基準値・基準範囲(出典元:エスアールエル詳細)
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25-ヒドロキシビタミンDとは、ビタミンDが代謝されてできる物質で、血中の量を測ることでビタミンDの過不足を確認することがあります。
この検査が必要になる代表的な病気には、ビタミンD欠乏性くる病(小児の場合)およびビタミンD欠乏性骨軟化症(成人の場合)がありますが、2018年より骨粗鬆症でも測定が保険で認められました。ビタミンDが不足している状態では骨粗しょう症(骨粗鬆症)や骨折のリスクが高くなるといわれているため、骨粗しょう症の診断を助ける目的で検査を行うことがあります。
ビタミンDは骨やミネラルの代謝に必要な栄養素で、食物から取り入れるほかには紫外線を浴びることで作り出すこともできます。ビタミンDが不足すると、カルシウムやリンといった骨を作るための栄養素が吸収できなくなり、骨の成長を妨げたり、骨が弱くなったりします。また、カルシウムは筋肉の収縮や神経伝達に必要な栄養素のため、不足することで痺れやけいれんが現れることがあります。逆にビタミンDの摂り過ぎも好ましくなく、サプリメントや服薬などでビタミンDを過剰に摂取すると、カルシウムやリンが過剰に吸収され、嘔吐や食欲不振などを起こすことがあります。つまり、ビタミンDは足りなくても摂りすぎても好ましくありません。
ビタミンDは、その多くが代謝されて25-ヒドロキシビタミンDとなり、血液中をぐるぐると循環しています。そのため、25-ヒドロキシビタミンDは体内のビタミンD量の指標となり、ビタミンDの異常で起こるさまざまな病気の診断に役立てることができます。
25-ヒドロキシビタミンDは、くる病や骨軟化症といったビタミンD欠乏症が疑われる場合や、これらの検査の治療効果を目的として行われることがあります。
また、骨粗しょう症など、ビタミンD不足によってリスクが高まる病気のスクリーニングや診断補助として測られることもあります。
具体的な病気は、ビタミンD異常に加えてどのような症状があるかで異なるため、ほかの検査結果と合わせて判断されることが多いでしょう。
この検査は、ビタミンD欠乏症の診断を目的に行う場合と骨粗しょう症の診断を目的に行う場合があります。
ビタミンDのサプリメントや治療薬を飲んでいる場合は、検査結果に影響を及ぼすことがあるため、事前に医師に申し出るようにしましょう。
この検査は採血によって行いますが、血を固まりにくくする薬(抗血栓薬)を飲んでいる人は血が止まるまでに時間がかかる場合があるため、検査後は時間をかけて止血を行うようにしましょう。
また、採血時にはアルコール消毒を行うことがあります。アルコールでかぶれたことがある人は検査時に申し出るようにしましょう。
肘の内側の血管から採血を行うことが多いため、袖回りがきつい衣服は避けたほうがよいでしょう。
検査にかかる時間と痛みは、一般的な健康診断時の採血と同程度と考えられます。
スムーズに処置が済めば短時間で検査は終了し、痛みも針を刺す際の軽い痛み程度と考えてよいでしょう。
25-ヒドロキシビタミンDは血液中の量で表され、20.0 ng/mL未満であればビタミンD欠乏、20.0~29.9 ng/mLであればビタミンD不足と判断されることが一般的です。
ただし、検査の方法や検査機関によって基準値や結果の表示方法は異なるため、担当医の説明をよく聞くようにしましょう。
25-ヒドロキシビタミンDが著しく不足している場合はビタミンD欠乏症と判断され、子どもであればくる病、大人であれば骨軟化症が疑われます。
これらの病気は、血中のビタミンD量に加えて骨の変形の有無やほかの骨代謝に関わる検査値(血清リン量や血清カルシウム量)の結果と総合して判断されます。これらの検査のために、X線撮影や血液検査が行われることもあります。
また、ビタミンDの欠乏まで至らなくても、不足状態が明らかになった場合は骨粗しょう症のリスクが高い状態であると考えられ、骨粗しょう症の検査を行う場合があります。具体的な検査としては、X線撮影や骨密度の測定、骨代謝マーカーの測定などがあります。
25-ヒドロキシビタミンDは、ビタミンD欠乏症や骨粗しょう症の治療経過を観察する場合に測られることも多い検査値です。この場合は結果が基準値を外れていたとしても、そのほかの検査結果から総合的に判断して治療経過が良好だと判断されれば、追加の対処を行わない場合もあります。
25-ヒドロキシビタミンDは、ビタミンD不足や欠乏が疑われる場合に測られることが多い検査値です。ビタミンD欠乏ではなかったとしても、不足状態では骨が弱くなりやすい状態だといえます。
ビタミンDは、食生活の偏りや紫外線を極端に防ぐ生活を続けることで不足しやすい栄養素のため、普段の生活に気をつけながらビタミンD不足を解消していけるようにしましょう。
本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。