のうえん・のうしょう

脳炎・脳症

最終更新日:
2023年09月28日
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2023/09/28
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2023/08/16
更新しました
2017/04/25
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概要

脳炎・脳症とは、脳に炎症が生じる病気の総称です。原因はさまざまで、ウイルス・細菌・真菌(カビ)などの病原体が脳に侵入することや、過剰な免疫がはたらいて脳にダメージを与えたりすることなどが原因として挙げられます。

発症すると、頭痛、嘔吐や発熱などの症状を引き起こし、けいれん、しびれなどの神経症状や錯乱状態などの精神症状がみられることもあります。また、重症な場合は意識障害を引き起こし、命を落とすケースもあります。

治療法は発症の原因によって異なりますが、感染症が原因の場合は抗菌薬や抗ウイルス薬を投与し、過剰な免疫作用による脳炎・脳症の場合は免疫作用を弱めるためにステロイドなどが使用されることがあります。そのほか、脳圧や頭痛や嘔吐などへの対症療法が行われる場合もあります。

原因

脳炎・脳症の原因でもっとも多いのは脳へのウイルス感染による“ウイルス性脳炎”です。

脳炎・脳症を引き起こすウイルスはさまざまありますが、代表的なものでは単純ヘルペスウイルス、日本脳炎ウイルス、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、エンテロウイルスなどが挙げられます。一方で、ウイルス以外にも細菌、真菌などによって引き起こされることもあります。

また、免疫の作用が過剰になることで脳の一部が攻撃されて発症することもあります(自己免疫性脳炎・脳症)。自己免疫性脳炎・脳症は、エンテロウイルスやHIVウイルス、麻疹ウイルスなど特定のウイルス感染やワクチンを接種した後やがんになったときなどに引き起こされることが知られています。

症状

脳炎・脳症の症状は、原因や重症度によって大きく異なりますが、一般的には発熱、頭痛、吐き気・嘔吐などの症状が現れ、脳へのダメージが強くなるとけいれんなどの神経症状を伴うようになります。

また、進行すると人格の変化や錯乱、傾眠などの精神症状が現れることもあり、進行すると昏睡状態に陥って命を落とすこともあります。

さらに、炎症が脳だけでなく脊髄(せきずい)にまで波及すると、しびれや麻痺などの神経症状が起こることもあります。症状はダメージを受けた部位によって異なりますが、尿失禁や便失禁などが生じることもあります。

なお、感染症による脳炎・脳症の多くは病原体に感染した際に発症しますが、麻疹ウイルス水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルス・単純ヘルペスウイルスなどは感染から長期間経過後に体内に残っているウイルスが再活性化して発症することがあります。このようなタイプの脳炎・脳症は脳に強いダメージを引き起こす可能性があります。

検査・診断

脳炎・脳症が疑われる場合は以下のような検査が行われます。

画像検査

脳の状態を評価するためにCTやMRIによる画像検査が行われます。

脳炎・脳症の診断にはMRIが適していますが、MRIが行えない場合はCT検査で脳卒中脳腫瘍(のうしゅよう)など、脳炎・脳症と同様の神経症状を引き起こす病気の有無を確認する場合もあります。

腰椎穿刺

腰椎に針を刺して髄液を採取し、含まれる白血球数や病原体の有無を調べます。脳炎・脳症の原因を調べることができる大切な検査です。

血液検査

血液検査のみでは脳炎・脳症の診断はできませんが、炎症の程度など全身の状態を評価するために行うのが一般的です。また、ウイルスの抗体の量などを調べることで脳炎・脳症の原因を調べることもできます。

治療

脳炎・脳症の治療は、原因や重症度によって大きく異なります。

いずれの場合も、けいれんや意識障害などの神経症状がある場合には抗けいれん薬の投与や呼吸管理などが行われます。また、炎症によって脳圧が上昇している場合には脳圧を下げるための薬物も使用されます。

また、脳炎・脳症の治療は上述したような症状を緩和させるための治療だけではなく、発症原因に対する治療も並行して行うのが一般的です。具体的には、感染症の場合は抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬の投与が行われ、自己免疫性脳炎・脳症の場合はステロイド投与のほか、体内から異常な免疫の細胞を除去するための血漿(けっしょう)交換療法などが行われます。

予防

脳炎・脳症ははっきりした原因が分からないこともありますが、もっとも多いとされるウイルス性脳炎など感染症に起因するものは感染対策を行うことで予防が期待できます。

また、麻疹ウイルスや日本脳炎ウイルスなどはワクチンがあるため、正しく接種を完了することも大切です。

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脳炎・脳症を得意な領域としている医師

  • 川崎医科大学総合医療センター 内科 副部長/川崎医科大学神経内科学教室 特任准教授

    • パーキンソン病
    • てんかん
    • 多発性硬化症
    • 視神経脊髄炎
    • 脳炎・脳症
    • 眼瞼けいれん
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