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喉頭は、喉ぼとけのところにある器官で、発声するうえで重要な役割を担う声帯も喉頭の一部です。喉頭ストロボスコピーとは、閃光を断続的に発光させる装置と内視鏡を用いて、声帯の振動を調べるために行われる検査です。
主に声枯れなどの音声障害があるときに、その原因となる声帯の病気を声帯振動の障害と関連づけて診断する目的で行われます。声帯結節やポリープ、声帯麻痺、声門閉鎖不全などの障害・病気の発見に役立つほか、喉頭がんの早期発見や、がんの深部浸潤(粘膜下に入り込んだ深さ)を評価するうえでも有用です。
喉頭を調べる簡易的な検査に、小さな鏡を口の奥に入れて喉頭を観察する喉頭鏡検査や、鼻から内視鏡を入れてカメラで直接観察する喉頭内視鏡検査などもあります。しかし、声帯は通常の発声で1秒間に100〜200回振動し、この振動は内視鏡の通常の光で肉眼的に観察することができません。喉頭ストロボスコピーでは、極めて短い閃光(ストロボ)を断続的に発光させることによって、声帯振動をスローモーション像として観察することができます。
検査で観察する項目は、声帯振動が左右対称かどうか、振動が規則的かどうか、声門閉鎖が完全かどうか、粘膜波動の大きさや不動部分の有無など多岐にわたり、さまざまな項目をもとに声帯の障害・病気を探っていきます。
喉頭ストロボスコピーは、主に声枯れなどの音声障害がある場合に行われます。一般的には問診や聴診、喉頭鏡検査、喉頭内視鏡検査などで喉頭の異常を調べた後に、音声の異常を生じさせる声帯振動の障害を解析・診断するために実施されます。ただし、この検査で診断がつくとは限らず、追加の検査が必要になる場合が多くあります。
喉頭ストロボスコピーは診察時だけでなく、すでに病名が分かっている方で音声訓練や治療中にその効果を判定する目的として、また術前や術後の経過を観察するために行われる場合もあります。
検査前に注意すべきことは特になく、飲食などの制限もありません。
特別心がけるとよいことはありませんが、喉頭ストロボスコピーでは、口から内視鏡を入れて声帯振動を観察するので、嘔吐反射(えずき)が起こる場合や苦しく感じる場合があります。検査中に嘔吐が起きそうな感じがしたり苦しかったりする場合には、我慢せず手を挙げるなどして医師に伝えましょう。
喉頭ストロボスコピー自体はそれほど時間がかからず、短時間で終わります。
ただし、音声障害を診断するために、1日にさまざまな検査が実施されることがあり、検査全体を通すと時間がかかってしまう場合があります。
また、通常は麻酔の必要がなく痛みを伴いませんが、上で挙げたように嘔吐反射が起きたり苦しく感じたりすることがあります。
喉頭ストロボスコピーでは、閃光を断続的に発光させる装置と内視鏡を用いて検査を行い、撮影した画像をビデオ録画します。
そのため多くの場合、検査後に録画した動画や静止画をテレビ画面で見ながら説明がなされます。
喉頭ストロボスコピーによって声帯に何らかの異常が発見された場合、追加の検査が行われることが多くあります。
追加の検査でよく行われるものとして、音声機能検査や音響分析が挙げられ、専用の装置を用いて声の高低、大小、雑音成分などから声枯れの程度を測定し評価します。
また、がんが疑われる場合には、良性・悪性を鑑別するために、病変の一部の組織を採取する生検が行われることもあります。
このように、さまざまな検査を行った後、言語聴覚士による音声訓練が必要なのか、薬物療法などの保存的治療が必要なのか、手術などの外科的治療が必要なのか、などを判断します。
喉頭ストロボスコピーを行った後、さらに詳しく調べるために追加の検査が行われることが多く、追加の検査は同じ日に実施される場合もありますが、後日になる場合もあります。特に後日になる場合には忘れずに検査を受けるようにしましょう。
検査結果によって音声訓練や薬物療法、手術などが検討されます。医師から治療方針についての説明をよく聞き、治療を受ける場合には自己判断で中断することのないようにしましょう。
また、上記のような治療が必要な場合は通院が必要になるほか、日常生活で注意すべきポイントがある場合もあります。何らかの指示があった場合には指示に従って行動しましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。