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変形性膝関節症とは?-原因と症状、膝関節の基礎知識
私たちは、膝があるためにスムーズに歩行したり座ったりすることができます。それくらい膝は私たちの日常生活において大きな役割を果たしています。変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで膝に強い痛みが...
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変形性膝関節症とは?-原因と症状、膝関節の基礎知識

公開日 2017 年 03 月 30 日 | 更新日 2018 年 05 月 21 日

変形性膝関節症とは?-原因と症状、膝関節の基礎知識
竹内 良平 先生

横須賀市立市民病院 関節外科・人工関節センター長

竹内 良平 先生

目次

私たちは、膝があるためにスムーズに歩行したり座ったりすることができます。それくらい膝は私たちの日常生活において大きな役割を果たしています。変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減ることで膝に強い痛みが生じる疾患です。特に女性に多いこの疾患は、加齢や肥満により起こるといわれており、進行すると歩くことができなくなる恐ろしい疾患です。

横須賀市立市民病院、関節外科センター長である竹内 良平先生は、長年にわたり変形性膝関節症の治療に携わってきました。今回は、同病院の竹内 良平先生に膝の構造と変形性膝関節症の症状についてお話しいただきました。

膝関節の構造とメカニズム

膝関節は、体のなかで最も大きな関節であり、主に歩行のために重要な役割を果たします。具体的には、太ももにあたる大腿骨(だいたいこつ)とすねにあたる脛骨(けいこつ)の継ぎ目にある関節です。膝の前方には膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨(しつがいこつ)があり、それから4つ目の骨として脛骨の外側にある腓骨(ひこつ)と呼ばれる細い骨から成り立っています。

ひざ関節の構造

大腿骨、脛骨、膝蓋骨それぞれの関節面と呼ばれる表面には、厚さ3ミリほどの軟骨が存在します。この軟骨には、関節が動く度に摩擦が生じます。この摩擦は、スケートリンクとスケートの間に生じる摩擦よりも小さいといわれています。このように膝関節に生じる摩擦は極めて小さいため、膝の軟骨は通常すり減ることがありません。

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膝関節において半月板がクッションの役割を果たしている

さらに、大腿骨と脛骨の関節面の間には半月板(はんげつばん)があり、主にクッションの役割を果たします。この半月板は、アワビの刺身のような硬さで、コラーゲン繊維でできています。膝を曲げたり伸ばしたりすると半月板が動き、そのおかげで私たちはスムーズに膝を曲げることが可能となります。

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膝関節は靭帯により安定性が保たれる

膝関節の安定性においては、靱帯が非常に重要な役割を果たします。骨と骨だけが接している関節には、基本的に安定性がありません。その前後左右の安定性を保つためにあるのが次の4つの靭帯です。関節内部にある前十字靭帯と後十字靭帯、膝の内側にある内側側副靭帯と外側にある外側側副靭帯により、膝の安定性が保たれています。

膝靭帯の構造

さらに、膝関節全体は、滑膜(かつまく)という薄い膜に裏打ちされた関節包(かんせつほう)という袋のようなものに包まれています。滑膜では、主に関節液(かんせつえき)が作られ、関節の動きを滑らかにしたり関節の軟骨に栄養を与えたり、また免疫をつかさどる役割を持っています。後ほど詳しくお話ししますが、疾患が進行し、この滑膜が炎症を起こすと膝に水がたまる関節水腫(かんせつすいしゅ)になりやすいです。そのため、滑膜が炎症を起こすまで症状を悪化させないことが極めて重要です。

膝関節と滑膜の構造

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変形性膝関節症の病態

変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨がすり減ることにより慢性炎症や変形が生じ、膝に痛みが現れる疾患です。この疾患は、膝の軟骨がすり減り、表面が荒れてしまうため半月板が切れてしまうという考え方もありますが、その逆もあります。

つまり、軟骨と半月板のどちらが先に痛むかは、人により異なります。

軟骨と半月板の構造

また、詳しい症状については後ほど述べますが、人によっては前述した関節水腫の症状が出ることもあります。

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変形性膝関節症の患者さんの特徴-女性・O脚・高齢者

変形性膝関節症は、基本的に加齢とともに進行する疾患です。一般的には40代後半からはじまるといわれており、私たちの病院で変形性膝関節症の手術を受ける患者さんの平均年齢は60代後半です。男女比は、一般的には女性3に対して男性2の割合であり、女性の患者さんが多いといわれています。

