性器クラミジア感染症は日本でもっとも多くみられる性感染症です。クラミジア・トラコマチスという細菌を保有している人との性行為(口腔性交や肛門性交を含む)により、性器や咽頭、直腸などに細菌が感染することで発症します。自覚症状がない場合が多く、感染に気が付かないことがありますが、感染すると不妊の原因となるケースもあるほか、妊婦の場合は生まれてくる子どもに感染する可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、性器クラミジア感染症の症状について女性と男性に分けて解説します。
女性が性器クラミジア感染症を発症しても多くの人は自覚症状がありませんが、おりものの増加や下腹部痛、不正出血、性交痛などがみられることがあります。
進行すると、子宮頸管炎、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎などを発症することがあるほか、異所性妊娠や不妊症、妊婦の場合には流産、早産などの原因になることがあります。また、出産時に産道感染によって生まれてくる子どもに感染する可能性もあります。
男性が性器クラミジア感染症を発症した場合、約半数の人は自覚症状がなく、残りの半数は排尿時に痛みが出たり、尿道に膿やかゆみが生じたりすることがあります。進行すると、前立腺炎、精巣上体炎などを発症し、不妊の原因となることもあります。
性器クラミジアの感染者は2000年からの統計によると、女性のほうが多い傾向がありましたが、2019年に男性が女性の感染者数を上回りました。
性器クラミジア感染症が疑われる場合には、性感染症内科を受診するとよいでしょう。女性の場合は産科・婦人科、男性の場合は泌尿器科や皮膚科に相談するのもよいでしょう。
感染が疑われる相手と性行為をした場合、自覚症状がなくても感染している可能性があるため受診を検討しましょう。
抗菌薬による治療が行われます。主に、テトラサイクリン系薬やマクロライド系薬、ニューロキノン系薬が使用されます。治療開始2週間後以降に尿や性器からの分泌物などを用いた核酸増幅法またはイムノクロマトグラフィー法での検査を行い、クラミジア・トラコマチスが陰性になっていることを確認できたら治療終了です。
自分が性器クラミジア感染症を発症している場合、セックスパートナーに感染している可能性があります。自分が治癒しても性行為をすることによってセックスパートナーから再び感染する恐れがあるため、セックスパートナーに症状がなくても一緒に検査・治療を受けることが大切です。
不特定多数との性行為を避け、性行為の際はコンドームを使用することが感染予防になります。気になる症状がある場合には、そのままにせずに早めに病院を受診しましょう。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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