Dだいまー

Dダイマー

血液
血液検査
血液を採取し、その中に含まれる物質などを測定する検査です。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
フォローアップ
治療の効果や、病気の経過を知るために行われる検査です。定期的に繰り返して実施されることもあります。
スクリーニング
ある特定の病気について、その可能性があるかどうかを広く知るために行われる検査です。具体的な診断をするためにはさらなる検査を必要とします。また、健康診断などで用いられることもあります。
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基準値・基準範囲(出典元:エスアールエル詳細)

※検査機関・検査方法によって異なる場合があります。

  • 1.0μg/mL未満

Dダイマーとは、血栓(けっせん)(血液の塊)中のフィブリンという物質が溶解された際に生じる物質の一つです。血液中に含まれるこの物質の量を調べることによって、体内で血栓(血液の塊)が形成されている、または形成された可能性の有無を推し量ることができます。血栓が形成されやすくなる病気は多岐に渡りますが、代表的なものでは、敗血症や悪性腫瘍、肝硬変などのような細小血管内に微小血栓が多発する病態(播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群(DIC))を引き起こす病気や、すでにできてしまった血栓が血管を塞いで起こる深部静脈血栓症や肺塞栓(そくせん)症などをあげることができます。

人間の血液は、大量の出血や重症な感染症などが生じると、血小板やさまざまな凝固因子の作用によって固まりやすくなることが知られており、このはたらきに関わる仕組みを「凝固系」と呼びます。これにより血液中に血栓が形成されると、脳や心臓、肺などの血管を詰まらせ重篤な病気を引き起こすことがあります。このため、ヒトの身体には血栓を溶かすための「線溶系(せんようけい)」と呼ばれる仕組みも備わっています。Dダイマーは、この「線溶系」によって血栓が溶かされたときに生じます。

Dダイマー検査は上で述べたような病気の可能性が考えられる場合、病名を特定するための補助的な検査の一つとして行われます。この検査だけで病名がはっきり決まるという性質のものではありません。

また、病名がすでに分かっている場合でもその重症度を推し量る・経過をみる目的や、手術後などに全身状態を広く観察する目的でも行われることがある検査です。

Dダイマーは血液検査によって測定します。食事や服薬内容などには影響されない検査のため、検査前の制限は特にありません。

検査前に心がけるとよいこと

この検査を受ける人では、血液が止まりにくくなっている場合があります。そのため、検査後はしっかりと止血を行うことが大切です。止血や採血の妨げとならないよう、ゆとりがあり、腕がまくりやすい衣類を着用していくとスムーズに検査できます。

検査に使用する血液は、一般的な採血によって採取します。採血自体がスムーズであればさほど時間もかからず、痛みも採血の際針を刺す痛みのみで行えると考えられます。

Dダイマー検査の基準値は1.0μg/mL未満が一般的です。ただし、検査の方法や検査機関によって基準値が異なる場合もあるため、結果については担当医の説明をよく聞くようにしましょう。

Dダイマーが正常値よりも高値である場合、体内で血栓が形成されやすい状態となっていることが考えられます。Dダイマーが異常値というだけで病気を特定することはできませんが、血栓ができやすくなる病気の可能性が示唆され、画像検査などの精密検査につなげることができます。精密検査の内容は疑われる病気によって大きく異なりますが、代表的なものでは、肺塞栓症での胸部造影CT検査や動脈血ガス分析、深部静脈血栓症での下肢超音波検査や造影CT検査などが挙げられます。Dダイマーの結果だけでなく、総合的な判断によってどのような精密検査を用いるかは変わってきます。

また、Dダイマーはすでに病気が判別していて、治療中の人の経過を見るために用いられることも多い検査です。異常値であったとしても、以前のデータと比較した場合には改善傾向と判断されることもあります。その場合には現行の治療や経過観察が継続されることになり、何らかの特別な対応がなされないことも考えられます。

Dダイマーは何らかの病気が疑われる場合に行う検査のため、異常があった場合には医師の指示に従って精密検査や治療、経過観察を行う必要があります。

すでに病気が分かっている人の場合では、出血しやすいなど日常生活上気をつけるポイントがあることもあります。

いずれの場合でも主治医とよく相談し、自己判断で通院や治療、精密検査を中断してしまうことがないようにしましょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。