もうはつきけい

毛髪奇形

顔面・頭皮

目次

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概要

毛髪奇形とは、毛髪に形態的な異常を伴う状態をいいます。連珠毛、縮毛症、捻転毛、陥入性裂毛、結節性裂毛、白輪毛、毛髪縦裂症、裂毛症、結毛症など多くの種類が存在します。

原因

多くが遺伝子異常によって発症します。毛髪奇形を含め、毛髪に何らかの症状を起こす遺伝性疾患は100種類以上知られていて、原因遺伝子が判明したものはその中の約3割程度と言われています。毛髪奇形のみを呈する非症候性の群と、毛髪奇形以外の皮膚症状や他臓器病変を合併する症候性の群、に分類されます。

症状

ここでは代表的な非症候性毛髪奇形である連珠毛、縮毛症について解説します。

連珠毛

毛髪が周期的に一定の間隔で細くなるため数珠状になる遺伝性疾患です。毛髪が細くなっている部分はとても弱く毛髪が切れ易くなります。多くは常染色体優性遺伝の遺伝形式をとりますが、少数は常染色体劣性遺伝の遺伝形式であることもあります。前者は、毛髪の主成分であるケラチンという蛋白質を作り出す3つの遺伝子 (KRT81、KRT83、KRT86)のいずれかの遺伝子異常により発症します。一方で後者は、毛髪の細胞接着に重要なデスモグレイン4遺伝子の変異で発症します4)。毛のケラチンとデスモグレイン4は毛髪が強く角化する部位で共発現しており、両者が機能的に関連していることが示唆されています。

縮毛症

生まれつき毛髪が過度に縮れ、数センチで成長が止まってしまうことが特徴です。年をとるにつれて脱毛が進行して、全体的に毛髪が疎になります。日本人では常染色体劣性遺伝の遺伝形式をとる縮毛症の患者家系が数多く存在することが明らかとなっています。そして、そのほとんどはlipase H遺伝子に遺伝子異常をもつことが明らかとなっています。lipase H遺伝子がコードするタンパク質は、脂質メディエーターであるリゾホスファチジン酸を合成する酵素であり、脂質メディエーターを介するシグナル伝達がヒトの毛髪の分化・成長に重要であることが示唆されます。日本人では、lipase H遺伝子による縮毛症の発生頻度は約1/10,000と推定されています。

検査・診断

多くが遺伝子異常による遺伝疾患であるため、詳しく家族歴を把握することが重要です。ついで、毛髪の肉眼所見や頭皮の状態を詳しくチェックします。毛髪を顕微鏡で観察することも重要です。診断の完全な確定には遺伝子検査が必要となります。

治療

多くが遺伝子異常による遺伝疾患であるため2018年現在、有効な治療法は確立していません。毛髪が弱くなり折れやすくなることが多いため、毛髪への外的刺激を極力減らすことが重要となります。lipase H遺伝子変異による縮毛症では、酵素補充療法やリゾホスファチジン酸アナログを用いた治療が理論上は可能と考えられます。