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Blood
ファンコニ貧血
ファンコニ貧血とは、染色体に傷が入りやすいことを背景として、白血球・赤血球・血小板の減少、がんの罹りやすさ、内臓奇形の合併などを呈する疾患を指します。染色体に傷が入りやすくなる原因として、FAN...
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血液
更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

ファンコニ貧血とは、染色体に傷が入りやすいことを背景として、白血球・赤血球・血小板の減少、がんの罹りやすさ、内臓奇形の合併などを呈する疾患を指します。染色体に傷が入りやすくなる原因として、FANCA遺伝子やFANCT群等の各種遺伝子異常が指摘されています。ファンコニ貧血は、日本においては難病指定を受けている疾患のひとつであり、年間5〜10名の発症数があり、また患者さんは200名前後いらっしゃることが推定されています。 ファンコニ貧血では、再生不良性貧血や骨髄異形成症候群、白血病などの血液関連の疾患が発症することがあり、骨髄移植が選択されることがあります。また血液系疾患以外にも、固形臓器におけるがんが発生することもあり、外科手術や化学療法などの治療方法が選択されることになります。さらに、ファンコニ貧血は遺伝性疾患としての側面も有していることから、遺伝カウンセリングが必要になることも稀ではありません。

より詳しい情報は、記事①記事②記事③をご参照ください

原因

ファンコニ貧血は、FANCAやFANCT群などの遺伝子に異常が生じることを原因として発生します。原因遺伝子にはいくつか知られていますが、FANCAとFANCGと呼ばれる遺伝子異常に関連したファンコニ貧血が多いことが知られています。 細胞が分裂をする際には、遺伝子情報が含まれているDNAも同時に複製される必要があります。DANが複製される段階において、誤ってDANに傷が入ることがあります。DANへの傷の入り方にはいくつか知られていますが、「DNA二重鎖架橋(interstrand cross-links)」とよばれるものをひとつの例に挙げることができます。 DNAは二本の鎖が互いに向き合い、螺旋状の構造を示しています。二本のDNAは互いに長軸方向に対してのみ伸びていくのですが、ときに二本のあいだに誤って結合反応が生じてしまうことがあり、このことをDNA二重鎖架橋と言います。DNA二重鎖架橋が生じると、DNAの複製がストップしてしまうため、DNA二重鎖架橋を修復する機構が人間には備わっています。DNA二重鎖架橋が適切に修復を受けると、引き続きDNAの複製反応が始まることになります。DNA二重鎖架橋はある種の薬剤やタバコなどで促進されます。 しかし、ファンコニ貧血の原因となる遺伝子異常が存在すると、この修復がうまくいかなくなります。DNAがうまく複製されずに傷がDNA上に残ると、アポトーシスと呼ばれる細胞死が誘導されることになったり、DNAに変異が生じその結果として異常細胞の増殖が誘発されたりすることになります。特に血液系の細胞は増殖が早い分、DNAに損傷が入る可能性も高いため、ファンコニ貧血の症状は血液系に認めることが多いです。アポトーシスが通常よりも多く誘導される結果、血液系の血球数が少なくなりますし、異常細胞が増殖する場合には白血病という形で病気が発症することになります。

より詳しい情報は、こちらをご参照ください

症状

ファンコニ貧血は、血球系減少、がんの罹りやすさ、体の異常をそれぞれ認めます。 血球系減少としては、血小板や赤血球、白血球の減少があります。具体的には、鼻血や皮下出血、倦怠感やめまいなどの貧血症状、感染に対しての易感染性症状を呈します。 ファンコニ貧血では白血病の前段階である骨髄異形成症候群、それに引き続いて白血病を発症することもあります。これらの症状は年齢を経るにつれて症状が進行します。 血液系以外にもがんを認めることがあり、舌がん、咽頭がん、食道がんなどを20代以降にみることが多くなります。 身体的な異常としては皮膚の色素異常(カフェオレ斑や白斑など)、低身長、耳、眼、手の親指や骨格の異常を例として挙げることができます。その他、泌尿器系、消化器系、心臓、眼球などの内臓臓器に異常をみることもあります。また、水頭症や小頭症といった中枢神経系の異常をみることもあります。

より詳しい情報は、記事①記事②記事③をご参照ください

検査・診断

ファンコニ貧血では、血液検査を行い、血小板、赤血球、白血球が減少していることを確認することが重要です。血球系の減少を確認することは、ファンコニ貧血の診断のきっかけになることのみならず、重症度を分類する上でも重要です。 その後、白血球の一部である「リンパ球」を用いて「染色体断裂性試験」と呼ばれる特殊な検査を行います。この検査では、ファンコニ貧血の病気の本質である、「DNA二重鎖架橋に対する修復機能異常」を確認することになります。また、同じくリンパ球を用いて「FANCD2モノユビキチン化」と呼ばれる検査も行われます。モノユビキチンとはDNAが修復される過程において重要な現象であり、ファンコニ貧血ではこのモノユビキチンが生じていません。 さらに、ファンコニ貧血はいくつかの原因遺伝子異常が知られています。これらを検索するために、遺伝子検査が行われることもあります。

治療

ファンコニ貧血では血球系の異常をみるため、影響を受けた血球成分に関連した治療が行われます。具体的には、血小板や赤血球の輸血、血球増殖因子(G-CSF)の投与、感染症罹患時の抗生物質・抗ウイルス薬・抗真菌薬の投与などが行われます。 血球減少にともなう症状が強い場合や支持療法では対処できないとき、そのほか骨髄異形成症候群や白血病を発症したときには、骨髄移植が選択されることになります。ファンコニ貧血の患者さんは、産まれ付きの遺伝子異常を有する関係からある種の薬剤に対しての感受性が高く、移植に使用する治療薬を原因としてがんを将来的に発症するリスクも高くなります。したがって、通常の移植とは異なる観点からの注意を払うことが求められます。固形がんが発症した場合も同様の注意点を持つことが必要であり、手術による摘出術が治療の基本方針になります。 なお、ファンコニ貧血は遺伝性疾患として次世代に病気が伝播することもあります。したがって、ファンコニ貧血に関連した遺伝カウンセリングが求められることもあります。

より詳しい情報は、記事①記事②記事③をご参照ください