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扇風機の上手な使い方~電気代を抑えて快適に過ごすコツ~

扇風機の上手な使い方~電気代を抑えて快適に過ごすコツ~
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この記事の最終更新は2020年06月23日です。

夏場にエアコンだけに頼って過ごそうとすると、電気代がかさんでしまいます。一方、扇風機は電気代の安さが魅力ですが、暑い夏を扇風機だけで乗り切るのは難しいかもしれません。また、電気代を気にするあまり、熱中症のリスクを高めてしまっては本末転倒といえます。電気代を抑えながら夏場を快適に過ごすには、エアコンと扇風機の併用などが効果的です。

この記事では、実際にエアコンと扇風機では電気代にどれくらいの差があるのかを説明しながら、扇風機を上手に使いこなす秘訣を紹介していきます。

使用条件により程度の違いはありますが、扇風機はエアコンに比べて消費電力が少ないのが特徴です。それぞれの電気代を具体的に見てみましょう。電気代の目安は、本体や説明書に記載されている“消費電力”の値を基に次の式で計算できます。

【1時間あたりの電気代の目安】

消費電力(W)÷1000×27円

または

消費電力(kW)×27円

“W(ワット)”表記の機種では上の式、“kW(キロワット)”表記の機種では下の式を使います。“27円”は主要電力会社10社の電気代単価を平均化したものです。

扇風機にはAC(交流)モーター式とDC(直流)モーター式があり、消費電力が異なります。従来はACモーター式扇風機が主流でしたが、近年ではより消費電力の少ないDCモーター式扇風機も増えています。

ACモーター式扇風機

ACモーター式扇風機を風量“強”で使用すると、消費電力は35W(0.035kW)程度。上の式に当てはめると1時間あたり0.945円となります。24時間つけっぱなしでも22.68円ほどです。

DCモーター式扇風機

DCモーター式扇風機は風量“強”の消費電力が20W(0.02kW)程度で、1時間あたりの電気代が0.54円。24時間つけていても13円ほどです。

エアコンの消費電力は機種や使用状況(気温や設定温度など)により変化します。6畳の部屋向けの小型タイプの場合、冷房使用時に最大で700W程度、最小で120W程度です。たとえば非常に暑い部屋で設定温度を低めにして冷房をつけると、しばらくの間は最大消費電力に近い値で運転します。その後、部屋が冷えて設定温度と同じになるにつれて最小消費電力に近づいていきます。

上の計算式に当てはめると、1時間あたりの電気代は3.24円~18.9円程度。ACモーター式扇風機で“強”のときの電気代と比べると、数倍から20倍程度高くなります。

人間の体は余分な熱を外に逃がすはたらきを持っています。皮膚表面に熱を集めて発散したり、汗の蒸発を利用して熱を排出したりするのです。ところが気温が35℃を超えると皮膚表面から熱を発散できず、汗の蒸発だけで対処しなければならないような事態となります。

扇風機には熱を逃がすはたらきを促進する効果が期待できます。しかし、気温が33℃くらいになると涼しさは感じられなくなり、35℃を超えると逆効果になることがあります。したがって、真夏日(30℃以上)や猛暑日(35℃以上)には、エアコンとの併用を考えたほうがよいでしょう。併用するときに電気代を抑えるには以下のポイントに注意してください。

エアコンの風向きは下ではなく水平に設定し、扇風機を上のほうに向けて設置するのが得策です。こうすると冷気がうまく循環するようになり、頭の上から床まで効率的に涼しくすることができます。

冷たい空気は暖かい(暑い)空気よりも下にたまる性質があります。また、足もとだけ涼しいよりも、顔や首もとにも涼気を感じたほうが体感温度は下がり、快適に過ごすことができるでしょう。

扇風機のほうが電気代は安くなるため、エアコンの設定温度を上げて扇風機を併用すると節約にもつながります。気温などの環境や使用状況にもよりますが、冷房の設定温度を1℃上げれば10%の節電、2℃上げれば20%の節電になるといわれています。その分、電気代も節約することができるでしょう。

扇風機を使って効率的に冷気を循環させれば、エアコンの温度を多少高く設定しても同じような快適さが得られます。

気温がそれほど高くないときは、扇風機だけでも快適に過ごすことができます。その際ちょっとした工夫を加えることで快適さが増し、扇風機だけで過ごせる日を増やすことも可能になるでしょう。

水を入れて凍らせたペットボトルを扇風機の前に置くことで、扇風機からの風を涼しくすることができると考えられます。

実際に、気温38℃という酷暑環境で、凍らせた500mlペットボトル5本を扇風機の前に置いた実験があります。実験の結果、ペットボトルを通過した直後の風の温度は最大1.5℃下がり、胸部の表面温度も1℃下げることができました。

外出から戻ってきた直後など、熱気がこもり部屋の中が外よりもかなり暑くなっているときがあります。このようなときには、窓を開けて外に向けて扇風機を回すと効果的です。

室内の暑い空気の塊が外に排出されると、薄くなった空気を補うように外からの風が入り込んできます。ある程度空気の入れ換えが済んだところで、体のほうに扇風機を向け直せば、効率的に涼を得ることができます。

扇風機だけで夏を越そうとすると、快適に過ごせない日が多くなるだけでなく熱中症のリスクも高まります。状況に応じて扇風機とエアコンを上手に組み合わせたり、機器の使い方を工夫したりしながら、電気代節約と熱中症予防を両立させていくのが望ましいですね。

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