さりんちゅうどく

サリン中毒

目次

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概要

サリン中毒とは、化学物質の一種であるサリンが原因の中毒症状です。

サリンは第二次世界大戦中のドイツで化学兵器として開発され、日本では地下鉄サリン事件と呼ばれる無差別テロ事件にも用いられました。サリンは、アセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質に似た構造をしているためアセチルコリンの分解酵素を阻害、つまりアセチルコリンを分解しにくくなります。そのためサリン中毒では、自律神経系や筋骨格系の神経活動に異常をきたし、発汗や分泌物の増加などをおこします。さらに意識障害や全身の筋肉が収縮したまま麻痺するため、呼吸困難を起こして死亡することもあります。

なおサリン中毒と似た症状を呈するものに、農薬などが原因の有機リン中毒があります。
 

原因

サリン中毒は、アセチルコリンという神経伝達物質を分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)とサリンが結合して、この酵素によるアセチルコリンの分解を阻害することによります。サリンは呼吸だけでなく皮膚からも吸収されます。

症状

サリン中毒の症状は、筋骨格系のもの、自律神経系のもの、中枢神経系のものがあります。重症化すると死亡することもあります。

筋骨格系

けいれん、ぴくつき(線維束れん縮)、呼吸筋の麻痺、呼吸困難

自律神経系

発汗、唾液や気管支の粘液の増加、失禁、視覚異常(瞳孔が縮む(縮瞳する)ことによって眼前が暗くなる)、血圧や心拍数の低下、吐き気やおう吐などの消化管症状

中枢神経系

意識障害、昏睡状態
 

検査・診断

サリン中毒が疑われる場合、生命を維持するための処置と同時に、全身の臓器に障害が及んでいないか確認するために血液検査で血液中のコリンエステラーゼ(ChE)を調べるほか、尿検査、心電図測定、全身のCT検査を行います。

治療

サリン中毒の治療は、まずは生命を維持するための蘇生処置です。呼吸筋麻痺により呼吸機能が損なわれるため人工呼吸による管理、および心臓の動きを補助する循環補助薬を使います。

サリンおよび有機リン中毒に対する解毒薬に、プラリドキシム(PAM)があります。これはアセチルコリンエステラーゼと結びついたサリンや有機リンをひきはがす作用をもっています。もしくは、アセチルコリンの受容体の1種類を阻害するアトロピンという薬剤による治療を試みる場合もあります。