概要
腱鞘巨細胞腫とは、手や足の指に位置する主に腱鞘に生じる良性腫瘍のことを指します。手の示指(人差し指)に生じることが多く、ガングリオンや血管腫といった良性腫瘍などと同じく、比較的頻度の高い良性腫瘍です。
30~40代に発症することが多く、男性よりも女性に生じやすいといわれています。
腱鞘巨細胞腫は、染色体の異常による発生すると考えられていますが、なぜ異常が起こるのかという部分については明確になっていません。
原因
腱鞘巨細胞腫は、細胞を構成する染色体に異常が生じることから発症することがあります。
ヒトの細胞には、1から22まで番号のついた合計44本の常染色体と、X染色体Y染色体という性染色体とが存在します。腱鞘巨細胞腫は、1番と2番の常染色体が一部入れ替わり、CSF-1と呼ばれるタンパク質に異常が生じることで生じます。
しかし、なぜ異常が生じるのかは明らかにはなっていません。そのため、こうした変化が生じる誘因・リスク因子なども明らかではありません。
症状
腱鞘巨細胞腫は、指の腱鞘に単発性に腫瘍形成することが多く、外から見て腫れていることで認識されます。痛みを伴うことは少ないです。
腫瘍は時間と共に少しずつ大きくなることもあります。一定の大きさになると関節の動きが制限され、指を動かすとひっかかる、動かしにくい、などといった症状につながることもあります。
なお、腱鞘巨細胞腫は単発性に生じることが多いですが、まれに多発することもあります。
検査・診断
腱鞘巨細胞腫では、画像検査を行うことで腫瘍の存在を確認します。MRI検査は必須であり、周囲の組織との関係性なども含めて腫瘍の存在を詳細に評価することができます。
また、腱鞘巨細胞腫では病変部位の一部を採取する生検検査を行なうこともあります。生検で得られた組織を顕微鏡で詳細に評価し、腱鞘巨細胞腫で特徴的な変化を検討します。
治療
手術による治療介入が主です。腱鞘巨細胞腫は良性腫瘍であり手術により完治も期待できますが、なかには再発をすることもあります。
また、大きなものは関節に複雑に腫瘍が入り込んでいることがあり、手術がより難しくなることもあります。
腱鞘巨細胞腫は良性腫瘍ではありますが、日常生活に支障が生じる前に、病院の受診を検討することが大切です。
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