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エイズ
エイズ(AIDS :acquired immunodeficiency syndrome、後天性免疫不全症候群)とは、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency viru...
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更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
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2017 年 04 月 25 日
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概要

エイズ(AIDS :acquired immunodeficiency syndrome、後天性免疫不全症候群)とは、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)に感染することで引き起こされます。

HIVに感染後、適切な治療を受けないと、免疫力が低下して、正常な免疫力を持つ健康な方であれば問題になることのない感染症(日和見感染症)を発症したり、悪性疾患を引き起こしたりします。この状態のことをエイズと呼びます。HIV感染者とエイズ発症者は男性が大半を占めています。

HIVに対する薬剤に関しての進歩は目を見張るものがあり、エイズを発症しないようにコントールすることは、以前に比べて容易になってきています。その一方で、日本におけるHIV新規感染者数とエイズ患者数については、ここ数年横ばいの状況が続いており、さらなる積極的な啓蒙活動や治療が必要とされる状況です。

原因

エイズは、HIVに感染することで発症します。HIVウイルスの感染原因には、性行為による感染、注射器の使いまわしなどによる血液を介する感染、母体や母乳などを介する母子感染、非加熱製剤による感染があります。入浴やプールによる水を介しての感染など、日常生活のなかで感染することはほぼありません。

これら感染経路のうち、日本でもっとも多くみられるのは性行為による感染です。母児感染については、感染予防策を講じなければ30%ほどの確率で母親から子どもにHIVがうつると考えられています。

輸血による感染は、過去5例が報告されています(2003年までに4例、2013年に1例) 。献血血液のスクリーニング検査の感度を向上させてきていますが、検査の限界もあり100%防止できるわけではありません。

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症状

HIV感染後の症状は主に3期に分類することができ(1)感染初期、(2)無症候性期、(3)エイズ期と次第に進行していきます。

HIVに感染したのみでは、明らかな自覚症状は伴いません。しかし、HIVが体内で増殖をすると、徐々に免疫機能に影響が及ぶようになり、およそ5〜10年ほどの年数を経たのちに、健康な状態ではかからないようなさまざまな疾患を発症するようになります。こうした疾患は主に、日和見感染症(正常な免疫であれば問題になることのない感染症)とHIVに関連した悪性腫瘍、の二つに分類することができます。

(1)感染初期

HIVが体内に侵入すると、2〜3週間後にウイルスが急速に増殖する時期があり、この時期を感染初期と呼びます。この時期には、発熱、筋肉痛、全身倦怠感などインフルエンザに類似した症状が現れます。しかし、感染した場合に必ずこのような症状が現れるわけではなく、積極的な治療をせずとも数日から数週間の経過で自然に改善します。

また、こうしたインフルエンザ様の症状に加えて、多くの患者さんで皮膚症状を認めることも特徴です。大きさが1cm前後の赤い発疹であり、同様に自然に改善します。

(2) 無症候性期

感染初期の症状が収束すると、HIVのウイルス量は免疫反応によりある程度抑えられます。数か月から10年ほど、HIVの治療をせずとも無症状で経過します。こうした無症状の時期は、感染した方本人も治療の必要性を感じることがありません。そのため、治療が遅くなると同時に、HIVを知らず知らずのうちに他人に移してしまう危険性があります。

(3) エイズ期

無症候期は自覚症状に乏しいとはいえ、HIVは徐々に感染した方の免疫機能に障害を与え続けています。ある一定レベルまで免疫機能が障害されると、普段は感染することのない病原体に対して感染症状を示す(日和見感染症)ようになります。さらに、正常の免疫があれば発症するリスクの少ない悪性腫瘍を発症することもあり、この時期をエイズ期と呼びます。

症状には個人差がありますが、帯状疱疹を発症した場合には皮膚に水ぶくれが生じヒリヒリとした痛みを伴うようになります。またニューモシスチス肺炎と呼ばれる肺炎を発症すると、咳や痰などを訴えるようになります。

さらに病状が進行すると、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍を発症することもありますし、HIVそのものにより引き起こされるHIV脳症に至ることもあります。HIV脳症では意識状態が変化したり、認知症の症状が出現したりします。慢性的に経過する時期であるため、下痢や全身衰弱、体重減少などもみられるようになります。

検査・診断

エイズの治療を成功させるためには、早期にHIVを確認し治療を開始することがとても大切です。HIVは主に性交渉により感染することから、不特定多数の人と性交渉をしたり、コンドームを使用しなかったりした場合には感染のリスクがあります。

HIVの感染が疑われる病歴があるときには、保健所や病院等でスクリーニング(ふるいわけ)を目的とした血液検査を受けることができます。近年新たに発売されたほとんどすべてのスクリーニング検査用診断薬は、抗HIV-1/2抗体とHIV-1 p24抗原を同時に検出でき、セロコンバージョン前の感染急性期をも検出可能な第4世代検出試薬と呼ばれるものです。

しかし、実際には感染していない場合でも陽性結果が出ることがあります(偽陽性は試薬により異なりますが0.1~0.3%程度)。スクリーニング検査陽性または判定保留となった検体に対し、異なるキットを用いた追加スクリーニング検査を行うことで偽陽性の割合を減らすことができます。

また、HIVに感染後およそ6〜8週間はウインドウピリオドと呼ばれる期間があります。この期間は、HIVに感染していたとしてもスクリーニングの検査が陰性になる可能性があります。スクリーニングの結果を正しく判断するためには、この時期を避ける必要があります。

スクリーニング検査で陽性結果が出ると、最終確定をするための確認検査が行われます。日本ではウェスタンブロット法(WB法)と核酸増幅法(NAT)と呼ばれる検査を併用して最終的にHIVを確定します。米国等ではWB法に比べ操作が簡単な「抗HIV-1/2抗体鑑別系試薬による検査」が推奨されています。確定検査はその目的から感度よりも正確性が求められています。

治療期間中は、HIVのウイルス量を低く保つことが目標の一つになります。したがって、薬による治療効果判定の指標となる血液中ウイルス量の確認も重要です。

さらに、日和見感染症を発症しないためには、白血球(特にCD4陽性リンパ球)の数を一定レベル以上に保つ必要があります。CD4陽性リンパ球は、HIVが感染する細胞で、人の免疫をコントロールする司令塔のような役割を担っています。治療効果がうまくいっている場合には、CD4陽性リンパ球がうまく機能していることを意味し、日和見感染症のリスクも減らすことができます。

治療

治療の第一目標は、HIV量をコントロールし、エイズを発症させないようにすることです。HIV量をコントロールするために、数多くの薬が使用されています。HIVの治療は、抗HIV薬を3剤以上使用した、多剤併用療法(ART)とよばれる治療方針がとられます。多剤を併用する理由の一つとして、一剤のみでは薬の効果が比較的早期になくなってしまうことがあげられます。

HIV治療中は、無症状であることもあり、服用を忘れてしまう可能性があります。そのため、1日1回の内服で効果が期待できる薬も多く使用されるようになっています。具体的に日本で使用可能なHIV治療薬は、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬、CCR5阻害薬、の5種類に分類することができます。これらの薬剤を複数種組み合わせることで、治療成績の向上が期待できます。

ひとたびエイズを発症すると、数多くの感染症や悪性疾患にかかるようになり、抗生物質、抗ウイルス薬、抗がん剤などを使用する必要がでてきます。エイズを発症すると免疫機能は正常の状態と比べて格段に障害を受け、積極的な治療を行ってもうまくいかない場合があります。

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