概要
カフェオレ斑とは、皮膚に生じる色素斑である茶アザの1つで、コーヒー牛乳に似た色を特徴とします。
茶アザは皮膚の表皮に存在するメラニン色素が多いために生じ、カフェオレ斑以外に扁平母斑(生まれつきの色素斑)、ベッカー母斑(思春期になって発生する色素斑)があります。このような茶アザは、医学的にしみや雀卵斑(そばかす)と区別されています。
カフェオレ斑は、生まれつきあるいは生後すぐに発生するため、海外では扁平母斑と同じものとして扱われることもありますが、日本においては厳密にはほかの病気との関連がないものを扁平母斑、レックリングハウゼン病(神経線維腫症I型)などの病気に伴うものをカフェオレ斑と呼びます。
生まれつきの茶アザは10人に1~2人の割合で生じる身近なものです。見た目の悩みから生活の質(QOL)の低下を招きますが、悪性化するなど健康被害が生じることは通常ありません。
原因
茶アザは、皮膚の色を作るメラニン色素が皮膚の浅いところ(表皮内)に増えた結果として、その部分が茶色く見えます。カフェオレ斑では、レックリングハウゼン病などの遺伝疾患が関わっていて、レックリングハウゼン病においては17番目の染色体にあるNf1遺伝子の異常が原因となって起こります。
生まれつき茶アザが存在し、子どもで直径0.5cm以上、大人で直径1.5cm以上のものが6個以上ある場合、レックリングハウゼン病の疑いがあります。
なお、カフェオレ斑を伴うことのある病気には、ほかにもレジウス症候群、ヌーナン症候群、レパード症候群、CFC 症候群、コステロ症候群などがあります。
症状
カフェオレ斑は境界が明瞭で平坦なコーヒー牛乳色の色素斑で、大きさは直径0.2~20cmとさまざまです。色素斑内に色の濃淡は見られず、ほくろのように盛り上がることもありません。
レックリングハウゼン病の場合、乳児では症状がカフェオレ斑のみであることがほとんどですが、思春期頃から全身の皮膚に神経線維腫症という常色または淡紅色の良性腫瘍が少しずつできてきます。まれに視神経や目の虹彩、脳、脊髄などに腫瘍ができたり、骨の変形・欠損が見られたりすることもあります。
検査・診断
生まれつきの茶アザは遺伝疾患によって生じている可能性もあり、遺伝疾患では特にレックリングハウゼン病との関連が深く、茶アザが6個以上ある人の95%が後にレックリングハウゼン病と診断されているのが実情です。
したがって、レックリングハウゼン病かどうかを調べるために、まずは視診を行い、必要に応じて画像検査(X線検査・CT検査・MRI検査など)や目の検査などを行います。
日本皮膚科学会の診断基準を参考に、以下の7項目のうち2項目以上を認めた場合にレックリングハウゼン病と診断されます。
治療
カフェオレ斑の治療法として、レーザー治療、皮膚凍結療法(ドライアイスなどで皮膚表面を凍らす治療)、削皮術(皮膚表面を削る治療)、外用薬による治療があります。しかし、いずれも効果についてはまだはっきりと分かっておらず、現在のところカフェオレ斑を消失させる確実な方法はありません。
これらの中で広く行われているのがレーザー治療ですが、一部で効果を示す症例があるものの、まったく効果が見られない場合や色が抜けても再発する場合、かえって色が濃くなったり毛穴の黒さが目立つようになったりする場合もあります。
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