「先生に会えてよかった」と満足してもらいたい

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「先生に会えてよかった」と満足してもらいたい

炎症性腸疾患の診療に尽力する水田 昇先生のストーリー

大阪医科薬科大学病院 消化器内科
水田 昇 先生

人を助ける仕事を志して消化器内科の医師へ

両親が薬剤師をしていた影響で、高校生のときは薬剤師を目指していました。しかし予備校に通い始めたら、医師を目指す方たちが周りにいる環境で生活を送ることになりました。そのうち「診断や治療を通して直接人を助けられる仕事って、すごくいいな」と思い、医師に憧れを抱くようになったのです。それが、この道に進んだきっかけです。

専門の診療科として消化器内科を選んだのは、画像診断を行う機会が多くあると考えたからです。もともと画像診断には強い興味を持っていました。CTなどの画像検査の結果を見ながら、的確な診断を行うことに魅力を感じたことが影響したと思います。

実際に、この分野を専門にしてよかったと満足しています。内視鏡を使って診療を行うことが多いことに加えて、緊急処置などで重篤な患者さんを助けることができると充実感を抱きます。

現在は入院患者さんを診ることが多いのですが、つらそうに入院してきた方が元気になって帰っていく姿を見るとやりがいを感じます。また入院中に担当していて退院後に外来に来てくださる患者さんを見ると、微力ながら人を助けることができたのかなと感じて嬉しいです。

ある珍しい病気が、その後の道を決めた

僕は消化器内科の中でも、炎症性腸疾患をメインに診療に取り組んでいます。そもそも炎症性腸疾患のような免疫に関わる病気を専門にしたいと思うようになったのは、医師になって4年目くらいに経験したある症例がきっかけです。

腹痛を訴えて救急外来でいらした患者さんを診ることになったのですが、原因が分からず診断には難渋しました。自ら調べたり先輩医師に質問したりしながら、なんとか探っていった結果、非常に希少なTAFRO症候群という病気であることが分かったのです。TAFRO症候群は、全身に炎症が起こることで発熱や腹痛など、さまざまな症状が現れる病気です。治療法が確立されておらず(2024年12月時点)、医療従事者の中でもあまり知られていないような非常に珍しい病気で、僕自身この患者さんを診るまで病名を聞いたことがありませんでした。そのとき在籍していた病院でも、知っている者がまずいなかったくらいです。その患者さんはかなり重篤な状態だったのですが、先輩医師たちと一緒に懸命に治療を進めていった結果元気になられて、安心したことをよく覚えています。

このときの出来事がきっかけで、免疫の異常によって炎症が起こるような病気に興味を持つようになり、クローン病や潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)などの炎症性腸疾患を専門にすることを決めたのです。以来、少しでも多くの患者さんのお役に立ちたいと思いながら、日々診療にあたっています。

憧れの先生と同じように優しく接する医師に

お世話になった先生を1人挙げると、現在所属している大阪医科薬科大学病院 消化器内科医長の中村 志郎(なかむら しろう)先生です。僕が専門とする炎症性腸疾患に関する知識や技術はもちろん、その人柄も非常に尊敬しています。患者さんに対しても、後輩の僕たちに対しても優しくて、深い知識と豊かな経験を備えていらっしゃると感じます。診断や治療に悩む症例であっても、しっかりと治療方針を決めてくださるので憧れの存在であり、目指していきたい医師像だと思っています。僕も先生のように、どのようなときでも患者さんや後輩に対して優しく接していける医師でありたいです。

後輩の先生たちに対しては、自分が先輩医師の皆さんにしてもらったことを、同じようにしていきたいと思っています。たとえば僕が若手の頃には、ある程度経験を積んだ医師が行うことの多い緊急内視鏡について指導してもらえるような環境でした。若手であっても研鑽を積むことができ、非常にありがたかったです。同じように後輩にも積極的にチャンスを与えたうえで、あたたかく見守ることができたらと思っています。

患者さんに満足してもらえるように

医師をやっていてよかったと思う瞬間は“患者さんが喜んでくれたとき”につきます。ほかにはあまり思い浮かばないくらいです。自分が担当している患者さんには「先生に会えてよかった」と思ってもらえるくらい、満足してもらいたいと思っています。

そのためには治療はもちろんのこと、患者さんとのコミュニケーションを大事に、できるだけ患者さんが話しやすい環境を作るよう心がけています。こちらから一方的に説明するのではなく、患者さんに話していただくことを大切にしているのです。患者さんが答えやすいような質問をしたり、話にじっくりと耳を傾けたりと工夫しています。

よりよい医療を提供できるよう、日々情報を取り入れることも心がけています。医療の世界は進歩を続けており、まだまだメカニズムが十分に解明されていない病気もありますし、よく知られている病気でも新しい治療法が登場しているものもあります。新しい情報を積極的に収集しながら、患者さんの満足度の向上につながるよう取り組んでいきたいです。

また、個人的な話にもなりますが、直近の目標は家庭と仕事をしっかりと両立していくことです。フルタイムで働く妻と共に、子育てや家事にも取り組みながら、医師として最大限努力していきたいと思っています。

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  • 大阪医科薬科大学病院 消化器内科

    水田 昇 先生の所属医療機関

    大阪医科薬科大学病院

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