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腹腔鏡検査とは、お腹に小さな穴を空けてそこから細い内視鏡(腹腔鏡)を挿入し、腹腔内の臓器を観察する検査です。主に慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんなどの肝臓の病気で用いられ、肝臓表面の色や性状、形状、大きさなどを確認し病気の診断を行います。肝臓以外にも胃や腸などの他の消化器の病気や、子宮・卵巣・卵管などの病気を調べるために行う場合もあります。
現在用いられている画像診断には実にさまざまなものがあります。代表的なものにレントゲン検査や超音波検査、CT検査、MRI検査が挙げられ、いずれも体への負担がほとんどなく、比較的容易に行えることから、さまざまな病気の診断に役立っています。しかし、このような検査は外から体内の画像を得るものであるため、体内の病変を詳細に調べられない場合があります。こういった場合に腹腔鏡検査などの体内を直接観察できる内視鏡検査が用いられます。
ただし、腹腔鏡検査は体への負担がやや大きく、多くは全身麻酔が必要となります。さまざまな病気の診断を確定するのに有用な検査ですが、体への負担が大きいことに加えて画像診断が発達したことなどから、治療を兼ねて行われるのが一般的です。
腹腔鏡検査は、主にレントゲン検査や超音波検査、CT検査、MRI検査などの画像診断、そのほか種々の検査でも診断がつかず、病変を直接確認したり組織を確実に採取したりする必要がある場合に行われることがあります。
腹腔鏡検査は全身麻酔下で行うことが多く、通常は入院して行います。また、検査の前処置として下剤の服用や絶食などが必要となります。医師から何らかの指示があった場合には、その指示に従うようにしましょう。
検査前に体調を崩した場合、安全を考慮して検査が延期されることがあります。そのため、検査前には体調を崩さないよう健康管理に気をつけましょう。
著明な出血傾向がある方、心臓や肺の機能が著しく低下している方、腹腔内に癒着が疑われる方などは原則として検査を行うことができません。
検査にあたって入院が必要なため、入院手続きに必要な書類を含め持ち物をしっかりと確認し、不備のないようにしましょう。
臓器の観察のみを目的にした検査では約1〜1.5時間、手術を行う場合は術式によって異なりますが、2〜4時間程度だと考えられます。通常は入院が必要で、入院期間は7日間程度が一般的です。ただし、検査・手術後の経過次第ではそれよりも長くなる場合があります。
検査は麻酔下で行うため、基本的には検査中に痛みを感じることはありません。しかし、検査が終わった後、麻酔が切れた頃に痛みが現れる場合があります。この場合は鎮痛薬などを用いて痛みの軽減が図られます。
腹腔鏡検査では、腹腔鏡で撮影した映像がテレビモニターに映し出され、医師がモニターを見ながら臓器の状態を観察します。通常、患者さんは検査中にモニターを見ることはなく、結果については検査後に医師から説明を受けることになります。多くは口頭で、場合によっては検査中に撮影した画像を用いて説明がなされるでしょう。
腹腔鏡検査は体への負担を伴う検査であることから、臓器の観察や組織の採取だけでなく、多くの場合手術を視野に入れて実施されます。そのため、検査によって診断が確定した後、手術の必要があると判断された場合にはその場で手術が行われるでしょう。また、腹腔鏡検査はすでに何らかの異常がみられる方に対して行われる検査のため、手術の必要がない場合でも検査後に薬物療法などの治療が必要になることが多くあります。
腹腔鏡検査を行う方は、検査中または検査後に何らかの治療が行われることが想定されます。また、検査後はベッドでの安静が必要で、その後も運動制限などの生活上の注意や、創の状態確認や抜糸のための再受診、通院が必要になる場合があります。検査後の流れや注意点などについては医師からの説明をよく聞き、指示に従って治療や経過観察、通院を行うようにしましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。