膵臓がん
地元では手術ができないと言われ、東北から受診された70歳代の男性
国立がん研究センター中央病院で肝胆膵外科の科長を務める江崎 稔先生に、膵臓がんの症例について伺いました。
地元では手術ができないと言われ、東北から受診された70歳代の男性
この患者さんは東北からお越しになった方でした。がんの進行度はステージIIAで、胃腸からの栄養を運ぶ血管である門脈にがんが強く浸潤しており、地元の病院では手術はできないと言われました。何とか手術できないかと当院に相談に来られて精査したところ、手術は可能だと判断しましたが治るかどうかは五分五分でした。それもご説明したうえで挑戦してみたいと決断され、手術に踏み切りました。
術後10年経った現在も再発はなく元気で過ごしている
治療として、膵頭十二指腸切除と、門脈を切除してつなぎ直す手術を行いました。門脈をつなぐ際に特別な方法を取ったために難しい手術になり、手術時間は8時間ほどかかりました。手術が終わった後、通常は1年くらいで体調が戻りますが、この方は2~3年ほどかかりました。その後の再発はなく少しずつ体調も戻り、現在は新しい仕事も始められて10年以上経っても健在でいらっしゃいます。時間はかかりましたが、治療がうまくいき私も嬉しいです。
関連の症例
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術前放射線化学療法と手術で回復したIIA期の50代女性
膵臓がんの症例について、京都桂病院 消化器センター・外科部長の西躰 隆太にしたい りゅうた先生にお話を伺いました。 術前放射線化学療法と手術で回復したIIA期の50代女性 こちらの患者さんは背部痛をきっかけに病院を受診し、膵臓がんが見つかりました。診断時のステージはIIA期で、切除可能境界でした。そこで、術前放射線化学療法でがんを小さくした後、手術を行うことになりました。 無再発で5年以上経過 こちらの患者さんは手術して5年以上経過していますが再発の徴候はなく、現在では趣味のゴルフに行けるほど回復しました。術前放射線化学療法を取り入れる前は術後2年程度で再発してしまう方も多かったのですが、現在は5年経過しても再発しない患者さんも増えつつあります。術後は体重の減少や下痢などさまざまな症状が見られますが、外来を受診しながら長く付き合うことによって日常生活が送れるようになります。
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薬物療法が効いて手術可能になった膵臓がんの70歳代男性
順天堂大学医学部附属順天堂医院 消化器外科講座の主任教授、肝・胆・膵外科の教授を務める齋浦 明夫さいうら あきお先生に、膵臓がんの症例についてお話を伺いました。 薬物療法が効いて手術可能になった膵臓がんの70歳代男性 こちらの患者さんは以前食道がんの手術を受け、新たに局所膵臓(きょくしょすいぞう)がんが発見された患者さんです。発見当初ステージIIIの進行がんと診断されたため、手術は難しいと判断され、およそ1年間抗がん剤による薬物治療が行われてました。私はちょうどその頃に当院に赴任してきたのですが、患者さんの状態を拝見すると「抗がん剤も効いているし、今なら手術ができるのではないか?」と考えました。そこで、当院ではこちらの患者さんに対して手術を行うことにしました。 動脈再建が必要な大きな手術だったが無事完了 こちらの患者さんの場合、過去に食道がんの手術を行っていたため、膵臓がんの手術を行うためには動脈を再建する必要がありました。動脈の再建は非常に難しい手術で、膵臓がんの治療に行うことは一般的ではありません。しかし、当院では無事に再建が可能となり、膵頭十二指腸切除を実施することができました。現在、手術から1年以上が経過しましたが、今のところ再発はなく、お元気に生活しています。その後も他施設からの紹介などがあり、動脈再建を伴う手術を多く実施しています。 また、近年は薬物治療の進歩により、こちらの患者さんのように手術不能と考えられた方が手術可能になることも増えてきています。
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