しょうせきのうほうしょう

掌蹠膿疱症

最終更新日
2021年10月18日
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2021/10/18
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは、手の平や足の裏に膿疱(内部に(うみ)がたまった水膨れ)が繰り返しできる病気のことです。通常、“膿”は細菌感染などによって生じるものですが、この病気の膿疱は感染によって生じるものではありません。明確な発症メカニズムは解明されていませんが、この病気は扁桃炎(へんとうえん)副鼻腔炎(ふくびくうえん)、虫歯、歯周病などの体の一部で感染が生じることや金属アレルギー喫煙などが発症と関連していると指摘されています。

発症すると、最初に小さな水疱を生じ、次第に膿疱に変化、しばらくすると膿疱が乾いてかさぶたになって剥がれ落ちます。この現象を次々と繰り返します。重症なケースでは、手の平や足の裏の皮膚が厚くなってひび割れを起こすため痛みを伴うようになります。また、約1~3割のケースで前胸部をはじめとする関節が腫れたり痛んだりする症状が見られるのも特徴の1つです。

治療は、まず原因と考えられる感染部位の治療を行ったり、アレルギーを引き起こす金属を避けることや禁煙などの生活習慣の改善をすることが重要です。症状を抑えるためには、ステロイドの塗り薬や、内服治療、光線療法などを行います。なお、重症例では近年、生物学的製剤を使用することができるようになりました。

原因

掌蹠膿疱症の原因は現在のところ全ては解明されていません。

しかし、扁桃炎副鼻腔炎、虫歯、歯周病など一部の慢性的な感染症が発症に関わっていることが知られており、扁桃の摘出手術や歯科治療をすると症状が改善することがあります。そのほか、金属アレルギー喫煙習慣も発症に関わっていると考えられています。また、特定の遺伝子を持つ人は掌蹠膿疱症を発症しやすいとの報告もあります。

症状

掌蹠膿疱症は手の平と足の裏に次々と小さな水疱ができ、徐々に膿疱に変化していくのが特徴です。膿疱は時間が経つとかさぶたになって皮がむけていき、また別の場所で新たな病変が形成されます。悪化すると手の平や足の裏の皮膚が赤くなって厚くなり、些細な刺激でひび割れが起こるなど痛みを伴いやすくなります。なお、掌蹠膿疱症によって生じる膿疱は無菌ですが、潰れた部位に細菌感染が二次的に生じるケースもあります。

また、掌蹠膿疱症は約1~3割で前胸部(特に胸骨と鎖骨の接合部など)、後ろの首の付け根、腰の骨に炎症が生じ、腫れや痛みを伴うことがあり、注意が必要です。爪にも肥厚(ひこう)点状陥凹(てんじょうかんおう)、変形などを引き起こします。手の平や足の裏だけでなく脚の(すね)、膝などに赤い発疹(ほっしん)が現れることもあり、このような掌蹠膿疱症による他部位の発疹のことを“掌蹠外皮疹”と呼びます。

検査・診断

掌蹠膿疱症は見た目が特徴的な病気であるため“視診”によって診断されることが一般的です。しかし、細菌感染による膿疱の可能性が考えられる場合は、膿疱の内部のを採取して細菌が潜んでいるか調べる細菌培養検査を行います。見た目が水虫にも似ているため、皮膚の角質を一部採取して顕微鏡で調べ、水虫を起こす白癬菌がいるかどうかを調べることもあります。

また、この病気は扁桃炎や虫歯などの慢性感染症が原因となることが知られているため、このような感染性の病気がないかを調べるために、耳鼻科や歯科的な検査を行うことも少なくありません。そのほか、上述したような関節の腫れや痛みがあるときは、骨などに異常がないか調べるためX線やMRIなどによる画像検査を行うことがあります。

治療

掌蹠膿疱症の治療として、扁桃炎や虫歯など発症の原因となっている感染性の病気の治療、アレルギーを引き起こす金属との接触を避ける・禁煙するといった生活習慣の改善を行うことがまずは重要です。

皮膚の症状にはステロイドやビタミンDが含まれた塗り薬が主に使用されますが、改善しないような場合には、患部に紫外線を照射する光線療法、ビタミンA誘導体や免疫抑制剤などの内服治療、さらに、重症例には、生物学的製剤も使用されるようになってきました。特に関節炎を伴う場合には、炎症が進行する前に積極的な治療が必要になることもあります。

予防

掌蹠膿疱症は発症メカニズムが全ては解明されておらず、明確な予防法はないのが現状です。

しかし、上述したように発症には特定部位の感染、生活習慣が関与していると考えられています。発症を予防するには、歯周病などの慢性的な感染症が生じた場合は速やかな治療を心がけることや、禁煙するなどの対策を講じることが大切です。

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