かんれいぎょうしゅうそしょう

寒冷凝集素症

同義語
Cold Agglutinin Disease
最終更新日:
2023年01月26日
Icon close
2023/01/26
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

寒冷凝集素症(CAD:Cold Agglutinin Disease)は自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の1種です。

自己免疫性溶血性貧血とは、自身の正常な赤血球に結合する自己抗体が生じることにより、赤血球が通常よりも早く破壊されるようになり、貧血に至る病気です。自己抗体は通常、自分の体を異物などから守るために作られますが、自己免疫性溶血性貧血のような“自己免疫疾患”では、誤って自分の体を攻撃する自己抗体が作られてしまいます。

寒冷凝集素症は、この自己免疫性溶血性貧血の中でも”冷式”に分類されます。これは、体温よりも低い温度になったときに抗体の結合が強くなる自己免疫性溶血性貧血のことをいいます。通常、ほかの抗体に比べて大型のIgM(抗体機能を持つ免疫グロブリンの1種)が産生され、この冷式抗体を寒冷凝集素と呼びます。一方で、体温程度の温度でもっとも抗体の結合が強くなる自己免疫性溶血性貧血は“温式”といわれます。

種類

寒冷凝集素症には、発症の原因がなく起こる“特発性”のほか、何らかの病気による免疫異常をきっかけに起こる“続発性”があります。近年は、特発性を単にCAD(寒冷凝集素症)と呼び、続発性をCAS(寒冷凝集素症候群)と呼ぶ傾向にあります。続発性の寒冷凝集素症を招く病気としては、以下のようなものが挙げられます。

続発性寒冷凝集素症の主な原因疾患

原因

寒冷凝集素症を含む自己免疫性溶血性貧血において、なぜ異常な自己抗体が産生されるのかという詳細な発症機序は分かっていません。一方で、続発性寒冷凝集素症の場合は前述のような病気をきっかけに発症します。

症状

自己免疫性溶血性貧血全体を通じて生じる症状として、貧血による顔色の悪化や疲れやすさ、息切れ、めまい頭痛などが挙げられます。また、皮膚や白目の部分が黄色くなる“黄疸(おうだん)”や脾臓(ひぞう)の腫れ、胆石症などを合併することもあります。赤血球が多く壊された場合、尿の色が濃くなる“ヘモグロビン尿”がみられる方もいます。

寒冷凝集素症の特徴的な症状としては、四肢の先や鼻先、耳が紫色になるチアノーゼや感覚異常、冷たいものを触ったときなどに指が真っ白になる“レイノー症状”などが挙げられます。また感染症に伴って生じる続発性寒冷凝集素症の場合、症状が急激に現れることも少なくなく、強い貧血やヘモグロビン尿がみられる可能性が高まります。マイコプラズマ肺炎による続発性寒冷凝集素症では、発症から2~3週間経った回復期に症状が現れます。

検査・診断

まずは、診察で臨床所見や症状について確認します。溶血性貧血が疑われれば抗体や補体を検出するクームス試験を行い、陽性であれば寒冷凝集素を測定し、上昇していれば診断が確定します。

血液検査

貧血の有無(ヘモグロビン、MCV(平均赤血球容量))、溶血の有無(LDH、ビリルビン値、網状赤血球数)、クームス試験、寒冷凝集素の値などさまざまな項目の検査が行われます。

尿検査

ヘモグロビン尿の有無や尿中のウロビリン体の値などを確認します。

骨髄検査

骨髄では、赤血球のもととなる“造血幹細胞”が作られます。造血幹細胞は、“赤芽球”と呼ばれるものに変化した後、赤血球になります。寒冷凝集素症では、骨髄中の赤芽球の増加が認められることがあります。

画像検査

画像検査はさまざまな目的で取り入れられることがあります。たとえば、マイコプラズマ肺炎から続発する寒冷凝集素症が疑われる場合、X線検査で肺炎が生じていないかを確認します。さらに、続発性の原因としての悪性腫瘍(がん)を除外するために、CTなどの画像検査を行います。

治療

寒冷凝集素症は根本的な治療方法が確立されていません。温式の自己免疫性溶血性貧血の場合、ステロイドホルモン剤が検討されますが、冷式の自己免疫性溶血性貧血では有効性が明らかでなく、長きにわたって有効な治療薬がありませんでした。しかし、2022年に寒冷凝集素症の治療薬として“スチムリマブ”が日本で初めて製造販売承認を得て、注目を浴びています。

寒冷凝集素は寒いところで活性化することが分かっているため、寒い場所にいることを避け、まずはしっかり保温することが大切です。重症の場合には、輸血や血漿交換などが検討されます。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

「寒冷凝集素症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

実績のある医師をチェック

寒冷凝集素症

Icon unfold more