小学1年生のときから、将来の夢を聞かれたときは「お医者さん」と答えていました。これには、私自身が幼い頃から体が弱かったことが関係しています。小児喘息や
その頃から漠然と医師という職業への憧れを抱いていましたが、中学生や高校生のときにはテレビドラマの影響もあり法律に関わる仕事にも興味を持つようになりました。しかし最終的に迷ったときに子どもの頃の夢を思い出し、初志貫徹で医師になろうと決めて、この道に進みました。
現在私は
最初に興味を持ったのは腎臓でした。大学の授業を聞いて「奥の深そうな分野だな」と思ったことを覚えています。また私が医師になる前から、父と祖母の腎臓が悪く透析療法*を受けている状態でした。このように身近に腎臓病の患者がいたことも、この分野の選択に影響したのかもしれません。
腎臓の病気の多くは初期の頃からでも尿の異常などによって発見でき、かつ腎臓内科で診断から治療まで完結できる点に魅力を感じています。また基本的に加齢とともに腎臓の機能は低下していきますので、たとえば慢性腎臓病という病気では、これ以上悪化しないように生活習慣や食事の改善、薬による治療を行っていきます。完治することは難しいため、患者さんと一緒に時間をかけて治療に取り組んでいかなければなりません。長いお付き合いになる患者さんに信頼していただけるよう尽力することは、大変ながらもやりがいがある部分です。
継続的に治療に取り組むという点では、膠原病の分野も同じだと思います。膠原病の中には、なかなか診断がつかないような希少疾患もあります。原因が分からず悩んでいた患者さんに適切な診断と治療を行った結果、患者さんが元気になってくれるとやりがいを感じます。
*透析療法:機能を失った腎臓に代わり、ろ過・排泄などの機能を人工的に補う治療法。
医師になってよかったと感じるのは、つらい思いをしてきた患者さんが回復して退院していくのを見るときです。「この仕事を続けていてよかった」と思います。
患者さんに感謝されるとうれしいのはもちろんですが、たとえば外来診療後に安心したような表情を見ると「不安や心配を感じている患者さんの力になれているのかな」と充実感を覚えます。患者さんに緊張や恐怖心を感じさせてしまうことのないように、何でも相談してもらえるような関係を築くことを心がけています。
また私は、医療は医師1人で行うものではなく、患者さんやご家族も含めてチームで取り組むべきものだと考えています。患者さん、ご家族、医師、看護師、ソーシャルワーカーなど、関係者が皆同じ方向を目指すことが大切だと思っているのです。わずかでも意見の食い違いがあると、治療はうまく進んでいきません。結果的にそれは患者さんの不利益にもつながりますので、皆で話し合って方針を決めて、それぞれが納得して治療に取り組むことが大切だと信じています。
そのために、一緒に診療に取り組むコメディカルなど関係者の意見に耳を傾けるよう心がけています。私が気付いていないこと、考えが及んでいないこともあるかもしれませんので、どのような意見もまずは検討し、患者さんのためになることを積極的に取り入れるよう努めています。
研修医時代、私に「ロールモデルと思えるような先生を見つけなさい」と声をかけてくれた腎臓内科の先輩医師がいらっしゃいました。その先輩医師を含めて、今まで指導してくださった先輩方は皆、ロールモデルと思える方々ばかりで大変お世話になりました。前述した声がけをしてくださった先生も、その1人です。ほかにもお名前を挙げると、大学院の博士課程で研究の指導をしてくださった
また、当院のある山形県の日本腎臓学会認定 腎臓専門医の数は35人です(2024年6月時点)。山形県で腎臓内科を専門とする医師を増やしていくためには、後進の育成が非常に大切だと考えています。そのために、教育にも力を入れていきたいです。医学生が実習で当診療科を回ってくれたときには、少しでも腎臓の分野に興味を持ってもらえるよう指導に力を注いでいます。腎臓も膠原病も最初は理解が難しく、治療をイメージしづらい分野だと思いますので、できるだけ噛み砕いて説明して理解を促すよう努めています。また、私たちが楽しく働いていないと誰もついてこないと思いますので、後輩の先生たちには「キラキラと働こう」と声をかけています。「ここで働いてみたいな」と魅力を感じてもらえるよう働く姿勢にも注意しています。
今後の目標は、私自身がさらに臨床の技術を磨いて、患者さんにより安心感を持って治療に臨んでいただけるようになることです。また先に述べたように、より患者さんの力になれるように県内の腎臓内科の医師を増やすために教育にも力を注いでいきたいです。研究では、当院から何か新しい発信ができないか、常に目を光らせて研究のテーマを見出していければと思っています。
また医師としての原動力の1つに、家族の存在があります。まだ幼い子どもがおり風邪を引いたときには小児科にかかっているのですが、受診後には、おもちゃの注射器や聴診器を使ってお医者さんごっこをしているのを目にします。その姿を見ると、幼い頃に小児科にかかったことをきっかけに私が医師を夢見たように、医師というのは患者さんを含めて人に影響を与えるような仕事なのだと実感します。
将来、私の子が成長したときに「お父さんはこんな仕事をしているんだよ」と胸を張って言えるようなかっこいい医師でいられるよう、現在の仕事に全力で取り組んでいきたいと思っています。
この記事を見て受診される場合、
是非メディカルノートを見たとお伝えください!
山形大学医学部附属病院
山形大学医学部附属病院 産科婦人科 教授
永瀬 智 先生
山形大学 医学部眼科学講座 教授
山下 英俊 先生
山形大学 医学部 第一内科 助教
有本 貴範 先生
山形大学 医学部皮膚科学講座
鈴木 民夫 先生
山形大学 医学部小児科学講座 教授
三井 哲夫 先生
山形大学 医学部附属病院 副院長
高木 理彰 先生
山形大学 医学部内科学第二講座(消化器内科学) 教授
上野 義之 先生
山形大学 医学部 脳神経外科学講座 教授
園田 順彦 先生
山形大学医学部附属病院 第二外科 教授、山形大学医学部外科学第二講座准 教授
大泉 弘幸 先生
山形大学医学部附属病院 前病院長、山形大学 医学部放射線腫瘍学講座 教授
根本 建二 先生
山形大学医学部皮膚科学講座 助教
岡村 賢 先生
国立大学法人 山形大学医学部附属病院 第二外科 科長・教授
内田 徹郎 先生
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