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公開日 : 2017 年 08 月 15 日
更新日 : 2017 年 09 月 19 日

第59回全日本病院学会in石川に向けて―若手起業医師に期待することとは

2017年9月9日(土)10日(日)に、石川県金沢市にて開催される「第59回全日本病院学会in石川」。同県七尾市の恵寿総合病院 理事長の神野正博先生は本学会の学会長を務められます。今回の学会テーマは「大変革前夜に挑め!今こそ 生きる をデザインせよ」です。このテーマに込められた意味や学会開催に向けた抱負を、メディカルノート代表取締役社長の木畑宏一がうかがいました。

今こそ生きるをデザインせよ―テーマに込められた意味 

木畑:神野先生は、9月に開催される「第59回全日本病院学会in石川」の学会長を務められますが、意気込みのほどはいかがでしょうか。

神野:私自身、本学会の運営母体である全日本病院協会副会長、石川県支部支部長ですから、今回はいつも以上に気合が入っています。

木畑:その気合が、今回の学会のテーマにも表れていますよね。とてもインパクトがあり驚きました。

神野:「大変革前夜に挑め!今こそ 生きる をデザインせよ」ですね。確かに今までとはちがう、前衛的なテーマかもしれません。

木畑:こちらのテーマには、どのような意味が込められているのでしょうか。

神野:医療には変革が必要であるということは、以前より本学会のみならず他の学会でもいわれていることです。今回のテーマにもある「大変革前夜」という言葉には、平成30年度(2018年度)に実施される医療・介護保険診療報酬改定にまつわる医療制度改革の意味も含まれています。しかし制度だけでなく、人々の価値観も大きく変わりつつあります。

今までの病院の役割は「病気を治すこと」という延命の部分に関わっていました。各方面の医療者の努力もあり、今では延命治療はもう十分な域にまで達したのではないかと考えています。その一方、やみくもに延命治療を施すだけでなく、患者さんの生活の質(QOL)を維持・向上させ、より患者さんが自分らしく生きるためのサポートをすることが求められています。患者さんの生活全体、ライフシステムに病院が関わる必要があるのではないかと思うのです。今こそが変革のときです。

具体的には地域包括ケアの推進、急性期医療から慢性期、地域での介護までの一連の流れの整備というように、退院後であっても患者さんが病院と関わりながら心身ともに健やかに自分らしく生活ができる体制を整えていく必要があります。

つまり、これからは病院が患者さんや地域住民の方、医療者などすべての人々の「生きるをデザイン」する必要があると感じ、このようなテーマになりました。

木畑:時代に合わせて、医療そのものについての考え方を変革していかなければならないというのは、おっしゃる通りです。そのような思いを踏まえたうえで、今回の学会が今までの学会と違うのはどのような点でしょうか。

神野:今まで以上に本テーマに沿ってシンポジウムの演題や演者を決定したという点でしょうか。医療の変革は医療現場にいる医療者、その他関係者だけでなく、外部からの風を積極的に取り入れることも大切だと考えています。ですから今回は石破茂氏をはじめとした政治家、慶應義塾大学商学部教授、その他民間企業の社長など、医療関係者以外の演者も多数いらっしゃいます。

前衛的だが、何よりも情報発信が重要

神野:今の病院経営を担っている病院長や理事長は、そのほとんどが医師です。長く医療現場にいて、やがて病院経営を任される。民間企業のように、外に出て経営などを学ぶ機会が少ないと思います。ですから、なかなか外からの風が吹かないのかなと。

木畑:今回の学会において、外部の方を積極的にお招きしているのは、そういった病院経営者の方々への刺激となればというお考えでしょうか。

神野:そうした意味もあります。私ももともとは医師で、今は病院理事長をしている者ですから、体感として知っていますが、やはり現場の医師は外の風を感じて外の世界を知る機会が少ないのです。おそらく今回の学会テーマは前衛的すぎて、戸惑いを覚える医師もいるのではないかと思います。それでも私たちが積極的に情報発信をしていかなければなりません。

まずは、普段はなかにいて気づきにくい医療界の課題に改めて目を向けること、そしてその課題解決が可能なノウハウが、医療の外の世界にはたくさんあることを知っていただきたいと思います。

木畑:病院経営をするうえで、医師としての視点に加えて、経営者としての視点も養っていかなければならない、そのためには医療外の知見も身につけていかなければならないということですね。

神野:そうですね。少し話は変わりますが、よく、よい経営というとうまく利益を上げることがイメージされますよね。民間企業では、黒字経営は優良企業といわれるポイントのひとつでもあります。けれど、医療はちがう。どうしても「奉仕」に似たサービス精神が強い分野で、医療者のなかでも「患者さんからお金を取るなんて」と渋る方が多くいるのです。

しかしそもそも、よいサービス(医療)を提供するには相応の資金が必要なのは自明です。ですから、病院経営者も経営者としてのマインドも持ちつつ、患者さんに納得してお金を払ってもらえるようなサービスの開発と運営が求められると感じています。

木畑:これからの人口減少、高齢化に伴って、多くの病院が存続の危機にさらされる点も考えると、ますます経営者マインドをもった医師が病院の運営に携わることが重要になってくるのですね。

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