【疾患啓発タイアップ】

画像でみる膝周囲骨切り術(AKO)による手術の流れ

公開日 2017 年 09 月 25 日 | 更新日 2017 年 11 月 09 日

画像でみる膝周囲骨切り術(AKO)による手術の流れ
竹内 良平 先生

横須賀市立市民病院 関節外科・人工関節センター長

竹内 良平 先生

目次

膝は、日常生活を送ることに加え、スポーツなどの趣味を楽しむためにも重要な役割を果たします。膝周囲骨切り術(Around the Knee Osteotomy:AKO)は、膝関節を温存しながら膝の痛みをとる治療法として近年注目を集めています。

膝周囲骨切り術(AKO)を得意とする横須賀市立市民病院の竹内 良平先生による膝の手術をご紹介します。

膝周囲骨切り術(AKO)の適応-広範囲に及ぶ骨壊死を伴う症例

変形性膝関節症へと進行する可能性のある膝骨壊死

今回の症例は、広範囲に及ぶ膝骨壊死(ひざこつえし)です。

骨壊死とは、膝の関節面近くの大腿骨の一部の組織が死滅する状態を指します。膝の骨壊死は、突然痛みが出現する点が特徴です。安静にしていても強い痛みが生じるケースがほとんどです。

今回手術を担当した患者さんも、膝の内側の関節面がすべて傷みボロボロな状態でした。

膝関節内側の大腿骨関節面

左:膝関節内側の大腿骨関節面、右:剥がれかかっているのが壊死した骨と軟骨
(竹内良平先生ご提供)

この膝骨壊死は、放っておくと膝に強い痛みが生じる変形性膝関節症へ進行してしまい、重篤な状態になりかねません。

変形性膝関節症の原因や症状に関しては、記事1『膝の痛みが激しい変形性膝関節症とは?-原因と症状、膝関節の基礎知識』をご覧ください。

膝骨壊死の治療として人工関節を選択する病院もありますが、私は膝の機能を温存することができる膝周囲骨切り術(AKO)を適応することがほとんどです。

それは、よほど重症な場合を除き、内視鏡である関節鏡(かんせつきょう)と膝周囲骨切り術(AKO)の治療を合わせて行うことで軟骨の再生が十分に可能であるからです。

手術の前には感染を防ぐ工夫を

手術をしていると我々医師は汗だくになることがあります。万一、汗がこぼれてしまうと感染の原因になってしまいかねません。そのため、当院では汗がでてこないよう手首にテープを巻くなどの工夫をしています。

ほんの少しの工夫ではありますが、これによって感染を防ぐとともに、手術に集中できるような体制ができるのです。

 

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また、感染による重篤な合併症を防ぐため、消毒は念入りに行います。

出血すると手術中見えづらくなるので、手術前に専門の管を用いて出血しないよう処置をしてから手術を開始します。

関節鏡によって膝の内部を綺麗にする

関節鏡とは、膝の内側と外側に小さな傷をつけ内視鏡を入れ、膝の内部の手術を行う方法です。

今回は、膝の内部にたまっている軟骨や半月板のかけらなどをきれいにする、膝内部の掃除の意味があります。

今回の患者さんは、膝の内部に軟骨のかけらなどがたまって滑膜炎と呼ばれる炎症を起こしてしまっていました。関節鏡によって、これらをきれいに掃除していきます。

多くの膝周囲骨切り術(AKO)では、事前にこのような関節鏡による処置を実施します。この関節鏡によって、痛みが軽減したり病気の進行を緩やかにすることも可能になります。

骨軟骨柱移植術(モザイクプラスティー)の追加

多くのケースでは、関節鏡手術の後すぐに膝周囲骨切り術(AKO)を行いますが、今回の症例では、モザイクプラスティーと呼ばれる骨軟骨柱移植術を追加しています。

これは、壊死部の骨欠損が大きいために、支柱となる骨軟骨を健康なものに移し替える方法です。

骨軟骨柱移植術では、まず正常な場所から骨軟骨柱を採取します。次に傷んでいる箇所から同じサイズの骨柱を採取します。

 

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そして、骨壊死部に空けた軟骨が入っていた穴に、健康な軟骨を詰めれば骨軟骨柱移植術の処置は完了です。

今回の手術でも、きれいに軟骨が入りました。

膝周囲骨切り術(AKO)の実施

記事3『変形性膝関節症の最新手術-術後のスポーツも可能な膝周囲骨切り術(Around Knee Osteotomy:AKO)とは?』で詳しくご紹介していますが、膝周囲骨切り術(AKO)にはいくつかの種類があります。今回適応した方法は、Open Wedge HTO(Open法)と呼ばれる方法です。

これは、脛骨の内側から外側に向かい骨を切り、内側を開いて専用のプレートや人工骨を入れ固定することで、矯正する方法を指します。

骨切りの角度を決めたら、電動のこぎりを使い骨を切ります。

矯正する角度に応じて骨切部を開大し、人工骨を挿入して専用のプレートで固定します。人工骨は時間が経過すると自分の骨に吸収置換され、いずれ自分の骨となります。

膝周囲骨切り術(AKO)で健康な膝を!治療の見直しも検討してほしい

今回の症例は、お話ししたように膝骨壊死の症例です。記事2『変形性膝関節症は治療で完治するのか?-薬物療法から手術まで』でもお話ししているように、膝周囲骨切り術は変形性膝関節症の治療法として有効ですが、さらに、今回のような膝骨壊死に対しても極めて有効であると考えています。

膝骨壊死の場合、ほとんどの病院が人工関節を適応します。

人工関節に関しては、記事2『変形性膝関節症は治療で完治するのか?-薬物療法から手術まで』をご覧ください。

しかし、ほとんどの場合、当院では自身の膝を温存することができる膝周囲骨切り術(AKO)を適用します。

今回の手術症例 (竹内良平先生ご提供)

膝骨壊死は、放っておくと変形性膝関節症へと進行する可能性があります。

さらに、見過ごされたり効果のない治療が続けられた結果、重症の変形性膝関節症へと進行してしまうことも少なくありません。

膝が重篤な状態になってから来院される方がほとんどです。しかし、現在行っている治療を継続していても改善されないようであれば、早期に治療を見直すべきなのではないでしょうか。膝の痛みで悩んでいる方であれば、なるべく早く受診していただき、適切な治療を受けていただきたいと思っています。

膝周囲骨切り術(AKO)の治療効果に関しては、記事3『変形性膝関節症の最新手術-術後のスポーツも可能な膝周囲骨切り術(Around Knee Osteotomy:AKO)とは?』をご覧ください。

 

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