りうまといどいんしていりょう

リウマトイド因子定量

別名
RF定量
関節
血液検査
血液を採取し、その中に含まれる物質などを測定する検査です。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
フォローアップ
治療の効果や、病気の経過を知るために行われる検査です。定期的に繰り返して実施されることもあります。
スクリーニング
ある特定の病気について、その可能性があるかどうかを広く知るために行われる検査です。具体的な診断をするためにはさらなる検査を必要とします。また、健康診断などで用いられることもあります。
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基準値・基準範囲(出典元:エスアールエル詳細)

※検査機関・検査方法によって異なる場合があります。

  • 15IU/mL以下

リウマトイド因子定量とは、血中のリウマトイド因子の量を測る検査です。リウマトイド因子は主に関節リウマチに関連する自己抗体と呼ばれる物質で、関節の痛みなどの症状が現れた際に、診断の補助として調べることがあります。

リウマトイド因子の量だけでリウマチの診断はつきません。リウマトイド因子の量が基準値を超えている場合、関節の症状や、ほかの血液検査の結果を総合して診断を行います。また、治療経過を観察するために測られることもあります。

自己抗体とは、体の中で作られ、自分自身の細胞を攻撃してしまう物質のことです。リウマトイド因子は免疫グロブリンと呼ばれる、ヒトの免疫反応に関わる物質に対する自己抗体です。リウマトイド因子自体が関節リウマチの発症と関連しているかどうかは分かっていませんが、関節リウマチの病態に何らかの影響を及ぼしていると考えられます。

リウマトイド因子定量は、リウマトイド因子の検査のなかでも比較的新しい検査法です。かつてのリウマトイド因子の検査では、血中のリウマトイド因子の有無を調べることしかできませんでしたが、リウマトイド因子定量ではリウマトイド因子がどれくらいあるかまで分かるようになりました。これにより、リウマトイド因子の量のちょっとした変化がわかるようになり、より細やかな治療が可能になったといえます。

リウマトイド因子定量は、関節の痛みや変形がみられるなど、関節リウマチが疑われる際に診断の補助として行われることがあります。リウマトイド因子は、ほかの病気や健康な方でも検出されることがあるため、リウマトイド因子定量の結果だけで診断が下されることはありませんが、診断基準にも入っている重要な検査のひとつです。

また、リウマトイド因子定量は、関節リウマチの重症度の判定や治療経過の観察のために行われることもあります。

食事や喫煙などの生活習慣によって変動する検査値ではないため、検査前に注意することはありません。

検査を受けられない/受けるのに注意が必要な人

この検査では、血液中のリウマトイド因子の量を測ります。血液を採取する際にはアルコール消毒を行うことがあるため、アルコールにアレルギーがある方は検査時に申し出るようにしましょう。

また、血栓を予防する薬などを飲んでいる場合は採血後の止血に時間がかかることがあるため、しっかりと止血を行うようにしましょう。

検査前に心がけるとよいこと

採血時は腕をまくり上げる必要がありますので、袖回りにゆとりがある服装で検査を受けるとよいでしょう。

少量の採血で検査を行うため、スムーズに採血ができれば、検査は短時間で終了します。針を刺す際に痛みを感じる場合もありますが、一般的な健康診断時の採血と同程度と考えてよいでしょう。

検査結果は血液中のリウマトイド因子の量で表されます。基準値は、15 IU/mL以下であることが一般的です。ただし、検査の方法や検査機関によって基準値が異なる場合もあるため、結果については担当医の説明をよく聞くようにしましょう。

リウマトイド因子は関節リウマチの診断基準のひとつであり、世界的な基準である「2010 ACR/EULAR 関節リウマチ分類基準」ではリウマトイド因子を「陰性/弱陽性/強陽性」の3段階で評価します。

リウマトイド因子定量を用いる場合、リウマトイド因子の量が基準値以下であれば「陰性」、基準値の3倍未満であれば「弱陽性」、基準値の3倍以上であれば「強陽性」として、診断基準にあてはめます。

リウマトイド因子の量が基準値を超えている場合、関節の症状や、ほかの血液検査の結果を総合して診断を行います。行われる可能性がある検査には、関節の痛みがある場所や程度の観察、手や関節のレントゲン撮影、関節の腫れを詳細に観察するための超音波検査などがあります。

また、リウマトイド因子は、シェーグレン症候群や強皮症(きょうひしょう)など、ほかの病気でも基準値を超えることがあります。明らかにこれらの病気に特徴的な症状が出ていたり、関節リウマチの可能性が否定されたりした場合は、これらの病気を疑って血液検査などを行うことがあります。

大事な点は、リウマトイド因子陽性だけでは、必ずしも関節リウマチの診断にはならないことです。診断基準のほかの項目と合わせて診断します。

リウマトイド因子定量は、関節リウマチ治療の管理目的で行われることもあります。この場合は、リウマトイド因子量が基準値以上であったとしても、治療経過が良好と判断されれば特別な対処がなされないこともあります。

リウマトイド因子定量は関節に痛みがある場合など、関節リウマチをはじめとした何らかの病気が疑われるときに行われる検査です。関節リウマチは、少しずつ関節の破壊が進んでいく病気のため、なるべく早期に発見して適切な治療を始めることが大切です。適切な治療を続ければ、健康な方と同様の生活が送れるようになることもあるため、必要な検査や治療を継続することが大切です。

また、リウマトイド因子定量の結果だけでは診断できません。そのため、検査後すぐに薬の処方があった際には、一度リウマチを専門とする病院の受診を検討するとよいでしょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。