命に対する敬意・正義感・使命感。命を守る責任を自らに課して

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命に対する敬意・正義感・使命感。命を守る責任を自らに課して

確固たる信念をもって地域医療を支える──金光裕幸先生のストーリー

医療法人社団和乃音 亀戸水神森クリニック 院長
金光 裕幸 先生

東京都江東区亀戸で開業して20年あまり。亀戸水神森クリニックは、内科から外科、整形外科、小児整形外科、肛門科まで、幅広い領域の医療を地域に提供し続けてきました。院長である金光 裕幸(かねみつ ひろゆき)先生は、消化器を中心とする外科医でありながら、診療科目にとらわれず全身の状態を総合的に診ることを大切にし、医師人生を通じて他の領域の医療技術や知識の習得にも努めてきました。医師としての根幹にあるのは、命に対する敬意、正義感、そして使命感。「これからも、命への敬意をもって地域医療に貢献し続けたい」──そう語る金光先生に、ご自身の理念や地域医療に対する思いを伺いました。

決して揺るがない、外科の現場で培った「覚悟」

私にとって医療とは、単に病気を治す技術を提供することではありません。命に対して深い敬意と責任感を持ち、常に誠実に、真摯に向き合う営みです。

これまで外科医として長いこと命の現場に立ち会ってきました。40Lもの輸血をしても出血が止まらず、絶望的に思えるような状況に直面したこともあります。それでも私は、目の前の命に対し「諦める」という選択をしたことは一度もありません。日々の診療のなかで「命を守る」という責任を自らに課す——。この姿勢が私の診療の根源にあります。

命に対する敬意、正義感、そして使命感。これらが、私の医師としての在り方を支え続けてきた柱です。外科の現場で培ってきた「覚悟」は、今、ここ亀戸で日々診療にあたるなかでも決して揺らぐことはありません。

幅広い技術・知識の習得と経験が臨床家としての礎に

私が医師を志したのは、医師である父の影響が大きいです。父の背中を見て、自分も同じ道に進みたいと思うようになりました。私にとって父はとても大きな存在で、それは現在も変わりません。

東邦大学医学部を卒業後、東邦大学医学部付属大森病院(現・東邦大学医療センター大森病院)第二外科に入局し、消化器外科を中心に臨床経験を重ねていきました。在局した12年間はとても濃密な時間で、臨床家としての礎はこの時期に築きました。

胃・大腸・肝臓といった消化器領域をはじめ、さまざまな検査や手術に携わり、外科医としてのスキルを磨きました。また、それだけには留まらず、研修医のときには胸部心臓血管外科、呼吸器外科、脳神経外科、麻酔科、小児外科、救命救急など多領域に携わり、幅広い診療技術と医学的知識を習得していきました。

本当に充実した12年間で、この経験がその後の診療において大きな財産となっています。

医療は患者さんの人生そのものに寄り添う営みだと実感

大学病院で研鑽を積んだ後、当時父が院長を務めていた扇大橋病院で副院長として勤務しました。ここは療養型病床を備えた病院で、主にご高齢の方の診療にあたりました。

患者さんやそのご家族の思いと日々向き合うなかで、高齢者医療、さらに介護についても多くの学びを得ることができました。ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を取得したのも、介護の重要性を強く認識したからです。

こうした経験を通じて、医療は単に治療を提供するだけではなく、患者さんの人生そのものに寄り添う営みであることを実感しました。

専門にとらわれない総合診療で、地域の方々が“なんでも相談できる場”に

亀戸でクリニックを開業し、20年以上が経ちました。この間私は、単なる「診療所」ではなく、地域にとっての「よろず相談所」のような存在になることを意識してきました。診療科目にとらわれず、内科・外科・整形外科・肛門科、さらに小児科的な対応まで幅広く行っているのは、地域の方々にとって“なんでも相談できる場”でありたいからです。

初診で来院された患者さんが、領域の異なる複数の症状をご相談されることも珍しくありません。そのように患者さんに信頼していただけることが、私にとって何よりの励みです。医師としてのプライドを持ちながらも、患者さんにとって身近な存在であり続けたい。その思いから、専門にとらわれず、全身の状態を総合的に診る姿勢を大切にしてきました。

また、医師としての自己研鑽を怠らず、たとえば小児を全般的に診る小児科としての診療でも各診療科の専門医に引けを取らないよう、自分なりに勉強を重ねてきました。負けず嫌いな性格もあるのでしょう。どんな分野であっても「自分が診る」という気概で取り組んでおり、それが現在の診療の幅の広さにつながっていると感じています。

肛門疾患は“外科医の分野”であるという矜持

私が特にこだわりを持っているのが、肛門疾患(こうもんしっかん)の診療です。当クリニックでは、初診の段階で可能な限り処置まで行えるよう、診察体制と設備を整えています。

痔核(じかく)(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)、痔瘻といった肛門疾患は、診察だけでなく処置の判断、そしてタイミングや手技においても外科的知見が不可欠な分野であると私は考えています。たとえば肛門周囲膿瘍に対する切開排膿手術、血栓性外痔核に対する血栓除去手術などは外科医の腕の見せどころです。長年外科に携わってきた経験、そこで培った技術・知識があるからこそ、適切な処置ができるのだと自負しています。

また、肛門疾患はデリケートな悩みであるため、患者さんができるだけ恥ずかしさを感じないよう、診察時の声かけ、院内の導線、プライバシーにも配慮しています。患者さんの心の負担にも目を向けた診療に努めています。

誠実、丁寧、そして信念をもって患者さんに接する

開業から20年以上になりますが、ありがたいことにずっと通い続けてくださる患者さんもいらっしゃいます。中には親子代で通っていただいているケースもあり、この地域に根ざして診療してきたことが信頼という形で返ってきているのだと実感しています。

私は、患者さんとの関係性を一時的なものとは考えていません。たとえ一度きりの診療であっても、その出会いの中で「この先生になら任せられる」と感じていただけるよう、真剣に向き合います。診断のスピードと患者さんの納得感、そして必要なときに迅速に介入できる判断力。この3つを意識して、診療を行っています。

また、患者さんにとっての「かかりつけ医」であり続けるためには、医師としての「姿勢」が何より問われると感じています。技術や知識だけではなく、日々の診療で誠実さ、丁寧さ、信念をもって患者さんに接すること。その積み重ねこそが、信頼につながるのだと信じています。

医師としての原点を胸に、これからも亀戸の地で

私は事あるごとに医師としての原点に立ち返るようにしています。それは、「命に対して絶対的な敬意を持つこと」です。たとえ小さな症状であっても、その背後には重大な病気が潜んでいるかもしれません。あるいは、将来的に患者さんの生活や人生に大きな影響を与える要因となるかもしれません。そうした可能性から目を背けず、丁寧に向き合う。その姿勢は、今後も変わることはありません。

医師は、最前線で命と向き合う仕事です。私はその重みから逃げるのではなく、信念をもって自ら引き受けてきました。これからもこの亀戸の地で、目の前の患者さんに誠実に向き合っていきたいと考えています。

医療技術がどれほど進歩しても、最終的に患者さんを支えるのは「人の心」だと思います。これからも、診療科の枠を越えた総合診療と、命への敬意をもった姿勢で、地域医療に貢献し続けたいです。

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