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がんによって失われた自分の力を取り戻す「第二の我が家」−世界に広がるマギーズセンターの取り組み

がんによって失われた自分の力を取り戻す「第二の我が家」−世界に広がるマギーズセンターの取り組み
秋山 正子 さん

特定非営利活動法人 マギーズ東京 共同代表理事・センター長

秋山 正子 さん

目次
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緑に囲まれた建物と、手入れの行き届いた中庭。大きな窓からは水面の揺らめきを望み、海風を感じることもできる。マギーズ東京は、がんになった方やご家族、友人など、がんに影響を受ける全ての方が、気軽に訪れ、「自分の力を取り戻す」ことを目指す場所です。

マギーズの取り組みは、1996年、英国で最初のマギーズセンターが設立されたことに端を発します。マギーズの成り立ちやその活動について、秋山正子さん(マギーズ東京 共同代表理事・センター長)にお話を伺いました。

*マギーズセンターは、宿泊施設ではなく、また治療や投薬を行う医療機関でもありません。

*詳しくは慢性期.comのページをご覧ください。

「マギーズセンター」とは?

がんに影響を受ける全ての方に開かれた「第二の我が家」

マギーズセンターは、がんになった方やご家族、友人など、がんに影響を受ける全ての方に開かれた空間です。そのような方々が、気軽に訪れ、安心して話をしたり必要なサポートを受けたりするなかで、自分の力を取り戻すことを目指しています。

1996年にイギリスで「マギーズ・キャンサーケアリング・センター」が誕生しました。

がんに影響を受ける多くの方々の共感を得て、マギーズセンターの数は徐々に増えており、現在(2019年5月時点)は英国内で20か所以上、英国外では香港やバルセロナなどでもマギーズセンターが運営され、がんに影響を受ける全ての方に開かれた「第二の我が家」として機能しています。

そして、ここマギーズ東京は、たくさんの方にサポートしていただき、日本における初のマギーズセンターとして、2016年10月にオープンしました。

マギーズ東京の空間
マギーズ東京の空間

マギーズセンターの癒しの環境のなかで「自分の力を取り戻す」−その意味とは?

「I am a cancer」ではなく「I have a cancer」であることを思い出す

マギーズ東京は、がんの種類やステージなどに関係なく、予約なしでいつでも来訪していただけます。来訪者は、読書をしたり、お茶を飲んだりしながら、ゆっくりと時間を過ごすことができます。また、看護師や心理士、保健師などがお話を伺い、ご自身のなかにある答えにたどり着けるようサポートします。

がんは日本人の死因の第1位であり、未だにがんという病気に対して不安や恐怖を感じる方も多くいらっしゃることと思います。2016年にマギーズ東京をスタートして以来、がんというものが人々に及ぼす影響を痛感する瞬間は少なくありません。がんを患うことで、戸惑いや不安、孤独などを感じ、本当は「I have a cancer」、つまりがんであることは自分の一部でしかないのに、「I am a cancer」自分ががんそのものになってしまった、という感覚に陥ってしまうことがあるようです。

私たちは、そのような方々の話をじっくりと聴き、寄り添いながら、ご自身のなかにある答えを見つける過程をサポートします。

マギーズセンター

マギーズセンターにはどのような方が来訪されるのか?−マギーズ東京の例

マギーズ東京は、2016年10月にオープンしました。東京都江東区、豊洲市場の近くにあります。木のぬくもりに溢れた空間で、大きな窓からは悠々と流れる晴海運河の水面を望みます。

マギーズ東京には、オープン以来、月に500名ほど(年間6,000名ほど*)の方が来訪されています。来訪者の内訳は、がんを経験されたご本人が4割、ご家族と専門職(医療関係者)がそれぞれ2割ほどで、そのほか見学や取材などの方が2割です。

ご本人の場合は、がんの種類やステージを問わず、がんと診断された直後、治療中、治療後など、さまざまな方がいらっしゃいます。また、医療関係者の場合、がん患者さんの主治医や担当看護師、あるいはご自身ががんになり、周囲の方にはなかなか相談できないとお悩みになって来訪されるケースもあります。

*2016年10月11日〜2018年6月30日データ

マギーズ東京 共同代表理事・センター長、秋山正子さんの思い

秋山正子さん

ある日突然、「あなたはがんです」と知らされたら、多くの方は、きっと何も手につかないでしょう。自分はどのような状態なのか、明日からどう生きていくのか、家族はどうなるのか。いろいろな思いが頭を巡りながらも、目の前の医師や看護師に、はっきりと質問できるわけもありません。

一方、医療現場は常に忙しく、医療者は十分に説明しているつもりでも、伝えきれない部分があるかもしれません。さらに、大抵の場合、患者さんの気持ちをゆっくりと聞くためのゆとりがないことが多いのです。

マギーズ東京は、がんに影響を受ける全ての方に開かれた場所です。私たちは、そのような方々が話をするなかで、一緒に思いを整理し、自分自身で答えを見つけるためのお手伝いをします。その先には、きっと希望があるはずです。

マギーズ東京の常勤看護師、岩城典子さんの思い

岩城さん

私は、もともと看護師として働いていました。神経難病やリウマチ、心不全といった慢性疾患の患者さんをたくさんみるなかで、保険診療上、なぜホスピス病棟にはがんとエイズ(後天性免疫不全症候群)の方しか入れないのだろうという疑問を抱くようになりました。

そのような思いから、がん以外の方のためのホスピスや在宅療養支援診療所の立ち上げに参画したのち、地域看護を学ぶなかで、秋山さんにお目にかかりました。

そこからご縁があり、オープン当初からマギーズ東京で相談支援を担当しています。

日々さまざまな方に会ってじっくりとお話をするなかで、それぞれの物語や思いに触れ、来訪者さんが希望を見出していく姿を目の当たりにすると、とても感動します。同時に、病院に勤めていた頃の自分が、いかに患者さんの表面的な情報しか知らなかったのかを実感するのです。

私たちはこれからも、がんに影響を受ける全ての方に対し、気軽に訪れ、自分の力を取り戻す場所を提供するために歩み続けます。

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