エアコンの電気代と効果的な節約方法

真夏の熱中症予防に欠かすことができないエアコンですが、その一方で気になるのは電気代ではないでしょうか。夏場の電気代においてはエアコンの割合が大きく、できればエアコンの使用を少なくしたいと思っている人も多いでしょう。本記事では、エアコンの仕組みや電気代の計算方法などを解説し、エアコンを効率的に使用して電気代を節約する方法を紹介していきます。

エアコンの1時間あたりの電気代

エアコンの電気代は、設定温度・気温・壁や窓の断熱性・電力会社との契約内容などによって変動します。ただし、電気代の大まかな目安については、エアコン本体や説明書に記載されている“消費電力”の値を用いて簡単に計算できます。

【1時間あたりの電気代の目安】

消費電力（W）÷1000×27円

または

消費電力（kW）×27円

上記二つの計算式のうち、“W（ワット）”表記の機種では上の式、“kW（キロワット）”表記の機種では下の式を使います（1kW＝1000W）。“27円”は主要な電力会社の電気代単価（1時間あたり）を平均した金額です。

エアコンは消費電力の幅が大きいため、たとえば“消費電力400W（120W～700W） ”などと表記されているのが通例です。“400W”はこのエアコンが標準的な運転をする場合の消費電力です。暑い部屋で冷房をつけた直後など、気温と設定温度の差が大きい際には消費電力は最大（700W）に近づきます。逆に、温度差が小さくなると消費電力は最低（120W）に近づきます。

上記の式で計算すると、このエアコンの電気代（1時間あたり）の目安は標準10.8円、最低3.24円、最大18.9円となります。

エアコンの電気代にまつわる疑問

ここでは、エアコンの電気代についてよく耳にする疑問を二つ取り上げ、エアコンの動作の仕組みと併せて解説します。

つけっぱなしのほうが電気代は安い？

エアコンの電源をつけたままにしておくと電気代が高くなるように感じますが、実際はどうなのでしょうか。エアコンの動作の仕組みから電気代の節約について見ていきましょう。

暑い部屋でスイッチを入れた直後はエアコンが勢いよく運転し、消費電力が大きくなります。しかし、ある程度涼しくなって“峠を越す”と運転は穏やかになります。こまめにエアコンを切るとせっかく涼しくなった部屋がまた暑くなり、再度電源を入れるたびに“峠を越す”ための大きなエネルギーが必要になります。その結果、余計な電気代がかかるというわけです。

ただし、長時間にわたって部屋を留守にするときは、エアコンをつけたままにしてしまうと電気の無駄になってしまいます。日中ならば30分ほどの外出であればエアコンをつけっぱなしに、夜間はこまめに電源を消したほうが電気代は抑えられるというのを目安にするのがよいでしょう。

冷房と除湿だとどっちが安い？

エアコンの除湿機能には“弱冷房除湿”と“再熱除湿”があり、前者には冷房効果もあります。 “除湿”とだけ記されていれば弱冷房除湿であることが多いです。弱冷房除湿と冷房では、どちらを使うのが節電につながるのでしょうか。

弱冷房除湿は湿度を下げることに、冷房は温度を下げることに重きを置いている機能ですが、基本的なはたらきには違いはありません。室内の空気を取り込んで冷やし、そのとき生じた結露を室外に排出し、冷えて乾燥した空気を室内に戻しています。つまり、どちらも冷房と除湿の効果を持つのです。ただし弱冷房除湿は、その名のとおり弱い冷風を室内に返すので、冷房に比べて時間あたりの電気代は抑えられる傾向があります。

室温よりも湿気のほうが気になる場合には、弱冷房除湿を使うのがおすすめです。しかし、暑さが非常に厳しいときには、弱冷房除湿だと快適になるまで時間がかかり、それだけ電気代も余分にかさんでしまうこともあります。梅雨や猛暑など季節に応じて、弱冷房除湿と冷房を使い分けるのがよいでしょう。

エアコンの電気代を節約するポイント

ここでは、消費電力を減らして電気代を節約するためのポイントをご紹介します。

設定温度を上げる

快適に感じる温度は日によって、あるいは時間帯によっても幅があり、いつもより少々高い設定温度でも実は十分に涼しいということもあります。設定温度を1℃上げるだけで、10％以上の節電になる場合もあります。“快適すぎる”設定温度を少しだけ見直すことで、大幅な節約につながります。

ecoモードを活用

エアコンに消費電力を抑える “ecoモード”などの機能がついている場合には、積極的に利用するとよいでしょう。この機能ではセンサーが人のいる場所や部屋の明るさ（時刻）などを探知し、そのときに最適な温度・風量・風向に調節することで、なるべく電力の無駄が出ないように調整してくれます。

扇風機を併用する

扇風機は空気そのものを冷やすわけではありませんが、体感温度を下げる効果があります。扇風機は電気代が比較的安いため、エアコンとうまく併用することで電気代の節約になります。

窓の遮光をする

窓をカーテンやブラインドで覆って直射日光を遮断すれば、室温の上昇を抑制できるため節電につながります。窓に遮光フィルムを貼って、室内に入ってくる熱を防ぐのもよいでしょう。

こまめにフィルター掃除をする

フィルターは、エアコンが室内の空気を取り込む際に不純物（ゴミやほこり）をキャッチする役目を果たしています。そのため、エアコンを使っていると自然にフィルターの目が詰まっていくのです。そのまま放置することで冷房効果が弱まり、電気代が5～10％も無駄になるといわれています。2週間に1度を目安に、こまめに掃除するようにしましょう。

室外機周辺の環境を整える

冷房機能を効果的に使用するためには、熱を持った空気を室外機から外に逃がすことが重要です。室外機の吹き出し口にものを置いて塞いでしまうと、熱が排出されにくくなり冷房の効率が下がります。吹き出し口付近には障害物を置かないようにしましょう。

室外機が直射日光や地面からの照り返しにさらされると、熱を逃がすことが難しくなり運転効率が下がります。吹き出し口をふさがないように注意しながら室外機を日陰に移したり、よしずを立てかけたりといった対策をするのも効果的です。

省エネを意識した機種に買い替える

最近のエアコンは、電力消費の効率を意識して設計されているタイプが多くなっています。しかし、古いエアコンだと省エネ性能が低いことも少なくありません。新しいエアコンに買い換える際には、省エネ性能に注目して選ぶとよいでしょう。

エアコンを適切に使って熱中症予防を

電気代を気にするあまり、猛暑日などにエアコンの使用を我慢し過ぎてしまうと、熱中症になってしまう可能性があります。その結果、体調を崩して仕事を休んだり医療費がかかったりすれば、電気代を節約した意味がなくなってしまうかもしれません。

これまで見てきたように、エアコンの使い方や使用環境を整えることで、電気代を節約することができます。電気代を抑える工夫をしながらエアコンを上手に活用し、熱中症予防をしていきましょう。