大腸がん
多数の肝転移があった結腸がん、手術で根治を目指した30歳代男性
がん研有明病院 消化器センター・大腸外科部長の福長 洋介先生に、大腸がんの症例について伺いました。
多数の肝転移があった結腸がん、手術で根治を目指した30歳代男性
こちらの患者さんは発見時すでに肝臓に転移があるステージIVの結腸がんでした。肝転移の個数が30~40個と非常に多かったことから、以前受診していた医療機関では手術ができないと言われ、当院を受診されたそうです。
確かに肝転移の数が多い場合、肝臓を切除しすぎてしまうと肝機能が低下し命に関わることがあるほか、仮に手術がうまく行っても再発リスクが高いなど手術をためらう理由はあります。しかし、抗がん剤による薬物治療を行うことでがんが小さくなり、肝転移の数も少なくなってきたため、当院では手術治療を行うことにしました。
残す肝臓を肥大化して肝機能を維持
抗がん剤によって多少肝転移は少なくなったものの、肝臓の切除範囲が広く命に関わることが懸念されました。そこで当院では、肝機能を維持するために残す肝臓を肥大化させる治療を併せて行いました。
こちらの患者さんの場合、肝臓の右側に多くの腫瘍があり、左側は腫瘍が少ない状態だったので、1回目の手術では左側の腫瘍を取り除いたうえで右側の肝臓へ行く血管を塞栓して右側の肝臓を小さくし、左側の肝臓を大きくする処置を実行。左側の肝臓がある程度大きくなったところで2回目の手術を行い、腫瘍が多くあった右側の肝臓を取り除きました。その後5年以上経過しましたが再発はありません。
このように、大腸がんでは他臓器への転移があっても根治が期待できる場合があります。
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術前化学放射線療法によって肛門温存手術が行えるようになった40歳代女性
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