ロイシンアミノペプチダーゼとは、ペプチド(アミノ酸が連なったもの)の末端から、ロイシンと呼ばれるアミノ酸の一種を切断するはたらきを持つ酵素のことです。検査では、血液中の濃度が調べられ、一般的にはLAPと表記されます。
ロイシンアミノペプチダーゼは、肝臓や腎臓、腸管などさまざまな臓器に分布していますが、胆汁がうっ滞(流れが悪くなり、とどこおってしまうこと)すると、血液中に漏出されるようになるため血中濃度が上昇します。
この性質を利用して、γ-GTPやALPと同じく胆石症や胆管がん、肝硬変、肝炎や肝臓がんなど、胆汁のうっ滞が生じる病気の有無を広く確認するためや、鑑別診断などを目的として調べられる検査項目の1つです。
一方、ロイシンアミノペプチダーゼには3つのタイプが存在します。そのなかには胎盤から放出されるものがあり、妊娠をしているとロイシンアミノペプチダーゼが上昇する場合があります。そのため、検査を行う際には妊娠の有無を確認する必要があります。
ロイシンアミノペプチダーゼは、上で述べたような胆汁うっ滞が生じる病気が疑われた際に行われる検査です。黄疸(肝臓や血液の異常で皮膚や粘膜が黄色くなること)や発熱など、胆汁うっ滞が疑われる症状がみられる際に行われることが一般的です。
また、同じく胆汁うっ滞の有無の指標となるALPは、健康診断などでも広く取り入れられている検査項目ですが、骨の病気などによっても高値となるため、骨の病気との鑑別を行うためにロイシンアミノペプチターゼ値が調べられることもあります。
さらに、病気が確定して治療や経過観察を開始したあとも、病状や治療効果を確認する目的で検査が行われることもあります。
ロイシンアミノペプチダーゼは、血液検査によって測定されます。このため、検査では採血が必要となります。
検査当日は採血の妨げとならないよう、前腕部が出しやすく、腕の締めつけが少ない服装を選ぶようにしましょう。
また、検査数値は検査前の食事や運動などの影響を受けないため、日常生活のなかで検査前に注意することは特にありません。しかし、妊娠している場合には、必ずその旨を医師に伝えてください。
この検査を受ける人は、肝機能障害による血小板数や凝固因子の減少によって血液が止まりにくくなっていることがあります。採血を行ったあとは採血部を十分に圧迫止血する必要があるため、検査前から準備をしておくとよいでしょう。
ロイシンアミノペプチダーゼ値を調べるために血液を採取します。血液の採取は、一般的な静脈血採血と同様の手法で行うため、採血操作自体が滞りなく終了すれば、採血部の圧迫止血を含めて5分程度で終えることができます。
また、採血時に若干の痛みは伴いますが、一瞬かつ自制内の痛みであるため過度に心配する必要はありません。
ロイシンアミノペプチダーゼの基準値は、35~73(U/L)です。
ただし、基準値の範囲は検査を実施した病院や医師の見解によって異なることもあります。また、病気の有無は検査数値だけでなく、臨床症状やほかの検査結果などを総合して判断するため、検査結果は自己判断せずに担当医の判断に委ねるようにしましょう。
ロイシンアミノペプチダーゼ値の異常は、上述の胆汁うっ滞を起こしうる病気が背景にある可能性を示唆します。いずれも放っておくと非常に重い状況になることがあるため、必ず医師の指示通りに精密検査を行って病気を特定し、早期治療につなげるようにしましょう。
また、ロイシンアミノペプチダーゼの検査結果のみでは病気を特定することはできないため、精密検査が必要となります。検査内容は、症状やほかの検査結果などから疑われる病気によって異なります。
一般的には、腫瘍マーカーなどの血液検査、腹部超音波検査、CTやMRI検査、上部消化管内視鏡検査、肝生検などが必要に応じて行われます。
また、病気が確定したあとに行っている定期的な検査で、前回の検査値より明らかな異常が見つかった場合は、治療方法の変更や治療の開始・再開などを検討する必要があります。
ロイシンアミノペプチダーゼ値の異常が見つかった場合には、目立った自覚症状がない場合でもできるだけ早く医師の指示通り精密検査を受け、早期治療につなげることが大切です。
治療や経過観察を行っている場合でも、強い倦怠感や食欲不振など肝機能の異常が疑われる症状が続く際には、早めに医師に相談する必要があります。
また、高脂肪な食事や過度なアルコールは肝臓に負担をかけ、病状を悪化させることもあるため食生活を含めて生活習慣の改善を目指しましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。