しんせいじはいえん

新生児肺炎

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概要

新生児肺炎とは、新生児期に発症する肺炎のことを指します。新生児敗血症の一症状として肺炎が生じていることもあれば、その一方で肺にのみ病変が限局していることもあります。

新生児は出産という大きなイベントを経てこの世に生を受けるため、出産に関連した病原体が原因となることが特徴的です。また、新生児の免疫力は弱く、急速な進行から病状が重症化することもあります。したがって、病気の発症を早期に察知し、早い段階から適切な薬を用いて治療介入を行うことが大切です。

原因

新生児肺炎は、新生児に発症する肺炎を指します。肺炎は乳児や幼児、学童においても非常にありふれた病気ですが、新生児期に発症する肺炎は大きく性格を異にする部分があります。新生児期では、出産を経てからまだ間もないため、新生児肺炎では周産期に関連した病原体が原因となることが多いです。しかし、大きくなるにつれて学校や幼稚園などの環境中に存在する病原体が原因となることが多くなります。

新生児期においては、原因菌の例として、B群溶血性連鎖球菌(びーぐんようけつせいれんさきゅうきん)や大腸菌などを挙げることができます。出産時や前期破水などの折に原因菌が母体から移行することで、胎児に感染症症状を引き起こします(経産道感染)。特にB群溶血性連鎖球菌は膣に存在する常在菌ですが、生後数時間のうちに敗血症を発症し、敗血症の一症状として肺炎を引き起こすことがあります。

また、(ちつ)にはヘルペスやクラミジア、カンジダが存在していることもあります。経膣分娩(ぶんべん)の際に、こうした病原体に物理的に接触することから赤ちゃんへと移行し、新生児肺炎の原因となることもあります。

さらに、出産前に母体がリステリアや梅毒(ばいどく)などにかかっている場合、胎盤を経由して胎児に病原体がうつることもあります。リステリアは乳製品を代表とする食品を経由して母体に感染することがあり、下痢などの消化器症状を生じます。また、梅毒は性感染症として母親が有することもあります。

低出生体重児早産児、そのほか基礎疾患を有する新生児の場合、出産後間もなくNICUへ入院することもあります。NICUは通常よりもより一層免疫力が低下している子どもを多く治療している環境であることから、黄色ブドウ球菌、(りょくのうきん)などが移ってしまい、新生児肺炎を発症することもあります(水平感染)。

症状

新生児肺炎は、肺に限局した肺炎として生じることもありますが、出生後数時間のうちに新生児敗血症の一症状として生じることもあります。このことを反映して新生児肺炎では、呼吸数の増加もしくは無呼吸、呻吟(しんぎん)(うなり声)、陥没(かんぼつ)呼吸(呼吸に伴い肋骨周囲がへこむこと)、鼻翼呼吸(鼻の孔を広げて呼吸すること)などの呼吸器症状以外にも、末梢の冷感、血圧低下、発熱もしくは低体温なども認めることがあります。

検査・診断

新生児肺炎の診断は、画像検査や血液検査、各種細菌検査をもとにして行います。胸部単純レントゲン写真では、肺に炎症が生じている画像的な変化を確認します。血液検査では、CRPを始めとした炎症所見を確認したり、体内のアシドーシスの状況を確認したりします。

細菌検査では、痰や血液を用いて原因となっている細菌を同定します。顕微鏡的に細菌の見た目を評価したり、培養したりすることで原因菌をより正確に鑑別します。また、培養検査では薬剤の感受性を調べることもあり、治療薬の選択に有益な情報をもたらします。さらに、ウイルスの関与が疑われる場合には、そのウイルスに対する抗体検査やウイルス分離といった手段をとることが検討されます。

治療

新生児肺炎の治療の基本は、原因となっている病原体に対して効果のある薬を使用することです。特に病初期には原因となっている病原体を確実にそれと同定できないことがほとんどです。そのため、発症までの臨床経過や周産期における情報をもとに可能性としてありうる病原体に効果のある薬を使用します。たとえば、母体がクラミジアに感染していた、性器にヘルペス病変があったなどの場合には、それぞれエリスロマイシンや抗ヘルペス薬などの薬が選択されます。NICUに入院中しばらくしてからの発症している場合には、MRSAや緑菌の可能性を考慮し、それぞれ効果のある抗生物質を選択します。

母児感染については予防が可能なものもいくつかあります。B群溶血性連鎖球菌であれば周産期に抗生物質を母体に投与することで、赤ちゃんへの感染症を抑えることができます。また、クラミジアであれば、パートナーを含めて薬で治療を行うことが可能です。ヘルペスに対しては、場合により産道からの感染を防ぐため帝王切開が選択されることもあります。

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