じんじょうせいはくはん

尋常性白斑

最終更新日
2021年12月27日
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2021/12/27
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

尋常性白斑とは、皮膚の色のもとであるメラニン色素を産生するメラノサイト(色素細胞)が何らかの原因で減少または消失し、皮膚の色が白く抜けてしまう病気です。尋常性白斑と似たような病気はいくつかありますが、尋常性白斑は後天的(生まれてから後に現れる)で、完成した病変部では境界線がはっきりしている(完全脱色素斑)という特徴があります。また、非分節型、分節型、未分類型の3つに分類され、それぞれのタイプに応じて白斑が現れる範囲や現れ方が異なります。

尋常性白斑は治療に抵抗性を示すことが多い難治性の病気で、症状が現れる部位によっては患者のQOL(生活の資)を低下させる要因にもなります。また、甲状腺疾患関節リウマチなどの膠原病(こうげんびょう)の合併症がみられることもあり、尋常性白斑と同時に合併症の検査・治療が必要になることもあります。

日本での尋常性白斑にかかる頻度は人口の0.5~1%程度といわれており、後天的に白斑が生じる病気の中ではもっとも頻度が高い病気です。

原因

尋常性白斑は、メラノサイト(色素細胞)が何らかの原因で減少、消失することによって起こります。メラノサイトは皮膚の色のもと(メラニン色素)を産生するはたらきがあり、これが減少することで皮膚の色が白く抜けてしまうようになります。

尋常性白斑でメラノサイトが減少する原因としては、メラノサイトに対する自己免疫異常やストレスなどの説が考えられていますが、不明な点も多いです。

症状

尋常性白斑では、皮膚の色が白く抜けてしまいます。体のいたるところで発症することがありますが、特に太ももやふくらはぎの外側、腰、お腹、皮膚と皮膚が触れ合いやすい股やお尻、そして、おでこなどの部位に発症しやすいといわれています。

尋常性白斑の特徴

完成した尋常性白斑の症状には以下のような特徴があります。

  • 皮膚が白くなった場所の境界線がはっきりとしている
  • 形や大きさは人それぞれで、尋常性白斑が2つくっつくこともある
  • 痛みやかゆみなどの症状は出ない
  • 頭に発症すると、髪の毛が白くなることもある

など

検査・診断

尋常性白斑は症状を基に診断が進められます。尋常性白斑にはさまざまな似た病気があり、白斑が生まれつきのものかどうか、白斑の境界線がはっきりしているか、白斑が全身のどこに現れているか、白斑を生じさせる他の病気があるかなどをもとに診断が進められます。

また、尋常性白斑は自己免疫性甲状腺機能異常、膠原病シェーグレン症候群糖尿病円形脱毛症、悪性貧血アジソン病重症筋無力症などの合併症がみられることがあります。これらの合併症の有無を調べるために、血液検査などの検査が行われることもあります。

尋常性白斑は白斑の体表面積に応じて軽症から重症に分けられることがあります。

  • 軽症:白斑が体表面積の10%未満である
  • 中等症:白斑が体表面積の10%以上、30%未満である
  • 重症:白斑が体表面積の30%以上である

ただし、白斑が顔面に生じている場合など、白斑によってQOLが著しく損なわれている場合は、面積にかかわらず重症と診断されることもあります。

治療

尋常性白斑の治療法には薬物療法、紫外線療法、植皮・外科手術、カモフラージュメイク療法などがあります。

どの治療を行うかは、発症からの年数、患者の年齢、白斑の位置によって異なります。また、合併症がある場合はそれぞれの専門医による合併症の治療が行われます。

薬物療法

ステロイド外用剤、活性型ビタミンD3外用薬、タクロリムス軟膏などの外用剤が主に用いられますが、後2剤は保険適用ではありません。進行性の尋常性白斑に対しては、ステロイド剤の全身投与が用いられることもあります。

紫外線療法

紫外線を照射する治療です。照射する紫外線の種類によっていくつかの方法がありますが、ナローバンドUVB照射療法と呼ばれる方法が第一選択とされており、ほかにPUVA療法、エキシマレーザー/ライト照射療法などがあります。

植皮・外科手術

ほかの部位の皮膚を移植する治療法です。過去1年以内に症状の悪化がみられず、かつ見た目の問題から治療の必要性が高い場合に行われることがあります。

カモフラージュメイク療法

白斑専用の化粧品を用いて白斑のカモフラージュを行う治療法です。尋常性白斑の治療を行っても効果がない場合に、患者のQOL改善を目的として行われることがありますが、保険適用ではありません。

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