きょうくうきょうけんさ

胸腔鏡検査

内視鏡検査
小型のカメラを用いて、体内の様子を直接観察する検査です。
確定診断
この検査を行うことで、ある特定の病気であるかどうかが明確にわかるものです。他の検査の結果を受けて精密検査として行われる場合もあります。
鑑別診断
この検査だけで病名を確定することはできませんが、異常の有無やどのような病気が考えられるかなどを知ることができるものです。検査結果に応じて、さらに検査が追加される場合があります。
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胸腔鏡検査とは、胸壁を小さく切開し、そこから胸腔鏡を挿入して胸腔内の病変部を観察したり、組織を採取したりする検査のことです。胸水が確認される場合に、その原因となる癌性胸膜炎や結核性胸膜炎、悪性中皮腫(ちゅうひしゅ)、悪性リンパ腫などの病気の鑑別を目的に行なわれます。また、胸水(きょうすい)がなくても胸膜病変が生じている場合や、胸腔内に空気が溜まる気胸が生じている場合にも行われることがあります。

肺は胸腔内に収まっており、健康な人でも肺と胸腔の間にわずかに液体(胸水)が存在しますが、何らかの原因によって多量に増えてしまうことがあります。その原因には上で挙げた病気以外にも、肺炎、肺結核、肺がん、心不全、肝不全、ネフローゼ症候群などさまざまです。多くの場合、これらは侵襲がより少なく、かつ比較的簡単に行える胸水穿刺(きょうすいせんし)や経皮針生検といった検査で診断を確定することができます。しかし、なかには胸腔内を直接観察したり、広範囲の組織を採取したりしなければ診断が難しい場合がありますので、その際に行われるのが胸腔鏡検査です。この検査は侵襲を伴うため、全身麻酔または局所麻酔下で実施され、検査を行うにあたって入院が必要となります。

胸水が多量に貯留すると、肺が圧迫されることで胸痛や息苦しさといった症状が現れます。このような症状がみられると胸水を疑い、胸部X線検査やCT検査などの画像診断で胸水の貯留を確認します。胸水が確認された場合には、より詳しく調べるために胸水穿刺、経皮針生検あるいは気管支鏡検査などが行われることがありますが、このような検査を行うことができない場合の代替手段としてや、診断がつかない場合の最終検査として胸腔鏡検査が実施されます。また、胸膜病変がある場合や気胸が生じている場合の診断のほか、治療を兼ねて行われることもあります。

検査にあたって、アスピリンやワルファリンカリウムなどの薬を服用している人は、一時的に中止または変更する必要があります。また、検査前の前処置として絶食が必要となります。医師から何らかの指示があった場合には、その指示に従うようにしましょう。

検査を受けられない/受けるのに注意が必要な人

検査が受けられない例としては、出血傾向のある場合や広範な胸膜癒着が疑われる場合などが挙げられます。また、高度の呼吸機能障害や低酸素血症、虚血性心疾患、不整脈のある人は、検査が受けられない場合があります。

検査前に心がけるとよいこと

胸腔鏡検査は侵襲を伴うため、通常は入院して検査を行います。手続きに必要な書類を含めて入院する際の持ち物をよく確認し、不備のないようにしましょう。

検査は1時間以内に終わることが多いですが、手技の内容によっては長引く場合もあります。入院期間は、一般的に1週間程度とされています。検査は麻酔下に行われるため、通常は検査中に痛みを感じることはありません。ただし、検査後に麻酔が切れた頃に痛みが現れる場合があります。

胸腔鏡にはカメラがついており、カメラがとらえた映像はテレビモニターに映し出され、医師がモニターを見ながら胸腔内の観察や組織の採取を行います。全身麻酔・局所麻酔のいずれの場合でも、通常患者さんは検査中にモニターを見ることはなく、結果については検査後に医師から説明を聞くことになります。

胸腔鏡検査で病変を直接観察したり組織を採取したりすることによって、ほとんどの場合は診断を確定することができるといわれています。検査によって診断が確定した後には、何らかの治療が行われることが想定されます。病気によって治療法は異なりますが、手術が必要と判断された場合には検査中に行われることもあります。

胸腔鏡検査は、何らかの病気を罹患している人に対して行われる検査です。そのため、検査中あるいは検査後に薬物療法や手術などの治療が行われることが考えられます。また、日常生活上で気をつけるべきことがある場合や、通院が必要な場合もあります。適切な形で病気を治癒させられるよう、医師の指示に従い治療や経過観察のために通院を行うようにしましょう。

本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。