DOCTOR’S
STORIES
患者さんとの対話を大切に診療に向き合う小林 正敬先生のストーリー
私が医師になったきっかけとしては、やはり医師である父親の存在が大きかったと思います。父は長野県上田市で病院を経営していました。どこに行っても「先生、先生」と呼ばれ、院内のスタッフや患者さんから慕われている姿を見て、子どもながらに誇らしく感じていました。私に対しては「こうあるべきだ」「あれをしなさい」といった言葉をかけることはなく、伸び伸びと育ててくれました。しかしその一方で父は、「お前はまだまだだ」と言わんばかりに、さまざまな場面で私ができないことを何でも平然とやってのけてしまうのでした。そんな父の背中を見て、自分はまだまだだな、もっと努力しなければ駄目だな、と学んでいました。
中学、高校時代は学業の傍らゲームに熱中していて、相手に勝つために日々とことん練習、分析、復習を繰り返していました。寝る間も惜しんでストイックに物事に取り組む姿勢が培われ、現在の診療姿勢にもつながっているように思います。自分がレベルアップしても、また対戦相手に打ち負かされることの繰り返しから高い壁に挑戦する醍醐味も学びました。
父が医師ということもあり、医療の道には昔から自然な興味がありました。ただ、進路を決める際には、自分の個性や強みをどう生かせるかについても模索していました。その中で、ゲームを通して培った「困難に挑む姿勢」や「戦略的な考え方」が、受験にも役立つのではないかと思うようになりました。ゲームからは、ただ楽しむだけでなく、失敗を恐れずに試行錯誤を繰り返すことの重要性を学んだのです。そういった経験が、自分にとって大きな力になりました。「戦わずに諦めるより、挑戦してみたい」という思いで医学部進学を決意し、結果的に埼玉医科大学に合格することができました。
糖尿病診療に出合ったのは、国立国際医療研究センター 国府台病院に勤務していたときのことです。
糖尿病の治療方針を決めるには、血糖値などのデータをみるだけでは不十分だと考えます。データに基づいて、正しい糖尿病の知識をもって服薬や運動指導などの治療法を伝えたとしても、患者さんにその治療法の重要性を理解してもらい、実行していただかなければ治療は進みません。ですから、まずは会話を通じて患者さんの日常生活を丁寧にヒアリングすることから始める必要があります。日頃どのような食事を取っているのか、運動習慣はあるのか、運動の時間を確保できるのか。また、どのようなことに対して頑張れる傾向があるのか、どのようなときに達成感を抱くのかなど、患者さんの性格までをも踏まえて、治療法の提案をしています。
そして治療を進めていくにあたって、患者さんと主治医との信頼関係は何より重要です。患者さんは私のことを、糖尿病治療を専門とする医師として信頼し、会いにきてくれていますので、その信頼に応えられるよう、診療に臨んでいます。
診療を重ねるなかで糖尿病についてはもちろん、患者さんのためになると思うことは幅広く勉強し、学びを深めていきました。新たなことを知るたびに、糖尿病診療によりいっそう魅力を感じるようになりました。さらに、患者さんそれぞれの体の状態や性格に合わせた治療をしたいとより強く思うようになり、栄養指導や老年内科診療のほか、薬物治療に抵抗がある方のために漢方治療についても勉強しました。その結果、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医だけではなく、日本内科学会認定総合内科専門医、日本抗加齢医学会認定日本抗加齢医学専門医、日本老年医学会認定老年科専門医などの資格を取得するに至りました。
糖尿病診療に関する勉強や探求は、どこまでいっても終わりはありません。大変だと思う人もいるかもしれませんが、私にとってはとても挑戦しがいのある、ワクワクするものです。これまでの自身の経験から学んだ「何事もきちんと極めるには、物事の真理をとらえることが重要だ」ということを胸に、日々診療に臨んでいます。
患者さんにとって、糖尿病の治療は自分の命と向き合う行為です。多くの患者さんと会い、糖尿病の治療を進めていくなかで「患者さんのために」という思いから、やりたいことがどんどん増えていきました。
その1つがオンライン診療*です。患者さんに治療の意思があっても、通院が困難な環境に置かれているために投薬が滞ってしまい、病状が悪化してしまうケースも過去にはありました。専用のデバイスを使えば、血糖値の測定は可能であり、その状況に応じてオンライン診療でも適切な診断とアドバイスを行うことができます。しかし患者さんがそのような診療を望んでも、院内体制や設備が整っておらずオンライン診療を提供することが難しい病院もあります。
