概要
慢性剥離性歯肉炎とは、特殊な歯肉炎のひとつであり難治性です。尋常性天疱瘡などの皮膚疾患の一症状として口腔内に現れたものとの報告がありますが、ホルモンによる影響や細菌やアレルギーにより誘発される場合もあるとされており、病態本体に不明な点も多いです。
慢性剥離性歯肉炎は、歯肉の辺縁の慢性潰瘍、剥離性びらんと浮腫性紅斑が特徴的で、軽くこすると上皮が剥離しやすく、その経過がかなり長期的に続くために付けられた症状名です。治療は対症療法が主体となります。
原因
剥離性歯肉炎は歯肉の辺縁に慢性潰瘍や剥離性びらんが特徴的に現れる歯肉炎ですが、病態本体は不明な点があり、さまざまな病気に伴って歯肉に生じた症状であると考えられています。尋常性天疱瘡などの皮膚疾患の一症状として口腔内にできるとも報告されています。また、閉経前後の女性にこの疾患の報告が多いことから、ホルモンによる影響が関与するとも考えられています。しかし高齢の男性でも発症例が報告されていることなどから、その関連については不明です。
剥離性歯肉炎はそれ自体が独立した病気でなく、さまざまな状態に関連した歯肉の反応であると考えられています。細菌やアレルギーによって誘発されることもあるとの報告があり、歯科治療によって使われた金属やレジンなどの歯科材料によるアレルギーによって剥離性歯肉炎のようなびらん症状が起こるとの報告もあります。また精神的ストレスとの関連もあるといわれています。
症状の範囲も数本に限局した部分的な剥離性歯肉炎から、口腔内全体に及ぶものまで範囲もさまざまです。
症状
歯肉の表面の上皮が剥がれることから、露出した結合組織により灼熱感や接触時の痛みを特徴とする症状が現れます。また上皮はそのうち脱落して鮮紅色のびらんや潰瘍が形成されます。無症状のまま進行することもありますが激痛を訴えることも多く、緩解期と増悪期を繰り返すことが多いと考えられています。
慢性剥離性歯肉炎の多くは閉経後の女性であったことから、ホルモンが関連しているとも疑われていた経緯があります。また半数は歯肉に限局しますが、口腔外に生じることもあり、類天疱瘡、天疱瘡、扁平苔癬、および自己免疫疾患の一症状として口腔内に現れます。
症状は付着歯肉に発赤が斑点状に生じたり、歯肉全体にわたって帯状の浮腫性紅斑がみられたり、小水疱の形成を伴ったりします。基礎疾患が尋常性天疱瘡の場合以外では頬側にみられることが多く、特に下顎前歯部と上顎臼歯部に生じる場合が多いです。
病変部の上皮が容易に剥離することや経過が長期にわたることからついた症状名であり、経過観察中に基礎疾患が判別できる場合が多いですが、長期間にわたって病変が歯肉にのみ限局していて基礎疾患が把握できない場合もあります。
検査・診断
慢性剥離性歯肉炎は歯肉に限局する浮腫性紅斑と剥離性びらんを特徴とするものであり、刺激痛や接触痛を伴うことや簡単に上皮が剥離する様子が確認されること、長期的な経過をたどることなどが診断の根拠となります。また歯肉の組織切片の病理検査から上皮の非薄化や潰瘍の形成、炎症の慢性化を示す所見などが得られれば慢性剥離性歯肉炎と診断されます。
治療
慢性剥離性歯肉炎に併発している歯周炎などに対しては、プラークコントロールを徹底し病状の安定を維持していきます。疼痛による口腔清掃が困難な場合には、抗生物質による抗菌作用とステロイドの抗炎症作用・抗アレルギー作用により炎症を抑えることを目的に混合剤などを使用する場合があります。
対症療法が中心となっており、局所貼薬としては他に口腔内用のステロイド外用薬軟膏などがよく使われ、症状軽減に有効です。全身投与薬としては、基礎疾患が尋常性天疱瘡や類天疱瘡で歯肉に疼痛がある場合の症状軽減にステロイド剤が有効であるとされています。抗生物質や鎮痛薬は二次感染の予防目的に投与されますが、病変そのものには効果がほとんどありません。
歯周外科治療による病変の除去や健全組織との置換が有効であるとの報告もあり、病態や経過に応じて適応されることがあります。
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