
夏の夜を快適に過ごすには、寝室を涼しく保つための環境作りが重要です。また、熱中症の症状が疑われる場合の応急処置では、首の両脇の太い血管などを冷やすことが有効とされます。その際には氷まくらが大いに役立ちます。
氷まくらは市販されているものもありますが、自宅で作ることも可能です。寝苦しい夏の夜を少しでも快適に過ごすため、氷まくらを手作りする方法についてまとめました。
氷まくらは、ゴム製の枕に氷や冷水を入れて作ります。頭の下に敷いて頭部を冷やす方法以外に、頬にあてたり足の下に敷いたりして使う方法もあります。
ゴム製の氷まくらを自作するのは難易度が高いものの、代用品を使えば手作りすることもできます。
ここでは、保冷剤を使った氷まくらの作り方と氷を使った氷まくらの作り方をそれぞれご紹介します。
食品保存袋などジップ付きの密閉できる袋に小さい保冷剤をいくつか入れ、その袋をタオルで巻くことで簡易的な氷まくらが作れます。また、大きい保冷剤がある場合は、それを直接タオルでくるみ、氷まくらとして利用することもできます。氷まくらにする保冷剤の硬さが気になる場合はタオルを厚めに巻いてください。
大きい保冷剤は、スーパーなどで買い物をしたときにもらえる場合があるほか、市販されているものもあります。作りたい氷まくらのサイズに合った保冷剤を探してみましょう。
氷を使って氷まくらを作る場合も、ジップ付きの密閉できる食品保存袋を使います。ただし、氷は保冷剤とは違い、水漏れの恐れがあるため袋を2種類(大1枚、小1~2枚)用意し、二重または三重にして使いましょう。水漏れが特に心配な場合は、三重にしておくと、より安心です。
作り方の手順としては、まず小さい袋の中に氷を10個、塩をひとつまみ、水を食品保存袋の半分くらいまで入れます。三重にしたい場合は同じものをもう1セット作ります。次に、大きい袋にも氷を10個入れて、小さい袋をその中に入れます。空気が入らないように封をしたら、袋全体をタオルでくるめば完成です。一緒に塩を入れることで、氷がすぐに溶けてしまうことを防ぎます。
なお、氷まくらを氷で作る際に水を入れる理由は、クッション性を高くして快適に氷まくらを使うためです。氷まくらの中身を氷だけにすると、ごつごつとした感触になってしまいます。
手作りの氷まくらを使う際にタオルでくるむだけだと、寝ている間にずれて、氷まくら本体がタオルからずれたり飛び出したりしてしまう可能性があります。日常的に氷まくらを使う場合、よりしっかりと中身を覆った状態をキープできる氷まくらカバーを作っておくと便利です。
氷まくらカバーには、ある程度厚みのある手触りがよい生地が適しています。たとえばタオル生地やキルティング生地、自宅にあるスポーツタオルなどが使えます。また、フリース生地やガーゼ生地で作ることもできます。
生地の幅や長さが中に入れたい保冷剤に合致するサイズであれば、わざわざカットする必要はありません。保冷剤に合うサイズのタオルなどがあれば端処理も不要なので、活用すると簡単に作れます。
保冷剤を入れるポケット部分を作ります。生地を折るときは、中に入れたい保冷剤を当ててみて、全体が入るか確認しておくとよいでしょう。
保冷剤をポケットに入れた後のふたになる部分です。タオルなど、最初から端処理がされているものを使うときはこの作業は不要ですが、そうでない場合はほつれないように縫うか、布用両面テープなどで処理をしましょう。
できたカバーに保冷剤を入れて、ふたをかぶせます。ふたがあるほうとないほう、どちらを表にして寝るかは、冷たさの加減や寝心地によって決めてください。
手作りの氷まくらを使うときは、水漏れしないよう注意が必要です。特に、氷と水を使った氷まくらを使う場合、保存袋がしっかり閉じられていないと、水が漏れて体や寝具が濡れてしまう恐れがあります。快適に氷まくらを使うためにも、十分密閉されているか、頭を乗せても問題がないか、使う前に確認しておきましょう。
水漏れが不安なときは、保冷剤で作ったまくらを使うのが確実です。大きい保冷剤が自宅になくても、小さいものをいくつか袋に入れて代用できます。また、保冷剤であれば就寝中に袋が開いてしまったとしても、水漏れが起こる心配はありません。
氷まくらは、熱中症の症状が見られる際の応急処置として活用することで、症状の改善効果が期待できます。一方、就寝中の熱中症を防ぐ効果はそれほど期待できません。ただし、氷まくらによって熱帯夜を心地よく過ごすことができれば、睡眠を十分にとりやすくなるでしょう。
睡眠不足は、心身に多くの問題を引き起こします。さらに、睡眠不足の状態で炎天下を歩くと高体温や脱水などを招きやすく、熱中症の発症リスクが高くなるとも言われています。
夏場の睡眠不足を回避するために氷まくらなどを使って睡眠環境の改善を図ることで、熱中症予防に間接的な効果をもたらすと考えられます。しっかりと睡眠をとって、熱中症対策を行いましょう。
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。