さらに、変形性膝関節症になりやすい方には、主に以下のような特徴がみられます。

【変形性膝関節症になりやすい方の特徴】

・もともとO脚の方

・閉経後の女性

・体重のある肥満の方

肥満女性

日本人に多いといわれるO脚の方はもともと変形性膝関節症になりやすいことがわかっています。なぜならO脚の場合、膝の内側と外側に、体重がアンバランスにかかることになり、それが長期間続いた結果、膝関節に負担がかかるためです。また、閉経後の女性は、ホルモンバランスの変化により骨がもろくなるといわれています。そのためにO脚になりやすいことがわかっています。さらに、体重がある肥満の方は、それだけ膝にかかる負荷が重くなるため、変形性膝関節症になりやすいことがわかっています。

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変形性膝関節症の主な原因は加齢と体重

お話したように、変形性膝関節症の主な原因は加齢ですが、メカニカルストレスといって体重も大きな要因になるといわれています。体重がありO脚の方は特に危険です。通常は、膝の内側と外側にそれぞれ50%ずつ力がかかりますが、O脚の方の場合、内側の方が外側に比べてはるかに大きな体重がかかるといわれています。半月板や軟骨は加齢とともに変性、劣化します。たとえば30〜50年もの長期間にわたり、半月板と軟骨にストレスが加わると、あるとき半月板や軟骨が切れたりすり減ったりしてしまいます。そうして引き起こされるのが変形性膝関節症です。

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変形性膝関節症の要因として考えられるもの

加齢と体重が変形性膝関節症の主な要因とお話しさせていただきましたが、ほかにもこの疾患と関連があると考えられている要因がいくつかあります。

骨粗しょう症との関連

近年、変形性膝関節症と骨粗しょう症の関連が議論されるようになりました。一般的に加齢とともにO脚は進行しやすいといわれています。それは、高齢になり閉経した女性は、ホルモンバランスの変化により骨がもろくなる傾向にあるからです。そのため、閉経後の女性には骨粗しょう症の患者さんが少なくありません。骨粗しょう症になると脛骨の内側の骨が徐々につぶれてO脚がひどくなります。O脚になり膝の内側にさらに大きな負荷がかかった結果、軟骨がすり減りやすくなるのではないでしょうか。

骨粗しょう症について詳しくはこちら

骨

遺伝的因子によるもの

また、私は遺伝的な要因も大きく関係していると考えています。軟骨の強さは人により異なります。たとえば、同じO脚の患者さんであっても、すぐにすり減ってしまう軟骨と、なかなかすり減らない軟骨に分かれます。その背景には遺伝があり、もともと軟骨がもろく痛みやすい方は、変形性膝関節症になる可能性が高いということができるでしょう。

日本人の生活習慣・食生活との関連

日本人のO脚は、世界のなかでもかなり独特であるといわれています。脚のすねにあたる脛骨は、ヨーロッパやアメリカなど海外の方はまっすぐであることがほとんどなのですが、日本人は膝から下で曲がっていることが多く、そこには日本人の生活習慣や食生活が関係していると私は考えています。まず、日本人は、畳や床の生活によりふとんの上げ下ろしや、あぐらをかいたり正座をしたりなど膝を大きく曲げることが多く、膝に負担がかかった結果、この疾患になりやすいという背景があります。また、これはまだ推測の域を出ませんが、私は水にも注目しています。日本は島国ということもあり、水道水は主に軟水です。軟水は、カルシウムやマグネシウムの量が少ないといわれています。日頃から軟水を飲んで生活しているために、日本人の骨はやわらかく曲がりやすく、O脚になりやすいのではと思います。

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変形性膝関節症の初期症状-痛みには個人差がある

変形性膝関節症の初期の自覚症状としては、歩行時の痛みや椅子から立ち上がる際の膝の痛みが挙げられます。なかでも、特に歩き始めの最初の数歩に痛みを感じることが多いでしょう。

膝を痛がっている女性

痛みには個人差がある

しかし、この痛みには個人差があります。変形性膝関節症が進行しても痛みを感じない方がときどきいらっしゃいます。そういう方は、気づいたときには疾患が進行している場合が少なくありません。一方で、痛みを強く感じていてもそれほど進行していない例もあり、なかなか本人が感じる痛みの程度と疾患の進行度が一致しない点も変形性膝関節症の特徴です。また、日本人は痛みに対する耐性が強く、少し痛みを感じるくらいでは我慢する傾向にあります。痛みで動くことができなくなり、そこではじめて手術を受けるという方もいる程です。これらのため、本人の判断よりも専門家による正確な診断がより重要になるでしょう。

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変形性膝関節症の分類と主な症状

変形性膝関節症の症状は、一般的に、疾患の進行とともに以下のように変化していくといわれています。しかし、これはあくまで一般的な話であり、先ほどお話したように症状や痛みには大きな個人差があります。

【変形性膝関節症の分類と症状】

・初期:歩き始めや椅子から立ち上がるとき、または階段の上り下りで痛みを感じる。

・中期:膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時に常に痛みを感じる。膝に水が溜まる・腫れるなどの症状が現れる場合がある。

