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ニュース

公開日 : 2017 年 02 月 16 日
更新日 : 2017 年 08 月 19 日

地域包括ケアシステムから、生活支援企業を巻き込む「地域包括ヘルスケアシステム」へ

厚生労働省が推進している地域包括ケアシステムでは、今後増加する高齢者に対して、その日常生活圏域をひとつの単位として医療や介護、生活支援などを一体的に提供することを目指しています。石川県七尾市を中心に能登半島で地域に根ざした医療を展開している社会医療法人財団董仙会・恵寿総合病院の神野正博理事長は、この地域包括ケアシステムをさらに拡大し、生活支援企業との連携を強化する「地域包括ヘルスケアシステム」を提唱しています。その具体的なビジョンについて神野正博理事長にお話をうかがいました。

「地域包括ケアシステム」はイメージ通りの実現が可能なのか

以下にお示ししたのは厚生労働省による「地域包括ケアシステム」の概念図です。いろいろなところで引用されているので、ご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、この仕組みの中には、地域医療に携わっている私たちからみると心配な点もいくつかあります。

地域包括ケアシステム

(画像:神野先生ご提供資料より)

 

  • 日常生活圏域として中学校区をひとつの単位として想定しているが・・・
  • 患者さんはどこから来るのか?
  • 生活支援・介護予防の担い手は?

図の中心には、自宅やサービス付き高齢者向け住宅等で暮らす方たち、すなわち地域包括ケアの支援を受ける方たちがいます。その左側には、病気になったときの「医療」の受け皿として、急性期病院のほか、亜急性期・回復期のリハビリ病院などが示されています。

実際に私たち医療者のところにやって来る患者さんは、どこから来ているのでしょうか。急性期病院に限らず、かかりつけの開業医などの場合を考えても、ひとつの中学校区だけで患者さんが完結することはまずありません。

そして図の下の方には、いつまでも元気で暮らすための「生活支援・介護予防」が示され、その担い手は「老人クラブ・自治会・ボランティア・NPO 等」となっています。もちろん、この方たちは地域包括ケアシステムにおける「自助」や「互助」と呼ばれる部分を支える上で重要です。この部分では、基本的にサービス対価などの費用負担を伴わない助け合いが中心となります。

日中であれば町内会で認知症の方を見守ったり、寄り合い所を作ってボランティアの方がみたりすることは可能でしょう。しかし、深夜や早朝はどうするのかという問題があります。夜中まで「老人クラブ・自治会・ボランティア・NPO 」でみることは現実的には無理ですので、ホームセキュリティや24時間警備を行っている民間警備会社など、深夜帯にも仕事ができるプロフェッショナルが関わる必要があります。

ですから、イメージ通りに地域包括ケアシステムを運用していくことは、現実にはなかなか難しいのではないかと私は考えています。

地域包括ケアシステムの原点は広島県の「尾道市 公立みつぎ総合病院」

この地域包括ケアシステムのイメージは、広島県の尾道市公立みつぎ総合病院がその原点であるとされています。かつて、尾道市御調町(みつぎちょう)にあった小さな公立病院に町の役場の保健師さんやボランティアステーション、訪問看護ステーションなどが関わり合いながら地域を支える仕組みが生まれ、地域包括ケアシステムのひとつのモデルとなったのです。

御調町は小さな町だったため中学校区もひとつしかありませんでしたが、その後、市町村合併により尾道市に編入されました。尾道市も地域包括ケアシステムの先行例として有名ですが、合併によってひとつの中学校区単位ではなくなってしまいました。地域包括ケアシステムの元となった御調町ですらそうなのですから、それぞれの地域の実情に合わせた、より現実的なシステムが求められるのではないでしょうか。

地域包括ケアシステムの拡大-「地域包括ヘルスケアシステム」とは

そこで私たちが進めようとしているのが、下図にお示しした「地域包括ヘルスケアシステム」です。これも元は厚生労働省が作った概念図がベースとなっています。

地域包括ヘルスケアシステム

(画像:神野先生ご提供資料より)

入院が必要な病気になったときには、図の左側の「入院医療」の部分に示されているように高度急性期から慢性期まで、さまざまな医療機関で医療を受けます。

この「入院医療」に対応する形で、図の右側には「介護」のセクションを示しています。ここには「在宅介護サービス」や「特別養護老人ホーム・老人保健施設」があり、「生活支援・介護予防」もここに含まれます。その担い手として、厚生労働省の案では「老人クラブ・自治会・ボランティア・NPO」だったところに私が赤い文字で追加したのが「病院・介護施設・生活支援企業」です。

つまり、私たち病院も「生活支援・介護予防」の担い手として、この部分を受け持つということです。ただし、それは医療保険の枠の外になる場合もあるかもしれません。また、介護施設に関しても、介護保険の範囲内でできること以外の部分については、介護保険の枠の外でカバーしていくことも含めて考えていきます。

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