また、患者さんの日常生活に踏み込んでいく私の治療方針も、必ずしも全ての糖尿病医が実践していることではありませんし、それが正解であるとも限りません。このような自分の治療方針を貫くことは、1人の医師のエゴでしかないかもしれません。しかし、私を信頼して足繁く病院に通ってくれている患者さんがいる限り、そのような患者さんのために、純粋に私の信念を貫いた治療を提供したいと思うようになりました。
加えて、患者さんだけではなく、同僚や看護師の中に私の治療方針やスタイルを信じて付いてきてくれる仲間もたくさんいました。こうして、自分を信じてくれている患者さん、そして仲間に背中を押されるように、糖尿病治療を軸としてまさぼ内科・糖尿病クリニックを開業することになりました。
*当クリニックのオンライン診療は、内科・糖尿病内科の患者さんの場合、保険診療(3割負担)となります。メディカルダイエット、にきび、メディカルスキンケア、メディカルアイラッシュ、便秘症などの診察を希望される患者さんについては、自費診療(保険適用外)です。自費診療の診察料は一律1,100円(税込)となります。ご予約はWebまたはアプリから可能で、ビデオ通話を通じて診察を行います。診療時間や回数、期間は、病気や症状に応じて異なります。
なお、オンライン診療では触診や採血などの検査ができないため、得られる情報に限界があります。そのため、体調や病状の些細な変化や病気の兆候を見逃す可能性があり、診断が難しい場合もあります。定期的に対面診療を受けることを推奨しています。また、処方された薬剤がある場合、送料が別途かかることがあります(送料は患者様負担となります)。
最近は2型糖尿病に対するチルゼパチドを使用した治療が注目されています。この治療は2023年4月に登場したもので、当クリニックではこの治療法を積極的に取り入れています。食事・運動療法の補助として用いられ、血糖値の改善を目指す治療です。
また、漢方薬を取り入れた治療にも取り組んでいます。多くの方は、西洋医学と東洋医学が対立するものだと感じるかもしれませんが、私はそうは考えていません。
西洋医学では主に病気を“治療”するアプローチを取りますが、一方で、東洋医学の漢方は、患者さん自身の状態を“整える”ことに重点を置いています。糖尿病治療に加えて、漢方薬を活用することで患者さんの体調を整え、全体的な健康状態の向上を見込めます。
糖尿病治療においては、日常生活や食生活において気を付けなければいけない点が多々あり、自分らしい生活を追求しながら治療を続ける“バランス感覚”が重要です。自分の体調を整えるためには、まず自分の健康状態と向き合うことが大切であり、漢方薬を用いた治療はご自身の健康状態を把握するよいきっかけになると思います。漢方を併用することで、患者さん自身が健康を見直し、体全体のバランスを“チューニング”していくサポートができればと考えています。ぜひ、健康管理に興味を持ち、一緒に取り組んでいただけるとうれしいです。
糖尿病はさまざまな病気のきっかけになることが多い病気です。糖尿病をしっかりコントロールできれば、ほかの病気もコントロールしやすいということでもありますので、まずは糖尿病に関心を持つことから始めていただきたいと思っています。
また治療においては、私を信じてくれる患者さんに対して、医師として全力で応えたいと心の底から思っています。先ほども述べたとおり、患者さんと医師がお互いに信頼することは、診療においてもっとも大切なことだと思っています。ただ、もちろん信頼関係を構築することは簡単ではありません。私は患者さんに信頼していただくためには対話をするしかないと思っています。だからまずは、どのような些細なことでもよいので、ぜひ相談に来てほしいと思っています。
最後に、私の原動力の1つに“不屈の精神”があります。これは「信じてくれた人を裏切りたくない」という気持ちがあるからこそだと感じています。だから、患者さんには全力で向き合います。ときには厳しいことを言うこともあるかもしれませんが、それはどんな患者さんともフラットな姿勢で向き合いたいと思っているからです。ぜひ一度、クリニックに足を運んでいただけるとうれしいです。
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まさぼ内科・糖尿病クリニック 飯田橋院
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まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。