インタビュー

HIVとエイズについて

HIVとエイズについて
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2015年12月27日です。

HIVに感染すると免疫機能が低下するために、健康状態ではかからないさまざまな症状を引き起こしますが、この症状によってHIV感染症は、感染初期、無症候期、エイズ発症期に分けられます。このエイズ発症期とはどのような状態なのでしょうか。臨床経験豊富な尾上泰彦先生に伺いました。

HIVがヒトの体内に侵入すると、身体の中で増殖していきます。HIVが増殖して免疫機能が徐々に低下していくにつれて、健康な状態ではかからないような様々な疾患があらわれるようになります。この段階で厚生労働省が定めた23の代表的な疾患を1つ以上明らかに認められればエイズと診断されます。

免疫力の低下した状態では、病原体の感染が死につながることもあります。中でもニューモスチス肺炎(カリニ肺炎)は、エイズ患者さんに最も多い疾患です。厚生労働省が定める疾患は以下の通りとなります。

  • 食道、気管、気管支、肺におきるカンジダ症
  • 肺以外のクリプトコックス症
  • 全身に菌が広がった、もしくは肺、首、肺門リンパ節以外の部位に起こったコクシジオイデス症
  • 全身に菌が広がった、もしくは肺、首、肺門リンパ節以外の部位に起こったヒストプラズマ症
  • ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)
  • 生後1ヶ月以後でのトキソプラズマ脳症
  • 1ヶ月以上続く下痢を伴っているクリプトスポリジウム症
  • 1ヶ月以上続く下痢を伴っているイソスポラ症
  • 性細菌感染症(ただし、13歳未満の方で、ヘモフィルス、連鎖球菌などの化膿性細菌により敗血症、肺炎、髄膜炎などが2年以内に2つ以上多発もしくは繰り返し起こったもの)
  • 再発を繰り返すサルモネラ菌血症
  • 活動性結核または肺外結核
  • 全身に菌が広がった、もしくは肺、皮膚、首、肺門リンパ節以外の部位に起こった非結核性抗酸菌症
  • カポジ肉腫
  • 原発性脳リンパ腫
  • 非ホジキンリンパ腫
  • 浸潤性子宮頸癌
  • 反復性肺炎
  • 13歳未満で起こるリンパ性間質性肺炎/肺リンパ過形成
  •  HIV脳症
  • HIV消耗性症候群

 「いきなりエイズ」とは、HIVに感染して免疫機能が低下した結果、日和見感染症を発症して、受診して始めてHIVの感染に気づいた状態のことです。

HIVは感染しても早い段階で気づけば適切な治療を行うことができるので、エイズの発症を遅らせることができます。HIVに感染した疑いがある方は、早めに検査をすることをお勧めします。

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