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こうじょうせんにゅうとうがん

甲状腺乳頭がん

最終更新日
2020年08月25日
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2020/08/25
更新しました

概要

甲状腺がんにはいくつかの種類がありますが、甲状腺乳頭がんは甲状腺がんの中の80~90%を占めるもっとも代表的な甲状腺がんです。発生年齢は若年成人から高齢者まで広く分布しますが、特に30~50歳の方に多く見られます。小児期や思春期の子どもにも発生することがあります。

甲状腺乳頭がんは、甲状腺内の腫瘍(しゅよう)として発生するため、喉に固いしこりが触れることから病気の存在が疑われます。自覚症状がないまま経過し、健康診断でしこりを指摘されることから初めて病気が疑われることも少なくありません。最近は、健診やほかの目的で行われた超音波検査、CT、MRI、PET-CTなどの画像検査で発見される症例が増えており、その多くは低リスクの微小乳頭がん(最大径が1cm以下)です。

甲状腺乳頭がんの治療の第一選択は一般的に外科的切除であり、肺や骨などの遠隔転移がある場合には放射性ヨウ素内用療法が行われます。甲状腺周囲の組織への浸潤やリンパ節転移がない低リスク微小乳頭がんの大部分はほとんど進行しないので、積極的経過観察が推奨されるようになりました。

大部分の乳頭がんの進行はゆっくりであり、全身に広がることは少ないので、適切な治療方針決定のためにはこうした腫瘍の性質をしっかりと考慮することが重要です。一方、進行甲状腺がんの治療方針決定には高い専門性が要求されるため、診療に長けた医療機関において診療を受けることが、最大限の治療効果を得るために重要です。

原因

甲状腺乳頭がんの原因は、これまでのところ完全には明らかにされていません。甲状腺乳頭がんは、ヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを産生蓄積する濾胞細胞を起源として発生するがんです。

多くの場合、明らかな原因を同定できない甲状腺乳頭がんですが、放射線障害の一病態(たとえば、チェルノブイリ原発事故など)として引き起されることもあります。放射線などを含む何かしらの原因をきっかけとして、濾胞細胞(ろほうさいぼう)の遺伝子異常(すでに多数の変異が報告されている)が惹起され、その結果として甲状腺乳頭がんの発生に至ると考えられています。

症状

甲状腺乳頭がんは、喉仏の位置にある甲状腺の中に腫瘤(しゅりゅう)形成をする病気です。こうした解剖学的な位置関係を反映して、甲状腺乳頭がんでは首にできたデキモノとして認識されます。甲状腺乳頭がんでは、通常は痛みや皮膚の発赤などの症状はありません。転移したリンパ節のしこりとして見つかることもあります。

進行すると、声帯を動かす反回神経が侵され、かすれ声(嗄声(させい))をきたし、気管や食道までがんがおよぶと、呼吸困難や嚥下(えんげ)障害をきたすこともあります。さらに進行すると、肺転移、骨転移、脳転移などの遠隔臓器転移をきたしますが、幸いにも発見された時からこのように進行していることはまれです。

検査・診断

首にしこりが見られた際には、超音波検査にてその性状を正確に判断することが求められます。超音波検査による精度は高く、リアルタイムに病巣を詳細に評価でき、しかも放射線被曝などの侵襲(しんしゅう)もないので、画像検査としては第一に選択されます。

病巣の大きさや悪性の疑わしさに応じて、病巣を細い針で穿刺(せんし)して細胞で採取し、細胞診検査を行います。甲状腺には種々の悪性腫瘍、良性腫瘍ができますが、細胞診にてその大部分が診断可能です。

甲状腺がんの中で一番多い乳頭がんは細胞診で診断が比較的容易です。実際の診察では、これに並行して甲状腺機能検査などの血液検査が行われます。甲状腺機能検査でTSHが抑制(低値)である場合には、甲状腺シンチグラフィーが追加されます。超音波検査で十分な情報が得られない場合には、CTやMRIが追加されることもあります。

治療

甲状腺乳頭がんは多くの場合ゆっくりと進行し、首のリンパ節にはしばしば転移しますが、肺や骨などの全身各所に広がることは多くありません。その一方、甲状腺乳頭がんの一部には、重篤な健康被害をもたらすものも存在します。性格を異にするがんが含まれる甲状腺乳頭がんでは、その性格に合わせて治療方針を決定することが求められます。

甲状腺乳頭がんに対する治療の第一選択は外科的切除です。腫瘍の広がりに応じて、甲状腺の切除範囲(半分切除か全摘か)と(けい)部リンパ節の郭清範囲を決定します。手術後は残った甲状腺の機能の状態とがんの再発のリスクに応じて、甲状腺ホルモン剤を投与し血清TSH値を正常範囲ないし正常以下に調節します(ホルモン療法と呼ばれます)。肺や骨などに転移がある場合には甲状腺を全摘し、放射性ヨウ素内用療法(アイソトープ治療とも呼ばれます)を行います。放射性ヨウ素内用療法が無効な場合には追加手術や放射線外照射を考慮します。これらが行えない場合には分子標的薬を使うことを検討しますが、それには高度の専門的な知識と経験が必要です。

一方、最近たくさん発見される低リスクの甲状腺微小乳頭がんに対しては手術をしないで経過を見る積極的経過観察が推奨されるようになりました。

経過を見て腫瘍が進行するのはごく一部であり、そのような患者さんにはその時点で手術をすれば十分に対応できること、最初から全員に手術をした方が返って声帯麻痺などの不具合が多いことが明らかになったからです。

どのような治療方針を行うかは、患者さんによって大きく異なるため、病状に合わせて対応することがとても重要です。甲状腺乳頭がんは、がんといってもすぐに命を落とすようなものばかりではありません。誤った治療を行うことで、逆に生活の質が低下してしまうことも時には懸念されます。

すなわち、甲状腺乳頭がんの適切な治療方針を決定するには、とても高い専門性が要求される病気です。健康診断やそのほかの理由でしこりを指摘された場合には、甲状腺乳頭がんの可能性もあります。ご自身の病状に対して適切な治療方法を講じるためにも、診療に長けた医療機関を受診することが、とても重要であるといえます。

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