・進行期:膝を動かす度に強い痛みが生じる。立ち上がることができなくなる、正座ができなくなる。

変形性膝関節症の進行期になると、痛みで立ち上がることさえできなくなる方もいます。記事3『変形性膝関節症は治療で完治するのか?-薬物療法から手術まで』で詳しくお話ししますが、進行期でも特に病状が悪化している末期になってしまうと治療の幅も狭まってしまいます。少しでも膝に痛みや違和感があれば、なるべく早く治療に入っていただきたいというのが私たちの願いです。

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主な症状1:膝に痛みが現れる動作時痛-可動域が狭まる

変形性膝関節症は、なにかの動作を行ったときに膝に痛みが現れる疾患であるとお話ししましたが、この症状を動作時痛(どうさじつう)と呼びます。特に、歩行時の最初の数歩や椅子から立ち上がるときに膝に痛みを感じる方が多いでしょう。初期でもこの痛みは現れやすいですが、疾患の中期や進行期になると、さらにいろいろな痛みの原因が現れるため、より強い痛みを感じることが多いといわれています。

なかでも、関節包にある滑膜が炎症を起こすと、強い痛みが生じやすくなります。また、疾患が進行すると靭帯のバランスが悪くなり、片方の靭帯が引っ張られるのに対し、もう片方の靭帯がたるむ現象が現れ、痛みにつながるといわれています。膝の軟骨や半月板そのものには感覚神経はないのですが、関節包や滑膜など、主に神経が集中しているところから痛みが発生します。

この動作時痛が進行すると、痛みで可動域が狭まり、日常生活に大きな影響を及ぼします。

膝が外側に動くラテラルスラストとの関連

変形性膝関節症の方には、ラテラルスラストという現象が起こることがあります。これは、体重がかかったときに瞬間的に膝がガクッと外側に動く現象をいいます。膝を包んでいる関節包には神経が集まっているので、ラテラルスラストにより関節包が繰り返し引っ張られた結果、さらに痛みが出るという状態になります。

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主な症状2:膝に水がたまり腫れる関節水腫

動作時痛とともに変形性膝関節症の代表的な症状に、関節水腫(かんせつすいしゅ)があります。これは、膝に水がたまる症状をいいます。通常、人は立ち上がると膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨の形が見えますが、関節水腫になると、たまった水により膝の輪郭がなくなり膝のお皿が見えなくなります。また、膝の中に限界まで水がたまると膝が曲げにくくなります。

注射器で膝の水を抜いている場面

関節水腫の例。注射器で膝の水を抜いているところ(画像:竹内 良平先生ご提供)

このような関節水腫の症状が現れる方は、滑膜炎という膝の内部に炎症が起こっている患者さんです。関節包にある滑膜に炎症が起こると、通常は静脈経由で体の中に戻るはずの水分が戻らなくなります。つまり、この炎症が治まらない限り、膝に水がたまり続けることになります。膝にたまった水を抜いたとしても炎症が治まっていなければ、また水がたまってしまいます。関節水腫とほかの要因との関連はまだ解明されていませんが、滑膜炎以外にも原因があると考えられています。

関節水腫は変形性膝関節症の方に必ず現れる症状ではない

この関節水腫は、変形性膝関節症のすべての患者さんに現れる症状ではなく、症状が現れる患者さんと現れない患者さんに分かれます。お話ししたように滑膜に炎症が起こっている患者さんは、膝に水がたまりやすいといわれています。

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変形性膝関節症の予防のため日常生活で心がけること-筋力低下や体重増加に要注意

体重計

変形性膝関節症の予防のために最も重要なことは、体重を増やさないことです。体重が増加すると、膝にかかる圧力が自動的に増えます。たとえば、体重60キロの方でも、歩行時は瞬間的に体重の3倍の180キロもの圧力が膝にかかるといわれています。このように、膝への負担を減らすために体重を増やさないよう心がけることが重要です。

また、周囲がいくら靭帯に覆われていても関節は不安定です。しかし、周囲に筋肉がつくことで不安定な関節をガードしてくれます。その筋肉が弱くなると不安定になり、軟骨がすり減りやすくなります。ですから、この筋肉のガードをしっかりさせるために、筋力トレーニングをすることで変形性膝関節症は進行しづらくなると考えられます。

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【竹内良平先生の著書】

 

1978年に山形大学医学部を卒業後、東京逓信病院第一外科にて初期研修を終了。横浜市立大学整形外科学教室に入局。同教室助教授を経て、2011年より横須賀市立市民病院 関節外科・人工関節センター長に就任。膝関節疾患を専門とし、日本Knee Osteotomy フォーラム会長を務める。

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