
扇風機とサーキュレーターは、どちらも主にファンを回転させることで風を送る機械です。エアコンとこれらの機器を併用することで、より効率よく室内を冷やすことができます。これは、熱中症予防としても推奨されている方法です。
ただし、扇風機とサーキュレーターはそれぞれ異なる目的で作られており、風の送り方が違います。そこで、扇風機とサーキュレーターの違い、用途に応じた使い分け方をまとめました。
扇風機は、体に直接風を当てて涼しさを感じさせるためのものです。エアコンとの併用ではなく、扇風機だけを使って涼をとる場合もあります。そのため、最近の扇風機には体に負担をかけないようにするための機能が搭載されています。
まずは扇風機の特徴を3点ご紹介します。
強い風が直接体に当たると、疲労の原因になりかねません。そのため、扇風機はやわらかい風が広範囲に届く作りになっています。風量調整ができる製品も多く、好みや暑さに応じた風量が選べます。
反面、扇風機の風はそれほど遠くの距離まで届きません。空気を循環させるためではなく、扇風機の近くにいる方に涼しさを届けるために適した設計となっています。
体への負担を減らし、より広範囲に風を届けるために、多くの扇風機には首振り機能が付いています。
首振り機能はオンオフが切り替えられるため、多くの人に風を当てたい場合と、自分にだけ風を当てたい場合で使い分けることが可能です。
最初に国産扇風機が作られたのは、1894年です。100年以上もの長い間利用されてきた扇風機は、その間にさまざまな進化を遂げました。
たとえば、羽なし扇風機は回転する羽がないため、安全性が高く、デザイン性にも優れています。そのほか、USB接続で電源を取れるタイプの扇風機や、手持ちもできるコンパクトな扇風機は、職場や外出先での使用に便利です。多種多様な扇風機が開発されているため、用途や好みに合わせて選択できます。
サーキュレーターは、主に室内の空気を循環させる目的で使う家電製品です。扇風機のように羽が付いていますが、体に直接、風を当てるために作られたものではありません。
ここではサーキュレーターの特徴を3点ご紹介します。
サーキュレーターの風は、広がらずに直進し、扇風機よりも遠くまで届きます。そのため、室内の空気を特定の場所へ、まっすぐに伝えることができます。
サーキュレーターは、室内の空気をかき回したり循環させたりするために作られています。そのため、風力は強めで、稼働音が大きくなりがちです。
音が気になる場合や、夜間に使いたい場合は、静音機能付きのものを選ぶか、風量を一番弱いレベルに設定するなどの対策を取りましょう(多くのサーキュレーターでは風量調整ができますが、実際の性能や調整段階は各製品により異なります)。
自宅で使うための扇風機には、多くの場合、首振り機能が搭載されています。一方、サーキュレーターには、首振り機能が付いていないものもあります。なぜなら、本来のサーキュレーターの目的は主に室内の空気の循環であり、効率よく部屋を冷やせるかどうかはエアコンとの位置関係で決まるのであって、首振り機能はそれほど重要ではないからです。
ただし、最近は首振り機能付きのサーキュレーターも多くなってきています。
サーキュレーターと扇風機は、使用する目的に応じて使い分ける必要があります。それぞれ、どのようなケースに適しているかを以下にまとめました。
暑い日に、体に直接風を受けて涼しさを感じたい場合は、扇風機が適しています。この場合、サーキュレーターで代用することはできません。
扇風機はエアコンと併用することもできます。エアコンだけでは暑く感じるときに、扇風機で風を起こしてエアコンの冷気を部屋全体に循環させることで、涼しさを感じやすくする効果が見込めます。ただし、サーキュレーターとエアコンを併用したときに比べると、室内の空気の循環機能は限定的です。
サーキュレーターは、室内に干した洗濯物を素早く乾燥させたい場合や、室内の空気を循環させてエアコンの効率を上げたい場合に適しています。夏の冷房利用だけでなく、冬の暖房利用時にも活用できます。
扇風機でも、ある程度は室内の空気循環が可能ですが、サーキュレーターを使ったほうが効率よく室内の空気を循環させることができます。
扇風機やサーキュレーターのように、風を出して涼をとるための機械に、冷風扇があります。冷風扇は、内部に水などを入れて冷たい風を出す機械です。
冷風扇も、扇風機と同じように、直接体に風を当てて涼をとります。冷たい風を送れる分、風を受けたときの冷感が増します。一方、“扇風機よりも音がうるさい”“手入れが大変”といったデメリットもあります。
なお、冷風扇は多くの場合タワー型で、扇風機やサーキュレーターのような羽は付いていません。
直接体に風を当てて涼しさを感じたい場合は扇風機、部屋の空気を循環させてエアコンの効きをよくしたい場合はサーキュレーターと、目的に応じた使い分けをすることで、効率よく室内を冷やすことができます。熱中症のリスクは、屋外活動時だけに限りません。エアコンや扇風機、サーキュレーターを活用して、室内温度を適切に保つことが大切です。
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