鼻疾患とにおいのスペシャリストとして

DOCTOR’S
STORIES

鼻疾患とにおいのスペシャリストとして

東京・池袋エリアで診療に尽力する細矢 慶先生の医師キャリアストーリー

鼻とにおいのクリニック池袋 院長
細矢 慶 先生

医師を志したきっかけ

私が医師を志したのは、父が耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の医師であった影響が大きかったと思います。父の背中を見て医師になりたいと思い、日本医科大学に進学、国家試験、研修を終え、日本医科大学の耳鼻咽喉科に入局しました。

耳鼻咽喉科医の診療範囲は幅広く、とてもチャレンジしがいのある分野だと感じたことも魅力の1つでした。耳、鼻、喉の症状のほか、首から上の症状(目、脳を除く)を全て診なければなりませんし、異なる部位で多様な疾患があり、それぞれの部位で外科的な手術も求められます。幅広い知識はもちろん、さまざまな手技の習得も必要となります。

また、患者さんにとっては、耳鼻科が診る耳、鼻、喉は、人間の五感のうち3つ、聴覚、味覚、嗅覚に関わり、人間の生活の質に大きく影響するとても重要なものです。医師として聴覚、味覚、嗅覚に課題を抱える患者さんに介在することで、その方の人生の質を大きく改善させることができる、という部分にも喜びを感じるようになりました。人間にとって大事な五感。その中でも特に私がのめり込んでいったのが、鼻疾患、嗅覚に関する分野です。

現在の診療科、専門領域を目指した理由

嗅覚の世界にのめり込んでいった1つのきっかけがあります。それはフランスでの留学生活とその地でのワインとの出会いでした。アレルギー性鼻炎の研究を通じて、2016年から2年間、フランスのパスツール研究所に留学し、主にアレルギーの発症のメカニズムを研究しました。研究自体のおもしろさもさることながら、グループで情報共有をしながら研究を進めていくプロジェクトの手法は日本に帰国して臨床研究を立ち上げる土台となった貴重な体験でした。

また、フランスでの生活を通じてワインに触れる機会が多くあったことも、私にとって貴重な体験となりました。ワインを楽しむなかで、人の嗅覚が人生の彩りに大きな影響を与えているということも直接感じることができたからです。新型コロナウイルスの感染に伴う嗅覚障害が話題になりましたが、においが分からないと、ガス漏れや食品の腐敗に気付けないだけではなく、生鮮食品の購買意欲が減ることや、要介護状態に近いフレイルになりやすいことが明らかになっています。また、ワインと料理が、2つの組み合わせによって、単体での味わいをはるかに超えたおいしさになることをご存知でしょうか。この相乗効果を生み出す現象を、フランス語で結婚を意味する“マリアージュ”といいます。これはまさしく人間の嗅覚のメカニズムが生み出すもので、こうした体験が私の嗅覚への関心をさらに増幅させ、鼻の治療を通して、患者さんの生活の質の向上にも貢献したいと強く考えるようになりました。

クリニック開業の経緯

嗅覚障害の疫学調査を行うと、自覚症状による報告では有病率は約5%ですが、検査による報告では約20%と大きな乖離があり、この結果から、嗅覚障害を自覚していない方が多くいらっしゃることが明らかになっています。その一方で、その嗅覚障害を検査する嗅覚検査が実施できる施設は大学病院でも50%未満、クリニックでは6%以下となっており、多くの患者さんが嗅覚障害を自覚できないままでいるのが現状です。その結果として治療の介入が遅れ、改善率の低下を引き起こしていると考えられます。こうした問題を解決するためには、患者さんに必要な検査から治療、手術までが可能な鼻の疾患に特化したクリニックが必要と考え、当クリニックを立ち上げることを決意しました。

“鼻とにおいのクリニック池袋”が目指していること

耳鼻科系の疾患は、適切な診断を受け、適切な治療を受けさえすれば、多くの場合、症状を改善させることができると考えています。しかし医療機関にかかっている患者さんでさえ、適切な診断をされず、苦しんでいる方がいらっしゃる現状も数多くみてきました。素晴らしい耳鼻咽喉科の先生は数多くいらっしゃいますが、鼻疾患、嗅覚障害に特化した知識、経験を持った先生はまだまだ少ないのが現状だと思います。嗅覚のスペシャリストとして、1人でも多くの鼻疾患、嗅覚の悩みを持った患者さんたちとお会いし、適切な治療を受けてもらうのが私の使命だと感じています。

嗅覚障害の診断と治療がもっと身近なものになってほしいと考え、嗅覚検査の実施はもちろん、この検査が全国どこでも同じ精度でできるよう、標準化に関する研究も行っています。嗅覚障害の原因の中で最も多い疾患は、慢性副鼻腔炎です。薬を使用しても治らない場合は、内視鏡による手術を検討します。当院では、患者さんの日常生活の負担を考え、手術であってもなるべく痛みの少ない低侵襲(ていしんしゅう)な手術を行い、日帰り手術ができる工夫をしています。手術を執刀する院長は、鼻科手術指導医をもち、大学病院で定期的に手術指導を行っています。手術中に不安になったりしないよう患者さんの負担の軽減を考えて、全身麻酔のために麻酔科(麻酔科標榜医:佐藤 瑞穂先生、池上 まりあ先生、岡 奈津子先生)の医師も勤務しています。手術後の鼻の詰め物には、ガーゼは使用せずに、 傷の治りを早め、できるだけ痛みを減らすようなものを使う工夫をしています。さらに、共同研究によって特許を取得した技術による新しい鼻の詰め物を開発中で、商品化を進めています。鼻疾患のスペシャリストとして、疾患の治療だけではなく、患者さんの早い社会復帰の実現をサポートすることで、経済的な負担の軽減にもつなげられると思いますし、結果として患者さんの生活の質を上げていけると信じています。

嗅覚障害は1人では気付きにくい疾患です。普段から家族や同僚、友達などと、においの話をする機会を作ってみてください。「金木犀の香りがするね」といった会話からは季節の変化を体感することもできるでしょうし、夕食時に「今日の味噌汁は出汁の風味を感じるね」といった会話から家族の交流も生まれるでしょう。課題がまだあまり顕在化していないからこそ難しいこともたくさんありますが、さまざまな場面で、においが生活に彩りを与え、心の豊かさにつながっていることに気付いていただけると嬉しいですし、においのスペシャリストとして、みなさまの課題解決のサポートができることに何よりもやりがいを感じています。もし、少しでもお悩みを持っている方は“鼻とにおいのクリニック池袋”に足を運んでいただければと思います。

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