かいせん

疥癬

最終更新日
2021年01月29日
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2021/01/29
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

疥癬(かいせん)とは、ヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚の角質層に寄生することにより生じる皮膚感染症です。人から人へ感染し、介護を必要とする家族内での感染や老人ホームでの感染がよく知られています。

一度感染すると、約1〜2か月程度の潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)を経て強いかゆみと赤い発疹(ほっしん)が起こります。疥癬の治療は、外用療法や内服療法、もしくは両者を併用して行われます。

原因

疥癬はヒゼンダニが皮膚の角層に感染することで発症します。ヒゼンダニの成虫は大きさ0.2~0.4mmで、角層内部で産卵し繁殖します。感染後すぐには症状が現れません。感染してから4〜6週間かけて多数のダニに増殖し、その虫体・脱皮殻・糞がアレルギー反応の原因となり、激しいかゆみが始まります。

ヒゼンダニは疥癬の患者さんとの直接のスキンシップで感染するほか、衣類、寝具類などを介して伝染することがあります。介護を必要とする家族内、老人ホーム、病院などでよくみられます。

症状

疥癬の症状は激しいかゆみです。このかゆみは、夜間に特に強くなるという特徴があります。ただし、高齢者や角化型疥癬の患者さんではかゆみの訴えが少ない場合もあります。かゆみの症状は、ダニに対するアレルギー反応が引き起こしていると考えられています。

ヒゼンダニに感染してから1か月程度の潜伏期間を経てかゆみや発疹が生じます。赤い丘疹(きゅうしん)が、指と指の間・首筋・(わき)の下・手首・下腹部・臀部(でんぶ)・陰部などに現れます。特に指間、指、手掌、手首、足などに現れる線状の発疹は、メスのダニが卵を産みながら角層内を移動することによるものです。男性の場合は性器の陰嚢部などに硬いしこり(結節)が目立ちます。

検査・診断

ダーモスコピー検査または顕微鏡検査で、発疹部位にヒゼンダニが存在していることを確認します。顕微鏡検査では赤い発疹の部位から皮膚の角層を採取し、ヒゼンダニの成虫や卵などを検出します。特に疥癬トンネルを探し、その先端部をじっくりダーモスコープで観察するとダニを見つけることができます。またその部位の角層を採取することで、顕微鏡でもダニを見つけることが可能です。

人から人への感染なので、感染のもとになった患者さんがいないかどうか、そして直接接触した人々に疥癬を疑う発疹がないかを確認し、必要に応じて皮膚の観察や検査をすることも重要です。

治療

疥癬の治療にはヒゼンダニを殺す目的で外用療法(塗り薬)と内服療法(飲み薬)、もしくは両者の併用が行われます。塗り薬としては、フェノトリンローションやイオウ剤、クロタミトンクリームなどが検討されます。

しかし、有効性と安全性からフェノトリンローションが使用されます。1週間隔で少なくとも2回、皮疹のない部位も含め首から下に外用します。飲み薬としては、イベルメクチンを空腹時に1回服用します。1週間後にヒゼンダニがいるか典型的な皮疹があれば再度服用します。また、かゆみの症状を緩和するために抗ヒスタミン薬が処方されることもあります。

疥癬の治療は、ヒゼンダニが検出されて疥癬であると確定した患者さんだけでなく、確定診断された患者さんと接触する機会があり、明らかに疥癬の症状を呈している人にも行うことがあります。

予防

疥癬を予防するためには患者を早期発見することが大切です。そのため、気になる症状があった場合には速やかに病院を受診することを検討しましょう。また、万一患者が見つかった場合には、症状がなくても患者と生活をともにする人、患者と接触があった人も検査を受けるようにしましょう。

患者と触れ合う機会がある人は、接する前後に手洗いをしっかり行うことを心がけましょう。また、長い時間肌が触れ合う状態は避け、同室で就寝することは避けましょう。タオルなどは共用せず、分けて使用することを心がけましょう。

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