けっせいあみらーぜ

血清アミラーゼ

膵臓
唾液腺
血液検査
血液を採取し、その中に含まれる物質などを測定する検査です。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
フォローアップ
治療の効果や、病気の経過を知るために行われる検査です。定期的に繰り返して実施されることもあります。
スクリーニング
ある特定の病気について、その可能性があるかどうかを広く知るために行われる検査です。具体的な診断をするためにはさらなる検査を必要とします。また、健康診断などで用いられることもあります。
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基準値・基準範囲(出典元:エスアールエル詳細)

※検査機関・検査方法によって異なる場合があります。

  • 37~125U/L

血清アミラーゼとは、血液中に含まれる消化酵素の一種「アミラーゼ」のことです。

人体では主に唾液腺と膵臓から分泌されています。これらの臓器がダメージを受けると血液中に多くのアミラーゼが放出されるため、血清アミラーゼ濃度が上昇します。そのほかにも、膵管の閉塞につながる胆道や肝臓の病気、血清アミラーゼの尿中への排出が困難になる腎不全などを原因として数値が高値になることもあります。

一方、すい臓の病気や手術によって唾液腺やすい臓を摘出した場合には、アミラーゼの生成量が減少するため、血清アミラーゼ値は低くなります。

血清アミラーゼは、糖尿病、膵がんなどの膵臓の病気や、唾石症(だせきしょう)、シェーグレン症候群などの唾液腺の病気が疑われる際に測定される検査項目です。診断のための補助的検査や重症度・治療効果の判定を目的として行われることも少なくありません。

血清アミラーゼは、すい臓や唾液腺の病気が疑われる場合に行う検査です。ただし、血清アミラーゼの数値によって病気が確定できるわけではなく、あくまでそれらの病気があるかどうかの目星をつける目的で行われます。

また、一般的には病気が重度なほど血清アミラーゼ値は高値になり、治療を進めて軽快に向かうにつれて徐々に低下していきます。このため、治療の効果判定や経過観察目的で定期的に検査されることもあります。

血清アミラーゼ値は血液検査によって測定されます。検査値は検査前の食事の影響を受けやすいため、検査は朝空腹時などに行われます。予定して検査をする場合には、食事に関する指示があることもあるためよく聞いておきましょう。

検査前に心がけるとよいこと

また、検査当日は採血の妨げにならないよう前腕部を出しやすく、腕の締めつけが少ない服装を心がけましょう。

また、慢性膵炎などでは、高脂肪食やアルコールを摂ることで血清アミラーゼが高値になることがあります。血清アミラーゼ値が正常化するまでには5日ほどかかるとされているため、経過を見る目的で検査を受ける前は最低でも2週間は食事内容や飲酒などに注意しましょう。

血清アミラーゼ値の測定は体への負担が少ない検査です。採血さえ滞りなく済めば短時間で終了し、採血時の痛みも軽度です。

血清アミラーゼ検査の基準値は、37~125(U/L)です。

ただし、検査の方法や実施する医療機関・医師によって基準値の幅は異なることもあるため、結果については検査を受けた病院の判断に従うようにしましょう。

血清アミラーゼ値が基準値よりも高値または低値である場合、すい臓や肝臓、胆道、唾液腺の病気の可能性が考えられます。血清アミラーゼ値の数値のみで病気を特定することはできません。しかし、簡易的に行える検査のため、病気のスクリーニングや病気の重症度などを判定するのに非常に優れています。

異常が見られた場合は、そのほかの血液検査結果や症状などから考えられる病気を絞り込みます。すい臓・肝臓・胆道の病気が疑われる場合は、腹部超音波検査や腹部CT検査、MRI検査、唾液腺の病気が疑われる場合には唾液腺生検、唾液管造影検査などの精密検査が行われます。

また、すでに病気が特定されており、病気の治療効果や経過を判定するために検査を行うケースでは、前回の検査値より大幅な異常値が検出された場合、治療方法の変更や治療の開始・再開などを検討する必要があります。

一般的に血清アミラーゼ値はすい臓や唾液腺などの病気が疑われる場合に行われる検査です。このため、異常値が検出された場合は、放置せずに必ず精密検査を受けて病気を特定し、早期発見・早期治療につなげていくことが大切です。

また、血清アミラーゼ値の異常の原因となる膵炎は、過度な飲酒や脂肪分の多い食事などによって引き起こされることがあります。一度発症すると、再発を繰り返すことがあるため、普段の食生活には十分注意するようにしましょう。

また、医師から定期的な検査をすすめられた際は、症状がない場合でも必ず医師の指示通り経過観察を続けることが大切です。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。