術を回避する方向へと舵を切ったのです。これは非常に大きな変化です。また、診断された低リスク甲状腺微小がんを手術しないで経過観察することも容認しました。

しかしながら当院では、低リスクの甲状腺微小がんであっても診断すべきであると考えています。なぜなら、少数ではあるものの甲状腺微小がんの中には増大進行するものがあるので、経過観察は必要だと考えるからです。そのためには、診断をつけ、患者さんに状況と治療方針をお伝えせねばなりません。リスクを評価し適切なフォローを行うためにも、隈病院は引き続き診断をつけたうえで経過観察を提案する方針です。なお、ニューヨークにあるメモリアルスローンケタリング癌センターのTuttle先生達は当院の方法に準じて低リスク甲状腺微小がんに対して非手術経過観察を行っておられます。

手術を希望する患者さんは時代と共に減ってきている

2005年から2013年までのデータでは、手術を選択される患者さんは45%であったと述べました。

(画像提供:宮内昭先生 再掲)

手術を選択される患者さんの割合は時代と共に減ってきています。1993年に世界で初めて隈病院において非手術経過観察という方法が開始されましたが、当初は、経過観察が安全であることや増大進行する患者の割合は不明でした。しかし、時間の経過と共に、これらのデータが徐々に蓄積され、さらに、手術に比べ不都合事象の頻度が少ないことも明らかになりました。

低リスクの微小がんであれ、「がん」と診断された患者さんが経過観察を選ぶことは、裏付けのあるデータと納得のいく医師の説明がなければ難しいでしょう。ですから、患者さんに手術あるいは経過観察を選択していただくときには、医師の説明が非常に重要になります。

私は微小がんの可能性が疑われる患者さんに対し、細胞診で診断をつける前にあらかじめ甲状腺微小がんに関するパンフレットをお渡しし、もしも低リスクの甲状腺微小がんであった場合、ただちに手術せず、経過観察中に増大するようであれば手術を選択したほうが得策であろうと説明しています。

また、乳頭がん検診で成人女性の3.5%にがんが発見されたという武部晃司先生のデータも提示し、噛み砕いて甲状腺微小がんの安全性を解説しています。たとえば、「ご親戚の方やご近所の方など、ご自分の身の回りの方が100人中3.5人も甲状腺がんで亡くなっていますか。100人中3.5人もの方が首に大きなしこりができて困っていますか。」と聞くと、多くの患者さんは甲状腺微小がんは急激に進行しないおとなしいがんであることを理解され、安心されます。もちろん、それでも不安があり手術を希望される方には、無理な説得はせず、手術をさせていただいています。

とはいえ、実際に現在多くの患者さんが、10年以上にわたり手術をせず経過観察を受けておられるという事実があります。また、増大が認められた後に手術を行って手遅れとなった例はありません。甲状腺微小がんは決して怖いがんではなく、また、フォローアップ体制も整っておりますので、安心して経過観察を受けていただければとお伝えしたいです。適切に経過観察するためには、医療機関側は超音波検査をきちんと行うこと、患者さんは少なくとも年1回、定期的に受診することが必要です。

医療法人神甲会 隈病院「初診のご案内」はこちら

宮内昭先生(甲状腺微小がん・下咽頭梨状窩瘻)の連載記事

甲状腺・副甲状腺疾患の診療・研究に40年以上携わってきた第一人者。特に甲状腺がんの診断と治療を専門とし、この手術にともなう反回神経麻痺に対する頸神経ワナ・反回神経吻合による再建を日本で最初に考案・施行した。また急性化膿性甲状腺炎の原因となる一種の発生異常の存在を世界で初めて発見し、下咽頭梨状窩瘻と名付けた。カルシトニンのダブリングタイム(Ct-DT)が髄様がんの予後因子であることを世界で初めて報告し、最近ではサイログロブリンのダブリングタイム(Tg-DT)が乳頭がんの強力な予後因子であることを見出している。最近、小さい甲状腺乳頭癌が世界的に増加し、その取扱いが問題となっている。宮内の提唱により1993年から隈病院では世界で初めて低リスクの甲状腺微小乳頭癌に対して、非手術経過観察を行っており、大多数の微小癌は進行しないこと、少し進行してもその時点で手術を行えば手遅れとはならないこと、隈病院のような専門病院で手術を行っても、手術群の方が経過観察群より声帯麻痺などの不都合事象が多いことを明らかにした。この成果は2015年版アメリカ甲状腺学会の甲状腺腫瘍取扱いガイドラインに大きく取り上げられた。

関連記事