基準値・基準範囲(出典元:エスアールエル詳細)
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マトリックスメタロプロテイナーゼ-3は主に関節の滑膜と呼ばれる部分から作られるタンパク分解酵素の一種で、軟骨の成分を分解する作用があります。滑膜に炎症反応が起こることで増加します。
特に、滑膜の炎症を主な症状とする関節リウマチでは、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3の増加が軟骨破壊に関与していることから、関節リウマチの診断や治療効果の管理指標として広く用いられています。
ただし、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3は、関節リウマチ以外の関節炎症が起こる病気でも増加することがあります(全身性エリテマトーデスや糸球体腎炎など)。
そのため、この検査だけで関節リウマチかどうかの診断はできず、補助的な指標のひとつとなります。また、関節炎症の程度をよく反映しうるため、治療管理の指標としては有用な検査値といえます。
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3の検査は、関節リウマチなど、関節の滑膜の炎症を症状とする病気が疑われる際に行われます。
また、この検査値は関節の炎症症状の進行度を反映するため、病気の重症度や治療効果の判定のために測られることもあります。
関節リウマチのように滑膜の炎症を症状とする病気はほかにもあり(全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎など)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3はこれらの病気で増加することもあります。
したがって、病気の診断を目的としてこの検査を行う場合は、マトリックスメタロプロテイナーゼ-3の増加により関節滑膜の炎症が起こっていることは分かりますが、具体的な病名を特定することはできません。
食事や喫煙等の生活習慣によって変動する検査値ではないため、検査前に注意することはありません。
この検査は、採血によって行います。採血時の消毒ではアルコール綿を使用することがありますので、アルコールでかぶれやすい方はスタッフに知らせるようにしましょう。
また、血栓を予防する薬を飲んでいる場合は、血が固まりにくくなっていることがありますので、時間をかけて止血を行うようにしましょう。
特に冬場は、腕をまくり上げやすいように袖回りにゆとりがある服装で来院するとよいでしょう。
検査にかかる時間と痛みの程度は、一般的な健康診断時と同様と考えてよいでしょう。スムーズに採血ができれば、短時間で検査は終了します。
痛みの程度も、チクっとする程度で、さほど大きくないと考えられます。
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3の検査結果は血液中の量で表されます。
男性と女性で基準値が異なり、一般的に男性で36.9~121 ng/mL、女性で17.3~59.7 ng/mLが基準範囲とされています。
ただし、検査の方法や検査機関によって基準値が異なる場合もあるため、結果については担当医の説明をよく聞くようにしましょう。
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3が基準値を超えている場合、関節滑膜の炎症を症状とする病気が疑われます。
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3の増加が起こりうる病気としては、関節リウマチや乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症、全身性エリテマトーデス、強皮症、糸球体腎炎などがあります。具体的な病気を特定するために、関節リウマチのほかの検査指標や、関節の様子を確認するための画像検査、腎機能の検査などが行われることがあります。
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3は関節滑膜の炎症度合いを反映するため、病気の管理指標として用いられることも多いです。この場合は、以前の検査結果の値よりも低下または上昇といった傾向が重要です。
すなわち、検査結果が基準値を超えていたとしても、以前に比べて改善傾向がみられる場合など、医師が問題ないと判断すれば特別な対応がなされないこともあります。
マトリックスメタロプロテイナーゼ-3は関節に痛みがある場合など、何らかの病気が疑われるときに行われる検査です。
はじめは少し気になる程度の痛みであっても、徐々に進行する病気が隠れていることもあるため、検査で異常がみられた場合は医師の説明をよく聞き、追加の検査や必要な治療を受けることが大切です。
また、すでに病気が分かっている方は、自宅での服薬や定期的な通院が必要になることもあります。関節リウマチなどの炎症疾患は根気強い治療が必要になることも多い病気ですので、症状が改善したと思っても、自己判断で治療をやめてしまうことのないようにしましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。