核医学検査は、CTやMRI・超音波検査などの検査と比べるとあまり知られていない検査方法です。核医学検査の概要はその1で説明しましたが、今回は、この検査がどのような手順で行われ、どの程度の時間が必要なのか、また、他の検査方法と何が異なるのかについて説明します。
本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会の3学会にご監修いただいております。
検査は基本的に、予約→検査に必要な準備→検査の実施の順に行われます。
検査の実施の手順は、放射性医薬品を体内に取り込むことから始まります。標準的に用いられているのは、静脈から注射する方法ですが、そのほかにも、経口摂取や、気体状になったものを吸入するといったケースもあります。その後、専用の装置内に横になっているだけで終了です。
装置内に入っている時間は20~30分と、短時間で終了します。検査にかかる総時間は、待ち時間からおおよそ2~3時間ほどです。ただし、検査の性質上、目的の臓器に必要な薬が集まるまで1~3時間待つこともあります。また、朝の絶食や服用中の薬の一次中止などが必要な場合もあります。更に、検査の種類によっては、注射をしてから1日または2~3日後に再来院が必要な場合もあります。核医学検査は専門の医師による診断が必要なため、検査結果の詳細な説明までは、数日かかることがほとんどです。
核医学検査では、主に臓器の働き具合(機能)を調べます。放射性医薬品がどのようなスピードで、どこにどれだけ集まってくるかを調べることで、病気の状態を迅速に診断することが可能です。それに対して、CTやMRIや超音波検査は、臓器の位置や大きさを調べます。
また、核医学検査では、形の異常として捉えられることのできない、ごく初期の腫瘍を捉えることもできるため、CTやMRIでは明らかにならない緻密な部分まで判断することが可能です。
核医学検査・CT・MR・超音波検査はそれぞれに特徴があるため、これら必要な検査を組み合わせることによって、より判定の精度を上げることができるでしょう。
最近では、PETとX線CTを連結したPET/CT装置と呼ばれる装置も利用されるようになってきています。
PET検査とは、核医学検査の別称です。X線CT(X線断層撮影法)は、外部からX線をあて、身体を通り抜けたX線を測定することで、体内の器官を画像化する検査方法です。PET/CT装置はこれらの検査によるそれぞれの情報を一度に取得できるため、病変の見逃しを最小限に留めることができるほか、単独で検査するより短時間で検査することができます。
病気や体の不調は、身体のどこかに具合の悪い部分が生じることで起こります。そこで、身体内のどこが・どのように悪いのか、そして、自分の器官の形や大きさ・機能を知っておくことが重要になります。その判定をすることで、より適切な治療を選択することが可能になるでしょう。また、治療を続けている間は、治療の効果があがっているかどうか確かめることも重要です。
このように様々な画像検査があり、どの画像診断を受けるのが適切かは個々人の容体によって異なります。いずれにしても、画像診断は治療の方法を決定する場合や、治療の効果を確かめたい場合に有用です。
※本記事は、日本核医学会、日本核医学技術学会、日本アイソトープ協会による『なぜ核医学検査を受けるの?(pdf)』をもとにしています。
記事1:核医学検査とは?その1―放射性医薬品とは何か
記事2:核医学検査とは?その2―検査の手順と他の検査との違い
記事3:核医学検査とは?その3―骨の核医学検査でわかること
記事4:核医学検査とは?その4―心臓と脳の核医学検査
記事5:核医学検査とは?その5―肺と腎臓の核医学検査
記事6:核医学検査とは?その6―甲状腺と副腎の核医学検査