インタビュー

HIVの検査を受けるときの心構えとその工夫—HIVの予防(3)

HIVの検査を受けるときの心構えとその工夫—HIVの予防(3)
和田 秀穂 先生

川崎医科大学 血液内科学 教授 、川崎医科大学附属病院  血液内科部長/輸血部部長

和田 秀穂 先生

この記事の最終更新は2015年12月16日です。

近年HIVが治療可能な病気になるにつれて、HIV感染を防ぐためのセーファーセックスの啓発に加え、検診により早期発見をすることの重要性が増してきました(記事2)。では実際のHIV検診ではどのように検査が行われるのでしょうか。また検査時にはどのような心構えをすればよいのでしょうか。川崎医科大学血液内科教授の和田秀穂先生にHIV検査時の心構えと検査の工夫についてお話し頂きました。

HIVの検査は二段階になっています。一段階目はスクリーニング検査と言われるもので、HIVの抗原と抗体を検査します。スクリーニング検査はHIV感染が疑わしい人を見つけだすことを目的としています。このHIVのスクリーニング検査では0.2%程度の偽陽性が出てしまう可能性があります。つまり、本当はHIVではないのに陽性の結果が出てしまうのです。そのため陽性の結果が出た方には、HIVが体内に本当に存在するのかを詳しく調べるウエスタンブロット法によるHIV抗体検査と、PCR法によるHIV-RNA検査という精密検査を行います。

だから最初のスクリーニング検査で「陽性」と出ても検査を受けた方はびっくりしすぎてはいけません。これからHIV感染を確定するための精密検査を行うというのが正しい手順でもありますし、たとえHIVが体内にあってもきちんと治療をすることができます。「陽性」と結果が出たからといって、頭が真っ白になりヤケクソになって追加の検査を受けなかったり、治療を受けたりしないことの方が問題です。

スクリーニング検査で「陽性」だともしいわれたとしても、本当にHIVに感染しているかは分かりません。必ず追加の精密検査を受けましょう。

自身がHIVに感染していることが分かった時にはヤケクソにならず、きちんと治療を開始しましょう。HIVは今では十分に治療が可能な病気なのです。また自身がHIV感染者だと分かったら、パートナーも感染している可能性があります。繰り返しになりますが、HIVは治療ができる病気になりました。ですからパートナーにその事実を隠さず、検診を受けてもらうようにしましょう。

最初の採血で抗原・抗体検査用だけをとるのではなく、同時にHIV感染確定のためのPCR検査用の採血をする。この方法で行えば、最初のスクリーニング検査の時点で陽性が出たあとに追加で患者さんにもう一度採血をしてもらう必要がありません。つまりスクリーニング検査で陽性が出たらその後にもう一度採血してPCRを行うのではなく、あらかじめPCR用に採血しておけば改めて検査をしなくても確定診断までできるのです。そうすることによりムダなコミュニケーションをすることなく、検査を中断することなく最後まで一気に確定診断を行えるのです。

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