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子宮頸がんの治療後でも性行為は可能なの?~手術・化学療法・放射線治療後の注意点とは~

子宮頸がんの治療後でも性行為は可能なの?~手術・化学療法・放射線治療後の注意点とは~
杉田 匡聡 先生

NTT東日本関東病院 産婦人科部長

杉田 匡聡 先生

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子宮頸がんとは子宮の入り口である“子宮頸部”に生じるがんのことです。発症のピークは30歳代後半ですが、20~30歳代の比較的若い女性でもかかる可能性があるがんです。子宮頸がんにかかると子宮の一部、あるいは全てを摘出する手術療法や抗がん剤による化学療法、放射線療法などの治療が行われます。また、治療後はその後の性行為に対する戸惑いや不安を感じる方もいますが、“性行為”というセンシティブな内容であるため医師や看護師に相談しにくく、悩みを一人で抱え込んでしまう方もいます。

ここでは子宮頸がんの手術、化学療法、放射線療法を受けた後の性行為についてお伝えします。

子宮頸がんによる子宮摘出の手術を受けた後であっても性行為をすることは可能です。ただし、手術直後は性行為により出血しやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりすることが懸念されるため、いつ頃から性行為をしてよいか主治医に確認するようにしましょう。主治医に相談しにくいときは看護師などに相談してもよいでしょう。

子宮摘出手術後は腟の長さが若干短くなるほか、腟分泌液が少なくなり乾燥しやすくなるため性交時に痛みが生じることがあります。腟分泌液の減少を感じた場合は市販の水溶性潤滑ゼリーを使用するなど、パートナーと協力し工夫をすることを検討しましょう。

なお、手術の内容によっては腹部や腟部などに傷が残ることもあるため、性行為に前向きに臨めなくなる方もいる他、子宮だけでなく卵巣も摘出した場合はホルモンのバランスが崩れ、性的欲求そのものが減退してしまう方などもいます。いずれもパートナーと話し合い、必要に応じて主治医や看護師など医療者に相談することを検討しましょう。

がん剤による化学療法を受けている場合は抗がん剤が正常な細胞にもダメージを与えるため、治療前よりも感染症にかかりやすくなってしまいます。そのため、化学療法を受けている間は一時的に性行為を控える必要もあります。なかでも抗がん剤によって血球が減少している時期は特に感染のリスクが高まるため、性行為を控えるようにしましょう。いずれも化学療法を受けている方は治療中の性行為について主治医や看護師に確認しておくようにしましょう。

子宮頸がんの治療で放射線療法を受けた後も一般的に性行為は可能です。主治医や看護師に注意点を確認したうえで行うようにしましょう。しかし、治療後は放射線によって腟粘膜が炎症を起こしたり、月経のある若年者でも女性ホルモンが減少したりすることで性交に痛みを感じることもあるため、痛みが強いときは無理をしないようにしましょう。また、必要に応じて水溶性潤滑ゼリーを使用することも検討しましょう。

前述のとおり、子宮頸がんの治療後であっても性行為がまったくできなくなるということはありません。ただし、患者によって性行為における注意点などが異なるため、いつから性行為をしてよいのか、治療中に性行為をしてよいのかなどはあらかじめ主治医に聞いておくとよいでしょう。また、子宮頸がんの治療によってホルモンのバランスが崩れ性行為の際に痛みを感じるケースや、性的欲求が減退してしまったケースでは、その子宮頸がんがホルモンに関与していない場合に限ってホルモン剤の投与が可能なこともあります。そのため、必要に応じて主治医に相談してみましょう。

しかし、性行為についてはなかなか主治医に相談しにくいと考える方もいます。そのような場合にはパートナーに同席してもらい一緒に説明を受けることを検討したり、看護師など別のスタッフに相談してみるとよいでしょう。いずれにしても一人で悩みすぎず周囲の人に相談することが大切です。

子宮頸がんの治療を受けた後の性行為は性交痛が生じたり、腟分泌液が減少したり、手術による傷あとが気になったりして性的な満足度が低下する方もいるといわれています。しかし、体の変化を受け入れ不安を取り除くこと、そしてパートナーに病気や体の状態を理解してもらうことによって安心感が増し性行為に対する悩みが緩和されることもあります。

性行為に関する不安点や疑問点は主治医や看護師に相談しにくいと感じるかもしれませんが、一人で抱え込まずパートナーにも協力してもらいながら相談してみることを検討しましょう。

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