プロフェッショナルとして常に全力投球し続ける

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プロフェッショナルとして常に全力投球し続ける

目の前の患者さん一人ひとりと向き合うことを大切にする中村俊孝先生のストーリー

医療法人 札幌麻生脳神経外科病院 脳神経外科 副院長・脳卒中センター長
中村 俊孝 先生

医師の道はあくまでも選択肢のひとつだった

幼いころから医師を目指していたわけではありませんでした。高校3年生になり進路選択を迫られたとき、理系だった私にとって、医師という職業はあくまで選択肢のひとつだったのです。むしろ宇宙への興味のほうが強かったかもしれません。NASAの職員になりたいと思っていた時期もありました。ただ、昔から困っている人は放っておけない性格だったので、医師として病気で困っている人たちを助けるという選択肢も自分の中に出てきたのだと思います。困っている人たちを助ける仕事と、自分の好きなことを研究していく仕事を天秤にかけた結果、私は医師になることを決め、北海道大学医学部に入学しました。

目指すべきところを示してくれた恩師

脳神経外科に進んだ大きな理由は、私にとって脳がとても神秘的で美しいものに感じられたからです。脳神経外科医としての転機が訪れたのは医師になって5年ほどが経ったときでした。私は旭川赤十字病院に移り、先生(現・札幌禎心会病院 脳疾患研究所所長)のもとで1年間学ぶ機会を得ました。先生と共に手術を経験させていただくことが何度もあり、上山先生の手術を間近で拝見するたびに「脳神経外科の手術は、鍛錬を積むとこんなにも美しくできるのか」と感激していたことを今でも覚えています。そして今日でも、上山先生のような美しい手術を行うことを目標として、日々自分を奮い立たせています。
もちろん先生からは手技だけではなく、患者さんとのコミュニケーションのとり方や一人ひとりとの向き合い方、脳神経外科医としてスキルアップを求め続ける姿勢など、さまざまなことを教えていただきました。上山先生のご指導があって今の私があるといっても過言ではありません。

目指すのは、出血の少ない“美しい手術”

私は“美しい手術”をすることが、患者さんにとってプラスになると考えています。たとえば、まだ破裂していない動脈瘤(動脈に発生するコブ)の手術など、脳神経外科の手術は出血が起こる前に予防的に行うケースもあります。このような場合、手術で新たに出血させなければ、たいへん美しい状態で手術を終えることができます。新たな出血を最小限に抑えるということは、低出血で手術を終えるということ。これが私の考える“美しい手術”です。こうした考えから、私は素早く手術を終えることだけではなく、美しさも保ちながら手術をするよう心がけています。
このような考えをもつようになったのも、上山先生の手術を拝見したときの衝撃があったからだと思います。もしその経験がなかったら、すでに脳神経外科医はやめていたかもしれませんね。それくらい私にとっては印象的な手術でした。

総合力の高い医師に

外科医はとにかく手術をたくさん行っているというイメージが強い方も多いと思いますが、実際には手術以外にもさまざまな業務に携わります。たとえば外来の診療を行ったり、病棟の患者さんを診たりもしますし、手術前後の患者さんの管理や検査などもあります。そのため、手術だけを淡々と行っていればよいわけではなく、患者さんやそのご家族、共に患者さんを担当しているスタッフとのコミュニケーションも重要となってくる。医師は、技術や知識だけではなくコミュニケーション能力や、患者さんの気持ちに配慮する心も兼ね備えた“総合力の高い”人間になる必要があるというのが私の考えです。
それから、脳神経外科医が受け持つ手術は、ひとたびトラブルが起これば命を落としたり後遺症が残ったりする可能性もありますので、何事にも慌てず動じない強靭な精神力や、手術に向けて徹底的に準備する入念さも欠かせません。とはいえ、これはあくまで理想であって、そのように全てを兼ね備えた医師ははたして何%いるのか、という話になってしまうかもしれません。しかし少なくとも、その理想に近づけるように努力をしなくてはならないと思っています。私はこうした考えを礎とし、プロフェッショナルとして常に理想を追い求めながら、日々診療にあたっています。

後悔をしたくないから、どの患者さんにも全力投球

私の基本的な考え方として、全てのところで手を抜かない、というものがあります。医師はプロフェッショナルとして人の命を預かっている。自分や自分の家族が患者さんだったらと考えると、手を抜いている人に命を預けたくないですよね。診療にあたるときには、常にそのような“患者さんとご家族の視点”を忘れないようにしています。特に手術においては、その方の状態や手術の内容、リスクまできちんと理解し、納得したうえで臨んでいただきたいので、手術前の説明は時間をかけて丁寧に行うよう心がけています。
残念ながら、100%成功するという手術や治療はありません。ただ、100%にできるだけ近づくよう最善の努力はしておくべきだという思いは、常にもっています。私自身、どこかで妥協して後悔するようなことにはなりたくないので、自然とどの患者さんに対しても全力投球になります。
手術においてメインとなる処置が問題なく終わっても、傷を閉じるときや術後の管理で油断すれば、術後出血や術後感染などのトラブルが発生してしまいます。術後出血や術後感染などのトラブルにより、再手術が必要となることもあります。しかし、私は「メインの処置はうまくいったのですが」とは言いたくはありません。手術後の管理なども含めて治療であり、医師としての責任がありますから、できるだけそうした術後のトラブルが起きないよう細心の注意を払っています。
基本的には手術後も患者さんの状態を頻繁(ひんぱん)に確認しにいきますし、手術当日には遠方で行われる講演会などは極力入れないようにしています。翌日ですら、ためらってしまいます。どうしても手術当日に院外で業務をする必要がある場合には、業務を終えるのがたとえ夜遅くても、一度病院に戻ります。自分の仕事は、自分の目で最後まで見届けたい。そういう性格なのでしょうね。後進に指導をするときにも、「もっといろいろなところに注意を向けなさい」ということはよく伝えています。
それだけ毎日が全力投球だからこそ、手術が無事に終わり、患者さんやその周囲の方々が喜んでいる姿をみたときの感情は、言葉では表しきれません。それこそが、私が医師であり続ける原動力でもあります。高校3年生のときに「困っている人を助けたい」という思いで決めた医師としての人生、これからも1人でも多くの患者さんを救うために、努力を怠らずに歩み続けたいと思います。

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  • 医療法人 札幌麻生脳神経外科病院 脳神経外科 副院長・脳卒中センター長

    北海道大学医学部卒業後、北海道大学医学部脳神経外科に入局。その後同関連病院での勤務や米国留学を経験。手術だけでなく、術前の患者さんへの説明や術後管理などを非常に大切...

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    中村 俊孝 先生の所属医療機関

    札幌麻生脳神経外科病院

      • 脳神経外科
      • リハビリテーション科
      • 放射線科
    • 北海道札幌市東区北二十二条東1丁目1-40
    • 札幌市営地下鉄南北線 北24条 2番・3番出口  中央バス:北24条東1丁目下車 徒歩約2分 徒歩7分
    • 011-731-2321
    公式ウェブサイト

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