あかんとあめーばかくまくえん

アカントアメーバ角膜炎

最終更新日:
2024年05月21日
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2024/05/21
更新しました
2017/04/25
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概要

アカントアメーバ角膜炎とは、水道水などにも存在する原虫“アカントアメーバ”という微生物が目に入り増殖することで発症する病気です。日本で発症するケースはほとんどがコンタクトレンズ装用者で、中でも10歳代後半~30歳代に多くみられます。

角膜は、目の中央にある1cm程度の円形の組織で、いわゆる黒目と呼ばれる部分です。眼球の外壁を構成したり、光を屈折させるレンズの働きをしたりと重要な役割をもつため、角膜の病気になると視力の低下などを招くこともあります。初期の段階では視力低下は軽度ですが、進行すると重度の視力障害が起こり、治療が遅れると失明する可能性もあります。

アカントアメーバは角膜に感染したあと、盛んに増殖する“栄養体”と、二重構造で除菌抵抗性が増す“嚢子(のうし)(シスト)”という2つの形態をとります。シストの状態では、保険診療の範囲では現時点で有効な薬剤がほとんどないため治療が長引きやすいとされています。

原因

アカントアメーバ角膜炎の原因は、日本においてはほとんどがアカントアメーバに汚染されたコンタクトレンズの使用によるものといわれています。

アカントアメーバは、主に池や沼といった淡水に生息する目に見えない微生物ですが、水道水や土、公園の砂の中にも存在する身近な生き物です。そのため、コンタクトレンズを水道水で洗ったり、レンズケースを定期的に交換していなかったり、手を洗わずにコンタクトレンズをつけたりなど、誤った装用やケアが原因で発症する可能性があります。

症状

アカントアメーバ角膜炎を発症すると、人によっては目が強く痛むほか、涙の分泌量が増加する、白目が充血しやすい、光に対して過敏になるなどの症状がみられます。

初期の段階では視力の低下は軽度ですが、時間の経過とともに悪化し、重度の視力障害に至ることもあります。

検査・診断

アカントアメーバ角膜炎が疑われる場合は、病変部分をこすり取って採取し顕微鏡検査を行うか、培養検査を行ってアカントアメーバの存在を確認できれば、確定診断となります。アカントアメーバ角膜炎は、角膜ヘルペスと似た樹枝状の潰瘍や放射状角膜神経炎、輪状潰瘍などの症状がみられることがあるため、こうした検査を行い角膜ヘルペスと見分けることが重要です。

治療

アカントアメーバ角膜炎と診断された場合、薬物療法と手術療法が行われます。

薬物療法では、現在の保険診療の範囲ではシストの状態にあるアカントアメーバに特異的に効果を示す治療薬は存在しません。そのため、消毒薬として市販されている製品を調整して点眼薬として用いる、海外で承認されている抗原虫薬を輸入して使用する*、補助的に抗真菌薬を併用するなどの治療が行われます。薬物療法のみで治癒することは難しく、多くの場合は角膜上皮を除去する角膜搔爬という治療をあわせて行います。また、感染が治癒したとしても強い角膜瘢痕を残すこともあり、角膜移植が必要になる場合もしばしばみられます。

アカントアメーバ角膜炎は治療が難しく、完治までに数か月かかることも少なくありません。また、初期に診断がつき治療を開始できれば視力回復も期待できますが、診断が遅れ進行した状態となると失明に至る可能性もあるため、早期に適切な治療を受けることが重要です。

*自己判断での医薬品の個人輸入は推奨されない。

予防

日本におけるアカントアメーバ角膜炎のほとんどは、コンタクトレンズの不適切な使用によって起こるといわれています。そのため、予防には正しいコンタクトレンズの装用やケアが重要です。

正しいコンタクトレンズの使用方法

まず、目が痛いなど目のコンディションが悪いときは、コンタクトレンズの装用を控えましょう。コンタクトレンズを装用する際は手をしっかり洗い、清潔な手で取り扱います。また、コンタクトの使用期限は必ず守り、使用後は正しく洗浄して清潔な保存容器・保存液で保存しましょう。コンタクトを保存するケースを定期的に交換することも大切です。

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